2013/06/12

政治主体の選挙から有権者主体の選挙に



1年間One Voice Campaignの活動をし、そして2013年4月19日に参議院本会議でネット選挙解禁を含む公職選挙法の改正法案が可決しました。それによって、7月から実施される参議院選挙から、メールなどの一部の規制はあるものの、SNSなどを使ったネット選挙が本格的に日本でもスタートします。

もちろん、ネット選挙が解禁されたからと言って、投票率が上がるわけでも、みんながすぐに政策議論をおこなうかと言うとそうではないかもしれません。しかし、ツールが増え、情報環境に変化が起きている今という時期だからこそ、日本社会が今後どうなるか、日本で生活している私たちがどうすべきかを考えるいい機会になると思います。

しかし、この1,2ヶ月報道などでネット選挙などに関する報道を見ていると、主に政治家や政党主体の内容が多く感じてしまいます。

インターネット選挙運動解禁で、政党の戦略はどう変わる? - GREE ニュース
ネット選挙運動解禁に伴う電子メール環境への取り組みについてYahoo! JAPAN - プレスリリース

もちろん、選挙の結果によって政治家の進退や政党の議会内のシェアは変わってきます。しかし、その政治家や政党を選ぶのは私たち有権者であり、間接民主制をとっている日本においては、私たちの意見の代弁者としての存在として政治家が存在します。つまり、私たち有権者主体の政治が本来であれば反映されていなければいけないはずなのです。

私たち有権者も、政治家に頼ってばかりではいけません。政治家にすべてを任せるのではなく、何かおかしいものがあれば意見を発し、改善案や代案を出したり、みんなで議論するだけの環境を整えるよう情報を整理していく必要があります。

荻上チキさんが書かれた『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想 (幻冬舎新書)』でも、政治の側が国民益を追求しているか、そして、その政治の現場を監視し、国民側からも政治家に対して「これをやるべき!」という圧力や議論を増やす「ポジだし」(ダメだしの反対語)をすべき、という記述がありました。

政治がこれまで身近に感じられなかったとしても、どんな状況であれ今の政治の世界を作り出しているのは有権者である私たちにも責任があります。何かおかしい、と思ったことに対しては、積極的に声をあげるなり、問題を問題だと周りに発信したり、情報を整理しなければいけません。そうした普段の積み重ねによって社会は作られていきます。

「自由」というものは、私たちに与えられた権利であると同時に、私たちの不断の努力によって保持しなければならないと憲法にあるように、私たちが生活している社会も与えられたものではなく、私たちの不断の努力で作り上げていくものなのだと思います。そして、作り上げるだけの環境や、意見を発信する情報環境は、今の時代はSNSを含めたソーシャルメディアなどの盛り上がりにより、そのハードルは下がってきています。

先日MITと朝日新聞が行ったシンポジウムでも、伊藤穣一氏は「テクノロジーによる民主主義化」によって、よりボトムアップでの社会になっていくと語っています。

「ネットやSNSを通じて誰もがアジャイルに情報をPullできる今の時代は、ボトムアップでの変化が生まれやすい。先の3.11後の動きしかり、国民が現場レベルのコラボレーションで公的な問題を解決できるという片鱗を見せた日本人は、世界に先駆けて新しいメディアや民主主義の形を示せるかもしれない」(上記、リンク先本文抜粋)


もはや、政治の現場も含めた社会全般の動きは、政治家という人たちだけで統制できるほど単純なものではなく、また先行きがどうなるか誰も予想できない時代だからこそ、各々がアジャイルで課題に取組み、修正と改善を重ねながら漸進的改善を図ることが大事になってきます。オープンデータしかり、オープンガバメントによる政治の世界のプラットフォーム化により、より市民への権利譲渡を図ることで、より時代の動きに沿った迅速な活動がおこなわれてきます。

