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2014/01/27

28日にせんきょCAMPでトーク、31日にスクーで授業やります−−都知事選をきっかけに、東京の未来について考えよう



1月28日に、せんきょCAMPで都知事選を踏まえながら東京の未来について考えよう、といった話をさせていただきます。

■YouthCreate: 【1月28日緊急開催】世界の中の東京・日本~せんきょCAMP【東京】FESTIVAL×YouthCreate ~ http://youthcreate.blogspot.jp/2014/01/128campfestivalyouthcreate.html

また、31日にはオンラインの授業サービス「schoo(スクー)」で建築家の藤村龍至さんと一緒に授業をします。

■2014年東京都知事選から、東京と日本の目指すべき姿を考える http://schoo.jp/class/402

藤村龍至さんとは、元日に放送されたNHK Eテレ「ニッポンのジレンマ」でもご一緒したのですが、そこで話があまりできなかった都市の課題や未来についてどこかで話ができたらいいなと思っていたら、ふとしたことからスクーで話をさせてもらうことになったので、色々と楽しみです。授業では、参加者のみなさんとのディスカッションも多くとって、参加者と一緒に東京について考えるきっかけとできればと思っています。

どちらも、都知事選そのものよりも、都知事選をきっかけに東京の未来や目指すべき姿について考えよう、という趣旨のイベントです。選挙前のブログ(eguchishintaro.blogspot.jp/2014/01/tokyo-tochiji.html)でも書いたのですが、東京という都市がどうあるべきか、そのための議論が足りないと最近感じるところです。

家入さんの立候補者で一部では盛り上がりを見せていますが、たしかに政策をボトムアップで吸い上げていくこと、選挙期間中でのネットを通じた盛り上がりはものすごく良いことです。しかし、同時に選挙の時にだけ盛り上がっても意味がありません。選挙期間以外でも、どれだけ議論ができるかが大事です。

もちろん、僕らが声をあげ意見を出していくという意味では、ネット選挙において今回の形は面白い取り組みだと言えますし、その点はものすごく評価できると同時に、今後のやりとりにも注目していければと思っています。注意すべきは、ボランティアで活動されている人たちが公職選挙法に引っかからないように、注意して活動してもらえたらと思います。

政策について市民が意見を言えるようになってきた社会という意味では、大きな意味を持ってきています。その次のフェーズとしては、ただ意見を発信して終わりではなく、それらをきちんとまとめ、実際の政策として反映させ社会の仕組みを最適化させていくことが必要です。そのための手法としてのオープンガバメントであり、目的としてはその政策が実現されて、始めて意味がでてくるものです。最終的に誰が知事になっても、みなさんが出した意見というのをきちんと政策やその後の都政に反映させることが重要なのです。

そのためには、実現可能性を高めるための根拠をもとにした政策提言もしていかなければいけません。そのための議論を、広く多くの人たちとともに行なって形作っていき、意見を届けるだけでなく実現へと推し進めるための地道な活動が必要なのです。私も関わっている、オープンデータを推進するOpen Konwledge Foundation Japanも、内閣府や各種官公庁の方々とやりとりをしながら、全国各地の自治体らと連携しながらオープンデータ化を進めています。

もちろん、地道な活動だけでは普段はなかなかフォーカスされにくいため、こうした選挙時や著名な人たちによる協力や発信に意味がでてきます。海外では、セレブリティこそ政治的な発言をする人も多く、自分の主義主張をきちんと発信している姿を見ることができます。

原発などのエネルギー問題も、高齢者問題、医療や介護といった福祉、教育やインフラ整備など、さまざまな政策論点が選挙では言われていますが、都市計画においてはそれらは個々の問題でしかなく、それらを包括した大きなビジョンとしての都市のあり方そのものを議論することが、圧倒的に足りていないのは確かです。

2016年に開催されるブラジルのリオデジャネイロでは、オリンピックをきっかけに都市計画を大きくたて、スマートフォンやインターネットなどのテクノロジーを活用し、政策決定に対して市民を積極的に巻き込むオープンガバメント施策を行ったりしています。(このあたりは、最新号のWIREDvol10 に詳細が載っています)