そうした状況を作り上げるためにも、選挙というものは私たち有権者主体の、有権者のUXを踏まえたものとして作られていくべきなのではと考えます。トップダウン型の社会ではなく、ボトムアップ型の社会の中でどのような社会を作っていきたいかということを私たち自身が考え、社会を「自分ごと化」していく意識を持たなければいけません。

私たちが作り上げる社会、私たちが作る政治という意識をもつためには、有権者である私たちが政治家にすべてを一任せず、何か問題があれば自分たちで作ってしまうくらいの意識を持たなければいけません。政治に文句を言うんじゃなく、問題ならまず先に手を動かしましょう。そして、そうした私たちの動きを支援していく政治家をきちんと私たちで評価していきましょう。互いに応援しあえる関係性になることで、互いに社会を作るプライヤーという意識が芽生えてきます。そうした政治の形を決める選挙の情報も、私たちにとって何が大事なのか、私たちがどう行動すればいいか、投票であれば、政策に関する話を分かりやすくまとめたり、これまでの議員の活動を分かりやすくまとめるなどの情報環境を作っていき、投票行動に必要な情報をメディアの方たちも揃えていきましょう。

このような有権者主体の選挙にしていく動きを、今回のネット選挙の流れの中で、改めて見直していくべきだと思います。





photo credit: JosephGilbert.org via photopin cc


ソーシャルテレビ推進会議に見るテレビの現況と今後

先日おこなわれた、ソーシャルテレビ推進会議一周年オープンセミナー「ビジネスモデルは見えてきたか?」に参加してきました。

ソーシャルテレビ推進会議とは、ソーシャルテレビに関する最新データやニュースを発信するサイト「ソーシャルテレビラボ」が主催するイベントで、放送と通信、マスメディアとインターネットの融合の形として、テレビの次のあり方を模索するためのイベントです。

ソーシャルテレビ推進会議は、毎月有志で集まり情報交換やテレビ関係者たちのコミュニティを作っています。今回で立ち上げから1年を経たということで、オープンセミナーとして100人以上もの人たちがテレビとITの融合について考える場となりました。これまでにいくつもテーマで話されてきた中、テレビとインターネットとの関係が少しづつ見えてきたと語る主催の境治さん。実際、テレビの番組内でも参加者とスマホなどを用いてインタラクティブな参加性を持った企画も立ち上がってきました。そうした知見やノウハウをシェアし、業界内への提言などを試みているそうです。


テレビがAPIを公開し、オープンプラットフォームへの道のりを作りつつある
まずは、セミナーの第一部として「テレビはウェブで飛躍するか」と題し、モデレーターにVOYAGE GROUP中山理香さん、ゲストにNHKの石倉清史さん、日本テレビの安藤聖泰さんが登壇し、それぞれの局が取り組んでいる事例を発表しました。



NHKの石倉さんからは、番組情報への導線がテレビ欄からEPG(テレビ・レコーダー)などへと移ってきてるというお話がありました。SNSやブログへの認知など、これまでの新聞のテレビ欄以外での流入経路が増えてきました。そこで、NHKとしてEPGにおける情報発信をこれまでおこなってきましたが、EPGでは写真やURLなどが発信できないことなど、今の時代の現状に合っていない、スマホオリエンテッドではないという考えが局内からも出てきたそうです。

そこで、つい先ほど(ちょうどイベントの数時間前に!)、NHKの番組情報のAPIを公開した、という発表をおこないました。(NHK番組表APIはこちら)

たまたま、イベントとタイミングが合ったそうで、来てる参加者からも大きな声が上がりました。最大48時間先までの全国の総合テレビやEテレ、BS1などの情報を発信するとのこと。もちろん利用は無償で、目的としては少しでもテレビを見てくれる人が増えれば、というお考えでした。今後は、他局と連携を図りながら改善を図っていくそうです。もちろん、今回は無償での利用ですが、その公開範囲は必ずしもすべてとはいえません。どこまでを提供範囲とするかは局内でも現在検討中であり、より広範囲な情報は有償となる可能性もあります。

NHKとしても、まだまだ番組情報に関しての改善は検討しており、番組のLPやテレビのプレイヤー同士のコミュニティを形成したり、各局共通のプラットフォームを作ったり、API利用の動向やユーザ調査などの案も浮上しているとのこと。番組情報というメタデータを、テレビ局が試行錯誤しながら徐々に公開していく1つの試みとして、今回のAPI公開は評価できる取り組みと言えます。

日本テレビの安藤さんも、テレビ局としてのオープンデータを推進することを意義についてお話いただきました。実は、日テレは出演者情報などをWebAPIとして6年前くらいから公開していたそうです。(日本テレビのWebAPIはこちら)目的も、番組のファンなどに向けて、より充実した情報を公開していくための対応だったと言います。

今後は、NHKがAPIを公開しているように、より詳細な番組情報のAPIを公開するなど、色々な情報を発信し、それらを第三者が利用し、番組への認知や発見されやすさ(Discoverability)を高めていきたいとのこと。さらには、番組をもっとソーシャルに連動したり、セカンドスクリーンの企画をテレビ局は打ち出していくべきでは、と語りました。

石倉さんや安藤さんの話の中でもあったように、各テレビ局がそれぞれに独自に動いていくのではなく、テレビ局全体としての統制を図り、局同士が連携し、テレビという場全体がプラットフォーム化することの可能性を大いに感じました。APIの公開をどこまでおこなうか、フォーマットを統一し、どこまでの情報を無償で公開し、どこまでを有償で公開していくか。テレビ局側としても、まだ試行錯誤の段階ですが、一歩づつ進んでいる流れがあるように思いました。

結局は、そのAPIを利用する私たちや開発者、企業などがどこまでの情報を欲しいとするかを、テレビ局側の人たちと一緒に考えていくべきなのではないでしょうか。それによって、テレビ局だけが頑張るのではなく、それを使う私たちと一緒になって考え、よりよいものにしていこうという流れが起きることで、テレビがウェブで飛躍する可能性は大いにあるのではないでしょうか。

一番印象深かった言葉は、「テレビはもはやテレビだけがプレイヤーではない」という言葉。これまでテレビ局主導でおこなわれてきたことを、権限をユーザに一部移譲し、一緒になってテレビを通じた良い体験を作っていこう、という姿勢の表れだと感じました。

利用者の利用シーンを踏まえたテレビそのもののあり方を考える
第二部では「テレビ視聴のこれから」として、モデレーターにビデオリサーチインタラクティブ深田航志さん、ゲストに角川アスキー総研の遠藤諭さん、LG Electronics Japanの土屋和洋さんが登壇しました。

まず初めに、遠藤さんも監修に加わった「次世代テレビに関する検討会」報告書を深田さんが紹介。そこで紹介されている統計データをもとに、議論がなされました。



データを踏まえつつ、テレビという機器そのものをどうしていくかについて、まず初めに、LGのスマートテレビについて土屋さんのお話が続きます。LGのスマートテレビは、リラックス・メガコンテンツ・サイズアップをテーマに掲げ、機能としてジャイロセンサリモコンや音声認識、カメラでのジェスチャー認識など、ただの受信機としてのテレビではなく、よりインタラクティブ性をもったデバイスとして、そしてリモコンレスなものへと移行していく、というお話がなされました。

「次世代テレビに関する検討会」報告書の中でも、今後はスマートテレビが主流になっていくのでは、という記述がされています。その中で、現在の地デジ対応テレビのネット接続率は20%程度に対し、LGのスマートテレビ購入者による調査では45%という数字が示されており、スマートテレビによるネット接続率の向上についての話もあり、よりインターネットを通じて情報のやり取りや多様なコミュニケーション手段のツールとして、テレビが変化していくと予想。