都市がどうありたいか、その中で自分たちの生活や暮らしがどうあるべきか。そして、そのために必要なテクノロジー開発も推し進めていかなければいけません。市民の意識を創発させ、新しいアイディアを生み出すための場作りも必要です。フューチャーセンターコミュニティオーガナイジングのような動きも近年日本でも注目されるようになってきました。そうした場を通じて、広く多くの人たちと対話をする場がこれからもっと重要になってきます。こうした都市の未来を考える「Urban Future」という取り組みが世界でも起きているように、東京の未来を考える「Tokyo Urban Future」といった取り組みを起こそうと、いま実は構想しています。もし、興味がある人はご連絡ください。

今回の都知事選をきっかけに、都市の未来を考える意識を多くの人がもってもらえることが、未来を作る一歩かもしれません。




2013/11/18

【イベント】新しい働き方について考えるTOKYO WORK DEISIN WEEKのプログラム「U-30の働き方」に登壇します #twdw2013

ここ数年、「新しい働き方」というものが議論されたりしています。そもそも、なにをもって「新しい」のでしょうか。よく言われているのは終身雇用制が崩壊し、経済も低迷化してくるなかで、またインターネットなどの登場などにとって社会インフラが変化し、それにともない働き方や生き方などが見直されようとしている、と言われています。

そうした中で、「働き方」について、改めて考えるような動きに対して、どう私たちが向きあえばいいのだろうか。

そもそも、「働く」とはなんなのか。僕は、働くの先にある「生き方」について、もっと模索していきたい。働くというのも、突き詰めていけば「生き方」の一つの手段でもある。それにともない、会社員という肩書や個人事業、起業といった手法自体にも特定の人達だけのものではなく、誰もが選択することができるような時代の中で、会社員とフリーランスを分けること自体にも意味がなくなってくるのではないかと思うのです。

会社員から個人事業、そしてまた会社員となったり、起業してそこから会社員となったり、またそこから起業したりなど、いわゆる大企業とフリーランスという二項対立と考えてられているもの自体も意味をなさなくなるのではないか。その人がどう生き、どう暮らしたいかという観点において、もっと色んな視点やあり方があることを認識し、働くということになんか正解なんかなくて、社会全体がもっと流動性を高めてもいいのではないか、と思うわけです。

だからこそ、「働き方」の議論の先の「生き方」の議論を僕はもっとしたい、そんなことを最近は考えています。



さて、そんな中、いいかげん「働き方」関連のイベントってどうなんだろうね、と思っている時に、11月20日から26日の間、渋谷のヒカリエなどで開催される「TOKYO WORK DESIGN WEEK 2013」(以下、TWDW)のプログラムである「U-30 の働き方」に登壇することとなりました。先日には、こんな感じで東急沿線の中吊りにも広告を出すくらいの大々的なイベントになっています。

TWDWでは、「新しい働き方」や「未来の会社」にまつわるアイデアやヒントを交換して、多様な交わりから新しい未来をつくっていく、ひらかれた場、というのがコンセプトだそうです。20日から始まるさまざまなセッションでは、行政や企業・NPO・個人で活躍する30組以上の人たちがトークセッションをしたりワークショップをしたりするイベント、だそうです。働き方系のイベントが一過性のもので終わるのか、それとも、生き方を模索するものとなるのか。参加者がどういったモチベーションで参加しようとしているのかが気になったりします。よければ、ぜひヒアリングさせてください。

僕は、11月23日(土)の夕方から、「U-30 の働き方」というセッションに登壇するのですが、人生やはり30歳というのは一つの節目だったりします。結婚をする同世代も増え、会社員であれば会社員5年目くらいから部下や大きなプロジェクトを任されるようになってきたりと、人生の岐路や今後の方向性として、転職したり起業したりという挑戦をするタイミングでもあったりします。僕自身、会社員となったことはないですが、23歳から大学進学という変わった経歴の中、その後大学在学中からなんやかんやで活動してきたりしたら今のような感じで、色々とやらせてもらっているのですが、僕自身がどんな思いで日々行動しているのか、みたいなものが話せればいいかなと思うと同時に、30歳以降についてどう考えているか、過去、現在、そして未来をどう見据えて行動しているのかについて、話せればいいかな、と思っています。

興味のある方、なんか働き方とか生き方とかについて考えている人、とりあえず江口の話を聞いてみたい、という人はぜひ参加してみてください。ゲストや参加者を含めたワークショップみたいなコンテンツも用意しているみたいです。

イベント参加はこちら:U-30の働き方 | Peatix

以下、イベント概要です。
詳細
■新しい働き方を実践している同世代と「新しい働き方」について考えよう!!