地デジ移行期に購入したテレビの買い替えサイクルがちょうど2020年頃だと言われている中、2020年に向けた大きな買い替えのタイミングに向けて、各社がスマートテレビを主戦とした機器の開発などが問われているのかもしれません。また、今一番売れているテレビも、2台目3台目利用が多く、大型テレビの需要は減ってきているのではないか、次に来るスマートテレビの機能としてWi-FiやIPTV、ユニバーサルリモコンなど、よりUIを踏まえた要素が重要だという議論が続きました。

「テレビ」において今後考えなくてはいけないポイントは何か。それは、どういったユーザが、どういった視聴体験をしているかを考えることではないか、と話は移ります。若い人に多いタブレットなどの視聴では、大音量のスピーカーでの視聴よりもヘッドホンでの視聴も多いそうです。スモールスクリーンとビッグスクリーンでは、必要な機器や番組企画にも大きく関わってきます。よりパーソナル視聴が加速していく中、大画面のテレビの必要性がどれだけあるのか。あるとしたら、そのニーズは何か?を考えることが求められてきます。

メインテレビで考えれば、今市場に出まわりつつある4Kや、次に出てくる8Kといったテレビがどれだけニーズがあるのか。もちろん、テレビ機器メーカーからしたら、より大画面でより大音量でテレビを楽しんでもらいたい、という発想も理解できます。大事なのは、ユーザに対してどういったUXを届けるか、そのために必要なテレビ機器のあり方を考えることなのかもしれません。

モバイルメインで視聴する人と、リビングなどの場所で視聴する人など、ターゲットによって番組への作り込みが変わってくるのかもしれません。番組制作者は、そうした、ターゲットとなるユーザの環境まで踏まえながら、コンテンツを設計しなくてはいけないのかもしれません。

最後に、全録機のガラポンTVが先日出したリリースによると、ガラポンを導入したことによって、有料チャンネルやCSを辞めて、ガラポンを通じてテレビ番組を視聴する人が大幅に増えた、という発表がなされました。(リリースはこちら)つまり、テレビ自体がつまらなくなったのではなく、テレビを見る機会の多様化と、それを受け止めるチャネルが少なかったからテレビ視聴が減ってきただけであり、ガラポンTVのようにいつでもどこでも視聴できる環境が構築されれば、おのずと視聴者は増えていくかもしれない、ということを証明したことになります。この数字をうけて、テレビ制作者がどう番組構成を考えるか。ここからが大事な時期なのかもしれません。


テレビ制作者とファンとのコミュニティを作る
最後に、第三部として「テレビづくりの未来をつくる」というテーマで、モデレーターにコピーライター・メディアストラテジストの境治さん、ゲストに読売テレビで「ダウンタウンDX」などのプロデューサーの西田二郎さん、北海道テレビで「水曜どうでしょう」のディレクター藤村忠寿さんが登壇しました。




お二人は、テレビ埼玉で放送されている「たまたま」にて共演。この番組自体が、これまでにない新しい番組制作への挑戦だとお二人は語りました。そもそもとして、読売テレビと北海道テレビという局の違う二人が一緒になって番組制作をやる、という事自体が新しい試み。一般的に、番組制作者は自局系列でしか番組は作れません。そこで、中立な局として存在するテレビ埼玉で、今回共演が実現できているのです。

また、「たまたま」はそのほとんどが自主制作に近い番組制作です。番組予算はゼロ。日々スタッフやスポンサーを募集しており、テロップの1つ1つをお二人で制作しています。

番組も、30分ひたすら二人がしゃべり、また編集もほとんどせず、30分流しっぱなしという状態です。これまで、テレビは編集の妙でそのクオリティを作り上げてきました。しかし、その編集によって本当に面白いもの、番組の現場の生感を伝えることが抜けてきたのでは、という思いがあるとお二人は語ります。クオリティという外見ばかりにこだわった番組制作になってきている、今のテレビ制作に対して、1つの挑戦としてこうした番組を作っていきたい、という思いで番組に携わっています。