「新しい働き方」
最近コワーキングスペース、ノマドワーカーという言葉とともに、新しい働き方という言葉もよく耳にするようになりました。
しかし「新しい働き方」という言葉.なんとなく意味は理解しているけど、実際どんな働き方をしている人が新しい働き方といわれているのでしょうか?
そんなぼんやりとした「新しい働き方」を、実際に新しい働き方をしているU-30世代をゲストスピーカーに迎え、TWDWでもテーマになっている
「新しい働き方って、そもそもどんな働き方?」をテーマにトークセッションをします。
今の働き方を変えたいと思っている方にはヒントが盛りだくさんのトークセッションになること間違いなしの会。
この機会に自分にとっての「働き方」を改めてみんなで考えてみませんか?
また会場には「U-30の仕事への想い」というテーマで、U-30世代の様々な職種の方の仕事への想いをパネルで展示します。
人生の中でもかなりの時間を占める仕事をしている時間。この時間をどういった想いで過ごしているのか?
いろいろな人の想いを見るだけでも、刺激を受ける内容となっておりますので、こちらも是非ご覧になってください!
-----------◯イベント概要◯------------
【日時】2013年11月23日(土) 
19:00〜 受付開始 
19:30〜 一部 「新しい働き方って、どんな働き方?」 トークセッション
20:50〜 二部 「自分にとっての働く、仕事って?」 グループワーク 
21:30 閉場
21:30〜 懇親会
【場所】渋谷電源カフェ beez
東京都渋谷区渋谷2-22-14 渋谷二丁目ビル 7F
【チケット代金】一般¥2,000 ※懇親会参加希望の方は+1000円
キャンセルにつきましては、払い戻しができませんのでご注意ください。
※21:30に会終了後、懇親会を行えることになりました。
軽食、ドリンクをご用意いたしますので、参加希望の方は受付時に懇親会参加費1000円も合わせてお支払いいただきますようよろしくお願いいたします。
【定員】先着40名
【ゲストスピーカー】
田村 篤史 (京都移住計画代表)
http://kyoto-iju.com/
江口 晋太朗 (編集者、ジャーナリスト)
http://eguchishintaro.blogspot.jp/
松本 健太郎 (エンジニア、作家)
https://www.facebook.com/daidora10000
松浦 伸也 (ヤッチャバ事務局統括)
https://www.facebook.com/yacchaba
【ご注意事項】
※本プログラムはネットライブ配信は行いません。
※本チケットでは、トークプログラムや仕事体験など他プログラムにはご参加頂けません。
※開始&終了時刻は、当日の都合により、延長などで変更になることもございます。
※本イベントは成人の方、未成年の方共にご入場頂けます。
※お席は全席「自由席」になります。お手荷物・貴重品等はお客様ご自身で管理をお願い致します。
※開催されるイベント内で新聞、テレビ、ラジオ、雑誌等が参加者を撮影、取材し、それを報道のために使用することがあります。
【問い合わせ先】
aane.pino@gmail.com


【参考書籍】
近年の「働き方」議論であげられる『ワークシフト』がありますが、個人的には星海社の『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』もオススメだったりします。また、起業とかビジネスを考えている人には、『DIGITAL DISRUPTION』というデジタルが起こす創造的破壊について書かれている書籍がオススメだったります。







2013/07/18

【レポート】6/21 OpenCUイベント−−身の回りの問題に気づき、小さなアクションを起こすことが大きな一歩となる



少し前の話題ですが、6月21日にロフトワークが主宰するOpenCUというワークショップイベント「身の周りの気づきをアクションに変える 〜ソーシャルムーブメントの実践者と学ぶパブリックシフト」を行ないました。

これは、6月27日に出版させていただいた(イベント時は出版前)拙著『パブリックシフト』の中身に沿いつつ、身近な社会問題を解決するために一般の人たちが周りの問題に意識を向け、そこから解決策を見出すためのワークショップを行いたいという思いから開催へと至りました。