逆に、ニコ動などに代表されるような番組は、テレビの方からしたらクオリティはとても低いと言わざるをえないかもしれません。時に、放送事故とも言えるような失敗があるかもしれません。しかしクオリティは低くても、そうしたものも含めて見ている人と一緒になって面白いものを作っていこう、という空気感が、特にネット上にはあります。そうした空気感を、これからの時代のテレビマンに求められているのではないでしょうか。

西田さん藤村さんは、「面白くしようと思わなくていい」と語ります。これまで60年かけてテレビが築き上げてきたルールも、もとは何もないところからこれまでのテレビ局の人たちの試行錯誤によってできたルールでした。しかし、現在テレビに携わっている人たちは、そのルールが絶対だと感じたり、ルールが当たり前でありそれを踏襲することを第一に考えがちだと語ります。そこで、いったんすべてを分解し、そこから本当にやるべきことは何かという優先順位をつけていくことが見ている視聴者にとって一番大事なことであり、そして今のテレビに求められているのではないか、とお二人は今のテレビ業界に対して投げかけをしています。予算の取り方、番組の制作の仕方、演出のあり方、1クールという番組の枠など、そうしたすべてを一度改めてみること。そこから本当に面白いと思うものを作るための優先順位を作り上げることが大事なのです。

インターネットのサービスであろうがテレビであろうが、1メディアである限り、そこにおける課金の仕組みは、そのメディアを使うユーザにとって気持ちのよい課金の仕組みを作らないと、スポンサーも制作者もそれぞれの心意気が達成できません。

「テレビの広告は悪」だ、と語る風潮も一部ありますが、本来はスポンサーをしている企業からの支援があって番組は成り立っています。広告がついているといった前提、お金はあって当たり前、という発想を、現場の番組制作者が持っている、その思いあがりが、今のテレビが改善すべき意識なのではないでしょうか。

「たまたま」の例にあるように、番組制作者自身が、真の意味で番組制作とは、といったものを考え、そこから予算やコンテンツを考え、そして、それを支援するスポンサーに制作者は感謝をし、そして、見ている視聴者も広告主にいい番組を作ってくれた、というその心意気に感謝をする。テレビに限らず、本来であればそうした制作者とスポンサーの心意気に対して、見ている視聴者は応えるべきだったのではないでしょうか。制作者自身も、惰性で作るのではなく、本気で作りたいと思うものを作り、その思いにスポンサーは応え、その思いに共感するユーザが課金をする。そうした当たり前な仕組みを、テレビは取り戻そうとしているのかもしれません。

そのためにも、作り手である制作者とユーザである視聴者が同じフィールドに立ち、一緒になって作り上げていくという感覚を持つにはどうしていけば良いか。お二人とも、テレビの番組制作もコミュニティを運営するような形に移行していくのでは、という話が印象的でした。ユーザとコンテンツ提供者の形が変わってきており、予定調和な決まりきったことにユーザは満足していないからこそ、ユーザが参加できる余地を作り、共に作り上げる仕組みをテレビが持った時、新しいテレビのあり方があるのではないだろうか、という提案で話は終わりました。

局という立場、一番組の制作者という顔が見えることにより、よりユーザとテレビとの距離感が近くなり、双方向のコミュニケーションを通じてともにコンテンツを作り上げる。こうした動きは、これまでのテレビのあり方を一新する流れかもしれません。もはや、テレビはテレビというメディアを通じ、ユーザと対話していくプラットフォームを作っていく担い手、という位置づけになっていくのかもしれません。