ゲストには、ハフィントン・ポスト日本版編集長の松浦茂樹さん、オンライン署名サービスのChange.org日本代表のハリス鈴木絵美さんをお呼びしました。

「身近な問題に意識を向け、小さなものでもアクションを起こす」
「アクションを起こすためのデザイン思考フレームワークで体感する」

という軸のもと、社会の問題を「自分ごと」化し、小さなアクションへと目を向けるためのイベントにしたい、というのがイベントのゴールでした。

そのため、ゲストのお二人をお呼びしているものの、ゲストが話をしトークセッションを行うというよくあるようなイベントの内容は冒頭の40分程度で終わり、その後のワークショップに1時間以上もの時間を割く時間構成しました。

One Voice Campaign、そしてパブリックシフト

とは言うものの、まずは今回のワークの呼び水となるために、私と絵美さん松浦さんでそれぞれ話をしました。

photo by OpenCU CC BY 2.0

まずは、私の話ですが、ネット選挙解禁に向けた活動に取り組んでいたOne Voice Campaignに至った個人の経緯や、One Voice Campaignを通じて、One Voice Campaignの活動では主にSNSで共感を集め、多くの人たちの賛同などを通じて大きな活動へと広がった経緯を話しました。その後、ネット選挙の先にある、オープンデータやオープンガバメントなどの話をし、社会の担い手は政治行政側からの一方的なものではなく、私たち市民が担っていく社会になっていく時代がくる、そのために今回のようなイベントを企画し、市民の側から社会問題に対して意識を向け、小さなアクションから始めることで社会は変わっていくのだ、というお話をさせていただきました。このあたりの話は、『パブリックシフト』にて色々と触れておりますので、ご一読いただければと思います。

「変えたい」を形にするために必要な3つの要素

次に、Change.org日本代表のハリス鈴木絵美さんより、Change.orgの説明や実際に成功したキャンペーンの話、そしてキャンペーンを考える時に必要なポイントについて話をしていただきました。

photo by OpenCU CC BY 2.0

Change.orgは、すでに世界3500万人以上のユーザが集まり、日々数百件以上ものキャンペーンが世界で立ち上がっています。日本でも、W杯における男女サッカーにおける処遇の違いの是正キャンペーンが立ち上がりニュースとなったり、ドイツの関税に押収されたバイオリニストのバイオリンの返却のためのキャンペーンなど、すでにいくつもの成功事例が出てきています。

キャンペーンを立ち上げる際に気をつけるヒントとして、絵美さんは3つのポイントを説明しました。
①Crisitunity 
ピンチの時こそ、注目が浴びているから変化を起こせる大きな機会であること
②目標の具体性 
大臣や法律を変えるという大きな目標ではなく、すぐにできる小さなアクションから始めること
③Theory of Change 
変化を起こすためのロジックを作ること。例えば、変えたい事例と同様の事例を探し、その事例をもとに変化を促すなどを指す。

こうしたヒントをもとに、日々Change.orgではいくつものキャンペーンが起きている。「変えたい」思いを形にするという、Change.orgの哲学を感じさせる話でした。

読み手と書き手で作り上げる言論空間

最後に、ハフィントン・ポスト日本版編集長の松浦茂樹さんより、ハフィントン・ポストの成り立ちやメディアとしてのあり方について話をしてもらった。

photo by OpenCU CC BY 2.0

ハフィントン・ポストは、アリアナ・ハフィントン氏が2005年に創設したメディアだ。事実報道は、各種メディアサイトからのアグリゲートをもとに記事にし、編集部が独自に取材をする独自記事や、寄稿していただくブロガーなどの記事によってなりたっています。(私も、ハフィントン・ポストで記事を書いています。次書かなきゃ…

また、ハフィントン・ポストの特徴的なものとして、コメント機能の充実だ。誹謗中傷などのものなどを除き、基本的には誰でもコメントを書くことができ、そのコメントで議論されたことがきっかけでさらに次の記事が投稿されるという、ボトムアップ型のメディアと言えます。

これまでの事実報道中心の情報発信ではなく、コメントやブロガーによる寄稿などを通じ読み手と書き手が双方向に対話をし、そこから新しい議論を生み出すというソーシャルメディア時代のメディアのあり方を模索している媒体だと話しました。そのため、編集部からの記事などは読者からのコメントなどを誘発するような書き方となっている。その特徴的な例として小平市の住民投票が不成立 「35%の人々の声はどうなるのか」の意見も などのようなものが挙げられます。小平市の話は、それまでニッチな話題だとみなされていたものが、書き手が呼び水となりそこから議論が深まった事例と言えます。こうした、読み手と書き手が、ともに社会問題について議論する言論プラットフォームとしての存在だと話してくれました。

photo by OpenCU CC BY 2.0

Change.orgもハフィントン・ポストも、ともにプラットフォーム型としての形を示しており、市民の側からの問題提起や意見によって社会問題を可視化し、そこから解決策や議論を深めていく、まさにボトムアップ型の社会に必要なサービスやメディアと言えるかもしれません。『パブリックシフト』の中においても、こうしたボトムアップ型の社会の到来に向けて、私たち市民が政治や社会を担っていく、そのための意識をどう向けていくかが課題だと書かせてもらったこととリンクしてきます。