テレビもネットも同じフィールドにいる競合であり協働パートナー
第一部から第三部まで通底しているのは、もはやこれまで私たちが考えていた”テレビ”という姿はじょじょに変わりつつあり、テレビというメディアを通じ、ユーザである視聴者とどのように番組を作っていくを共に考えるプラットフォームの一部へと移行してきています。そうした時に、これまでテレビというメディアが持っていたコンテンツ制作力やノウハウは、良質なコンテンツ作りやネットワークを駆使し、これまでにない新しい何かを作るだけのリソースを持った、新しいコンテンツ提供者へと変わっていくのかもしれません。

ユーザからしたら、ニコ動であろうがテレビのコンテンツであろうが、最終的には面白いものがあるところに集まる、ということには変わりありません。そして、その面白いものを見るためのツールが、マルチデバイス、マルチチャンネル、セカンドスクリーンなどの多様化したコミュニケーションツールへと変化していく中、コンテンツベンダーは、それぞれのコミュニケーションツールを駆使し、ユーザ満足度を高める施策を考えていかなければいけません。そこには、ネットだろうがテレビだろうが関係ありません。同じユーザの可処分時間を奪う1つの競合であると同時に、時にユーザの体験を向上させるパートナーであるのかもしれないのです。

テレビは今、ものすごく変化が問われていると同時に、この変化が成功した先には、新しい「テレビ局」というコンテンツベンダーとしての形があるのかもしれません。こうなった時に、ネットのコンテンツベンダーはどのようにしていくべきか。ネット業界の方々は、正直言えばあまりテレビを見てるとは言えません。もちろん、テレビについての研究をしているとは言えないでしょう。しかし、テレビの側は今や急速にネットの最新の情報などをもとに研究し、成長を図ろうとしています。コンテンツのクオリティやユーザとのコミュニティがテレビという場で出来た時、ネットの人たちが生きていく道があるのか、と少し考えてしまいます。ネット隆盛と言われていますが、気づいたら後ろには、大きな巨人であるテレビは、ネットを食わんと準備を進めており、気づいたらネットを抜き去る、という状況が生まれるかもしれないのですから。

そんなことを考えさせられる、大変刺激的なイベントでした。











2013/06/09

総務省が、統計データにおけるAPI機能の試行運用を6月10日から開始

photo credit: suzannelong via photopin cc


総務省は、統計データの高度利用環境の構築のため、2013年6月10日(月)10時より、統計データにおけるAPI機能の導入による試行運用を開始する、というリリースを出しました。(リリースはこちら)

このAPI機能の導入は、独立行政法人統計センターが運用する「次世代統計利用システム」上で試行運用を開始します。

これは、いわゆる「オープンデータ」と呼ばれる政府行政が持っている公益情報を公開することです。それによって、誰もが自由にデータをもとにサービスを開発したり新規事業などを立ち上げ、独自の行政サービスを作り上げることができます。海外では、オバマ大統領が提唱した「オープンガバメント」の中でも、こうしたオープンデータを推奨し、様々なアプリケーションを民間初で始めることを促進しています。実際、オープンデータをもとにしたハッカソンなどを行政自らが主催し、これまで行政だけで考えられていた行政サービスを、民間や優秀なプログラマーなどの力を使い、よりよい社会の環境を作っていこう、という取り組みが実施されたりしています。


今回の試行運用で利用可能な統計データは、国勢調査、労働力調査、消費者物価指数、家計調査など総務省統計局所管統計の約3万2000のデータだそうです。まだ試験運用というため、総務省が持っているデータすべてはなく、またデータの量があまり多くはないため、どれだけの効果が生まれるかはわかりませんが、こうしてオープンデータの取り組みが少しづつ行なわれるのは一歩前進、といった意味で、評価できるポイントなのではないでしょうか。まだ10日になったら、実際にアクセスしてみてから、使用感などをみんなでレビューするといいかもですね。


総務省としては、今回の試行運用を通じて機能やシステム負荷等の検証をユーザからの意見をもとに検証し、平成26年度中にe-Statに同機能を整備し、各府省の統計データの利用が可能となる本格運用を目指すとしています。