普段、意識をしない問題の解決策を考える

トーク終了後は、参加者によるワークショップを行ないました。ワークショップの手順として、今回はまずは自身が日頃感じている身近な問題を2から3つほど紙に書いていただきました。その後、参加者が書いた紙を一覧し、参加者全員がどういった問題を持っているのかを可視化しました。



問題意識を共有した後、一覧された問題の中から、関心のある問題(共感するもの)と、関心があまりない問題(問題かもしれないが、自分にとってはまだあまり身近に感じられないもの)の2つを直感で選んでいただく作業をしてもらいました。

そして、ここが今回のワークショップのポイントなのですが、今回は「関心のあまりない問題」をみなさんで議論する、という流れに設計しました。

よくあるワークショップだと、往々にして自身が興味や意識のある問題に対するグループを作りがちですが、既知の問題は収束地点をグループの参加者の多くが把握しており、予想外な解決策などが出にくくなっている、という問題もはらんでいます。また、そうした状態は日頃の生活の意識を変えるような体験になることはとても少なく、期待や予想を超えるような体験になりにくい傾向があります。そのため、今回のワークショップでは普段自分がなかなか意識しない、もしくは普段関心を抱かないような問題に対して、常識などの枠を外した状態で解決策を考えてもらい、それによって普段の生活の視点の幅を広げてもらおう、という試みでした。

photo by OpenCUCC BY 2.0

5グループに分かれていただき、基本的にどのグループも自分があまり問題意識を持っていない議題に分かれていただき、今までにない新しい解決策を見つけてください、ということでワークがスタートしました。参加者も、今回のワークの中身をこの場の直前で知り、始めは自分に興味のあるものを話すつもりでいたのか戸惑う人もいましたが、始めると意外と参加者も今まで考えたことがなかった問題に対して真剣に考えるようになってきました。もちろん、私やゲストも時折グループに参加して議論などに対するヒントやアイデアを促し、より効果的に解決策を見出す手助けをする役割をしていました。

おかげで、各グループとも思ってもみないような面白いアイデアで議論が次第に盛り上がってきました。もちろん、 今回のワークの内容が本当の意味での解決策になるかどうかはわかりませんが、普段意識しない問題を考える30分によって、日頃の生活の意識ががらっと変わってもらうことが大事だと考えています。



ワークの時間が終わり、各グループともにチームで出したアイデアをもとにした解決策について、ショートプレゼンを行なっていただきました。
・チーム名
・解決方法の名前
・キーワード
・ターゲット
・解決に必要な要素
・アクション
・達成イメージ
などの項目を埋めていただき、話し合った課題と、それに対する解決策を話していただきました。

最初はなかなかアイデアがでなかったチームも、最後の最後でアイデアを見出し、予想外の解決方法でプレゼンの時には参加者から笑いや拍手をもらうなどしていました。全グループごとに、僕やゲストの絵美さんや松浦さんも、それぞれのチームに対してアイデアの良さや解決策の切り口の面白さについてコメントをしていただきました。

多様な生き方の人たちが集まり、新しい何かを生む場を作っていく

今回のワークは、冒頭のイベントの目的でも述べたように、ボトムアップ型の社会のための1つの場のあり方だったのではと考えます。

これまでのゲストや偉い人がしゃべり、「解決方法はこうです!」と答えを決めて言うのではなく、みんなと一緒になって問題解決を考え、時には思考のフレームを外し、新しい発想でアイデアを生み出し、そこから新しいソリューションを提示しイノベーションが創発する可能性の場を導き出す。そうした場に、それぞれに活動をしている方々がファシリテーターとして議論を促し、参加者に対して思考の新しいタネを生み出すようにすること。それによって、自分が考える方法とは違った新しい解決策が出てきやすくなってきます。それをもとにさらにみんなで議論を重ねていくという、まさにこれからの時代におけるファシリテーターの役割に重要性も認識したワークショップでもありました。

多様な生き方をしている人たち同士が集い、そこから新しい”何か”を生み出す場を作っていくこと。そうした場を今後も実践していきたいと考えると同時に、ぜひ多くの人たちも、こうした場を通じて様々なアイデアのタネを生む機会を作ってもらえたらと思います。

僕個人でもよければ、全国どこでもお話やワークショップのお手伝いをさせていただければと思います。ゲストとして参加していただいたChange.orgの絵美さん、ハフィントン・ポストの松浦さんも、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。




2013/07/17

【企画】8/3に日本酒と屋形船で夏の風物詩を楽しむ


昨年のちょうど海の日に、渋谷にあるfactoryというカフェで「海の日!渋谷で浴衣で夏祭り!」というイベントを企画しました。

 日本各地の名産品を取り扱っている企業やサービス事業者を呼び、浴衣を来た若い人たちで夏を感じるイベントとして、200人や300人以上の人たちに来てもらい、大変多くの人たちに喜んでいただきました。

普段、なかなか浴衣や日本の伝統文化を感じる機会はあまり多くはありません。けれども、若い人たちの中には、日本の文化を感じる機会が身近にないだけで、興味や意識を持っている人たちは、たくさんいると思います。(僕の周りにはそんな人が多いです。)

そこで、日頃からお世話になっている、日本の定期購読サービスを提供しているSAKELIFEさんと一緒に、昨年に引き続き夏祭り企画を8月3日に開催します。



今年は、日本酒を粋に楽しもうということで、屋形船に乗って美味しい日本酒を楽しもう、という企画です。かつて、84ismでも過去に2回ほど屋形船企画を実施した時も、参加者のほとんどが浴衣を来て屋形船やお酒を楽しむなど、毎回好評だった屋形船企画。

今回は、その風情のある屋形船に、SAKELIFEが厳選した夏らしい日本酒を手元に、夏の風物詩を味わおうというものです。もちろん、今回のために厳選した日本酒の説明のもと、美味しく日本酒を味わいながら、夏を満喫しよう、というものです。

屋形船は、古くは平安時代からその原型が存在し、当時は貴族の遊びにも利用されていたそうです。河川が整備された江戸時代以降は、大名や商人などの花見や月見、花火などを興じる場所として、広く市民に親しまれていたそうです。今では少し特別な存在と思われるようになった浴衣も、かつては当たり前に着こなし、当たり前のように屋形船を楽しんでいた昔の人たちとは言わないものの、もっとそうした文化を身近に、当たり前なものとすることを、もっと経験していくべきなのでは、と考えています。

ぜひ、8月3日(土)に屋形船に乗って、日本酒を楽しんでみませんか。時間帯は17時スタートで20時終了。

概要は以下の通りです。
(申し込みはこちら)
「SAKELIFE × 屋形船」夏の夜の大人の嗜み〜舟と浴衣と日本酒と〜 | PeaTiX 

【概要】
◆日時:8月3日(土)17:30出港(集合16:45 集合時間厳守
◆集合場所:新木場駅前ロータリー集合
(有楽町線orりんかい線新木場駅 渋谷から約30分)
◆参加人数:50人
◆参加費:7500円(乗船代・飲食・日本酒込)
*船の都合により、7月21日(日)までの事前募集とキャンセル不可となります。

◆ドレスコード
日本の夏を感じる企画となっています。
強制ではありませんが、ぜひ、浴衣を着て屋形船と日本酒を楽しんでもらえたらと思います。
◆注意事項
・屋形船は多少の揺れがあります。また、日本酒などの飲食(ソフトドリンクもあります)のため、船酔いなどにはご注意をお願いいたします。
・食べ物などの簡単な持ち込みは可能ですが、日本酒などはSAKELIFEにてご用意いたしますので、お気軽にご参加ください。
船が出港いたしますので、集合時間厳守でお願いいたします。
【タイムスケジュール】
集合:16:45
乗車:17:30
乾杯 17:45 
・乾杯酒とイベント趣旨説明
・夏らしい、日本酒の味わい方や今回の企画のために厳選した日本酒について説明
・歓談時間
中締め:19:30
解散:20:00