行政主導から民間主導へ。まだまだオープンデータの課題は山積していますが、一歩ずつこういった取り組みがなされることで、私たち自身で社会を作っていく環境ができてくるのではないでしょうか。

自著『パブリックシフト ネット選挙から始まる「私たち」の政治 』でも、こうしたオープンデータの事例などを盛り込み、日本におけるオープンガバメントによる新しい社会のあり方についても触れています。今回の試験運用は、これまでのトップダウン型から私たち自身で社会を作るボトムアップ型へと移行することの、1つの事例になるのではないでしょうか。










金沢のアーティストたちが集う発信の拠点「問屋まちスタジオ」

先日、友人の結婚式で飛騨に行ったついでに、金沢にまで足を運んできました。そこで、金沢駅から10分ほどのところにある「問屋まちスタジオ」を訪問しました。

「問屋まちスタジオ」は、2010年5月に、金沢美術工芸大学と協同組合金沢問屋センターが「問屋町の街づくりに関する協定」を結び、アートを活用した新しい街づくりの取り組みとしてプロジェクトがスタートしました。その発信の拠点として2011年3月に、問屋センターから提供された旧印刷工場を活用し、「問屋まちスタジオ」は立ち上がりました。


金美(金沢美術工芸大学の略)の卒業生たちや現代美術のアーティストたちの制作活動や発表の場などのギャラリーとして機能しており、また、中にはアーティスト・イン・レジデンスとして、アーティストやクリエーター、キュレーターたちの交流の場としても機能しています。


中は、さすが元印刷工場と言っただけあり、無骨な中にホワイトキューブな空間が広がっており、ギャラリー展示やパフォーマンスをするのに十分なスペースを持っています。


ちょうど伺った時は入れ替えなどの時期だったみたいで、大きな展示はされていませんでしたが、壁には、これまで活動していた活動の様子などを写真で掲示していたりしていました。



金沢市の問屋町は、元々問屋業を営む会社が集合した場所でもあり、昭和40年代の古い面影をもつビルが立ち並ぶ地域でもあります。「問屋まちスタジオ」の場所は、9つの会社が長屋状に連れなった建物のひとつです。また、大きな県道が近くを走っており、広々とした道路に面した建物と地域は、多くの人たちが集まる場所として、最適な地域とも言えます。

ただ、こうした街づくりとして機能するためのスタートした場所も、問屋町というかつての工業地域の中にあるということで、気軽に一般の人が足を踏み入れるような雰囲気でもなく、夜になると付近は者静けさが多少漂う場所でもあります。活動を初めて2年が経った中、じょじょに地元の人たちにも活動を知ってもらっているようで、こうした活動は長期的な視野を持って活動しながら、地域の人たちと一緒に少しづづ前に進めていくことが大事です。場所柄たしかに週末や夜は人が普段は足を踏み入れない場所だからこそ、「問屋まちスタジオ」がある、という目的を持って訪れる人が増えれば、おのずと盛り上がりを見せていくと思います。

街づくりやアートセンターというのは、建物というハードのみならず、そこに集まる人たちが集うためのソフトの力も必要となります。地域の人たちとアーティストが集う場所として機能するためには、アートの力、建物の力、そして地域の力も必要となります。ハードとソフトという両輪が上手く周ることで、コミュニティの盛り上がりを作ることができます。また、ハードも何か新しいものを1から作るのではなく、こうしたすでにあった建物をリノベーションし、その土地の文脈を引き継ぎながら今の時代、そしてこれからの時代に見合った形を作っていくことが求められています。1から作る時代ではなく、利活用する時代こそ、これからのコミュニティデザインに必要な意識なのだと思います。

「問屋まちスタジオ」は、比較的若手のアーティストたちが集う場所に、現在ではなりつつあるようで、金沢のみならず東京や地方の人たちも、イベント毎には駆けつけ、集まる場所になっているそうです。