主催:SAKELIFE 協力:TOKYObeta

申し込みは以下からお願いいたします。

2013/06/12

ソーシャルテレビ推進会議に見るテレビの現況と今後

先日おこなわれた、ソーシャルテレビ推進会議一周年オープンセミナー「ビジネスモデルは見えてきたか?」に参加してきました。

ソーシャルテレビ推進会議とは、ソーシャルテレビに関する最新データやニュースを発信するサイト「ソーシャルテレビラボ」が主催するイベントで、放送と通信、マスメディアとインターネットの融合の形として、テレビの次のあり方を模索するためのイベントです。

ソーシャルテレビ推進会議は、毎月有志で集まり情報交換やテレビ関係者たちのコミュニティを作っています。今回で立ち上げから1年を経たということで、オープンセミナーとして100人以上もの人たちがテレビとITの融合について考える場となりました。これまでにいくつもテーマで話されてきた中、テレビとインターネットとの関係が少しづつ見えてきたと語る主催の境治さん。実際、テレビの番組内でも参加者とスマホなどを用いてインタラクティブな参加性を持った企画も立ち上がってきました。そうした知見やノウハウをシェアし、業界内への提言などを試みているそうです。


テレビがAPIを公開し、オープンプラットフォームへの道のりを作りつつある
まずは、セミナーの第一部として「テレビはウェブで飛躍するか」と題し、モデレーターにVOYAGE GROUP中山理香さん、ゲストにNHKの石倉清史さん、日本テレビの安藤聖泰さんが登壇し、それぞれの局が取り組んでいる事例を発表しました。



NHKの石倉さんからは、番組情報への導線がテレビ欄からEPG(テレビ・レコーダー)などへと移ってきてるというお話がありました。SNSやブログへの認知など、これまでの新聞のテレビ欄以外での流入経路が増えてきました。そこで、NHKとしてEPGにおける情報発信をこれまでおこなってきましたが、EPGでは写真やURLなどが発信できないことなど、今の時代の現状に合っていない、スマホオリエンテッドではないという考えが局内からも出てきたそうです。

そこで、つい先ほど(ちょうどイベントの数時間前に!)、NHKの番組情報のAPIを公開した、という発表をおこないました。(NHK番組表APIはこちら

たまたま、イベントとタイミングが合ったそうで、来てる参加者からも大きな声が上がりました。最大48時間先までの全国の総合テレビやEテレ、BS1などの情報を発信するとのこと。もちろん利用は無償で、目的としては少しでもテレビを見てくれる人が増えれば、というお考えでした。今後は、他局と連携を図りながら改善を図っていくそうです。もちろん、今回は無償での利用ですが、その公開範囲は必ずしもすべてとはいえません。どこまでを提供範囲とするかは局内でも現在検討中であり、より広範囲な情報は有償となる可能性もあります。

NHKとしても、まだまだ番組情報に関しての改善は検討しており、番組のLPやテレビのプレイヤー同士のコミュニティを形成したり、各局共通のプラットフォームを作ったり、API利用の動向やユーザ調査などの案も浮上しているとのこと。番組情報というメタデータを、テレビ局が試行錯誤しながら徐々に公開していく1つの試みとして、今回のAPI公開は評価できる取り組みと言えます。

日本テレビの安藤さんも、テレビ局としてのオープンデータを推進することを意義についてお話いただきました。実は、日テレは出演者情報などをWebAPIとして6年前くらいから公開していたそうです。(日本テレビのWebAPIはこちら)目的も、番組のファンなどに向けて、より充実した情報を公開していくための対応だったと言います。

今後は、NHKがAPIを公開しているように、より詳細な番組情報のAPIを公開するなど、色々な情報を発信し、それらを第三者が利用し、番組への認知や発見されやすさ(Discoverability)を高めていきたいとのこと。さらには、番組をもっとソーシャルに連動したり、セカンドスクリーンの企画をテレビ局は打ち出していくべきでは、と語りました。

石倉さんや安藤さんの話の中でもあったように、各テレビ局がそれぞれに独自に動いていくのではなく、テレビ局全体としての統制を図り、局同士が連携し、テレビという場全体がプラットフォーム化することの可能性を大いに感じました。APIの公開をどこまでおこなうか、フォーマットを統一し、どこまでの情報を無償で公開し、どこまでを有償で公開していくか。テレビ局側としても、まだ試行錯誤の段階ですが、一歩づつ進んでいる流れがあるように思いました。