また、こうした場所を市や行政も支援する動きが、金沢でも少しづつ起きつつあるようです。アートやデザインといったクリエイティブな活動は、東京などの都心といった場所ではなく、こうした地方都市から発信されることで、まだまだ発掘されていない優秀な才能をもったクリエーターを見つけることができます。こうしたアーティスト活動やクリエイティブ活動が、最近色々な地域で活発化してきているように感じます。こうした地方の場所を、うまく東京や都心にいる人たちも足を運び、そこから新しい企画やプロジェクトを立ち上げるきっかけになればと思います。

今の時代は、ネットワークがどんなに発達していても、やはり最終的には自分の足で、自分の五感を通じて人と話をしたり、そこの土地がもつエネルギーを感じることでしか、新しい発想や創造力を養うことはできないと思います。まだまだ見つけられていない面白い活動を、もっともっと見つけていくためには、東京以外の地域に足を運ぶことが大事だと思います。





2013/06/07

京都の魅力発信と、地域を盛り上がるため取組み。「京都移住計画」を通じて京都への移住を後押しする


地方出身者のみならず、東京から離れてどこか違う土地に住むというのは、大きな決断がいることだと思う。いわゆるUターンやIターンという現象は、都心一極集中ではなく日本の各地に分散することで、より住みやすさや自分にとっての暮らしやすさを追求する方法の1つと言える。

その中で、京都に移住する人を増やそうと取り組んでいる活動がある。「京都移住計画」という活動は、京都に縁があるメンバー数人が集まって活動をしています。


「地方を盛り上げる」という目標を掲げる活動はたしかに全国たくさんあります。だが、その盛り上げ方の多くが、観光誘致の手法に偏っていることがあったりします。しかし、観光という表面的なものではなく、その土地に愛着をもち、その地域に長く住んでもらうことこそ、地域が地域として盛り上がる1つの方法だと思います。そうした意味で、「京都移住計画」の取組みは、京都の魅力の発信ではなく、どのようにして京都に移住し、長く住んでもらうかを考えると同時に、実際に京都に移住した方々にヒアリングをしたり、定期的にイベントを開催し居住者同士のコミュニティを作り、そこから京都に移住したくなる企画を考えています。

私自身も縁あって京都に行く機会も多く、京都移住計画に活動している方々とも日ごろよく話をしたりしています。活動されているメンバーも、ちょうど同じ84年生まれ世代ということも親近感を持っていて、また自分も福岡出身という東京ではない地方出身ながら、地元を愛し地方の魅力を発信している人たちに対しては、何かしら応援したいな、と思っているところです。

以前参加した時も、30人以上の人が参加し、さらに、地元の野菜などを使った料理をふるまうなど、かなり豪華なイベントで、みんなでわいわいしながら楽しく交流するイベントでした。


そんな京都移住計画の活動もこれまで京都を中心に活動していたのですが、やはりこういった活動や京都以外でやることで意味がでてくると思い、東京でやったら?と言っていました。そんなアドバイスが通じたのか、6月22日(土)に、ついに東京でイベントを開催することになったみたいです。

【イベント】
ぼくらの移住計画 https://www.facebook.com/events/200471123436013/

「京都移住計画」以外にも、こうした移住を促進している団体もいくつかあるみたいで、そうした団体が集まり、それぞれの魅力について語り合ったり、どうやって居住者を増やすかについて話す場になるみたいです。

移住に興味がある人も、やはり移住をするにもその移住先に安心出来る友人などのつながりがあったほうがいいと思います。また、移住するほどではなくても、その地域の友人ができるだけで、旅行やちょっとした時に話ができる人のつながりができるだけでも楽しいかと思います。

東京のみならず、こうやって地方が盛り上がることで、全国各地が有機的につながり、そこから新しいプロジェクトや取り組みが生まれてくることで、より面白くなるんじゃないかと思います。

京都移住計画 https://www.facebook.com/kyoto.iju.keikaku


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