結局は、そのAPIを利用する私たちや開発者、企業などがどこまでの情報を欲しいとするかを、テレビ局側の人たちと一緒に考えていくべきなのではないでしょうか。それによって、テレビ局だけが頑張るのではなく、それを使う私たちと一緒になって考え、よりよいものにしていこうという流れが起きることで、テレビがウェブで飛躍する可能性は大いにあるのではないでしょうか。

一番印象深かった言葉は、「テレビはもはやテレビだけがプレイヤーではない」という言葉。これまでテレビ局主導でおこなわれてきたことを、権限をユーザに一部移譲し、一緒になってテレビを通じた良い体験を作っていこう、という姿勢の表れだと感じました。

利用者の利用シーンを踏まえたテレビそのもののあり方を考える
第二部では「テレビ視聴のこれから」として、モデレーターにビデオリサーチインタラクティブ深田航志さん、ゲストに角川アスキー総研の遠藤諭さん、LG Electronics Japanの土屋和洋さんが登壇しました。

まず初めに、遠藤さんも監修に加わった「次世代テレビに関する検討会」報告書を深田さんが紹介。そこで紹介されている統計データをもとに、議論がなされました。



データを踏まえつつ、テレビという機器そのものをどうしていくかについて、まず初めに、LGのスマートテレビについて土屋さんのお話が続きます。LGのスマートテレビは、リラックス・メガコンテンツ・サイズアップをテーマに掲げ、機能としてジャイロセンサリモコンや音声認識、カメラでのジェスチャー認識など、ただの受信機としてのテレビではなく、よりインタラクティブ性をもったデバイスとして、そしてリモコンレスなものへと移行していく、というお話がなされました。

「次世代テレビに関する検討会」報告書の中でも、今後はスマートテレビが主流になっていくのでは、という記述がされています。その中で、現在の地デジ対応テレビのネット接続率は20%程度に対し、LGのスマートテレビ購入者による調査では45%という数字が示されており、スマートテレビによるネット接続率の向上についての話もあり、よりインターネットを通じて情報のやり取りや多様なコミュニケーション手段のツールとして、テレビが変化していくと予想。

地デジ移行期に購入したテレビの買い替えサイクルがちょうど2020年頃だと言われている中、2020年に向けた大きな買い替えのタイミングに向けて、各社がスマートテレビを主戦とした機器の開発などが問われているのかもしれません。また、今一番売れているテレビも、2台目3台目利用が多く、大型テレビの需要は減ってきているのではないか、次に来るスマートテレビの機能としてWi-FiやIPTV、ユニバーサルリモコンなど、よりUIを踏まえた要素が重要だという議論が続きました。

「テレビ」において今後考えなくてはいけないポイントは何か。それは、どういったユーザが、どういった視聴体験をしているかを考えることではないか、と話は移ります。若い人に多いタブレットなどの視聴では、大音量のスピーカーでの視聴よりもヘッドホンでの視聴も多いそうです。スモールスクリーンとビッグスクリーンでは、必要な機器や番組企画にも大きく関わってきます。よりパーソナル視聴が加速していく中、大画面のテレビの必要性がどれだけあるのか。あるとしたら、そのニーズは何か?を考えることが求められてきます。

メインテレビで考えれば、今市場に出まわりつつある4Kや、次に出てくる8Kといったテレビがどれだけニーズがあるのか。もちろん、テレビ機器メーカーからしたら、より大画面でより大音量でテレビを楽しんでもらいたい、という発想も理解できます。大事なのは、ユーザに対してどういったUXを届けるか、そのために必要なテレビ機器のあり方を考えることなのかもしれません。

モバイルメインで視聴する人と、リビングなどの場所で視聴する人など、ターゲットによって番組への作り込みが変わってくるのかもしれません。番組制作者は、そうした、ターゲットとなるユーザの環境まで踏まえながら、コンテンツを設計しなくてはいけないのかもしれません。

最後に、全録機のガラポンTVが先日出したリリースによると、ガラポンを導入したことによって、有料チャンネルやCSを辞めて、ガラポンを通じてテレビ番組を視聴する人が大幅に増えた、という発表がなされました。(リリースはこちら)つまり、テレビ自体がつまらなくなったのではなく、テレビを見る機会の多様化と、それを受け止めるチャネルが少なかったからテレビ視聴が減ってきただけであり、ガラポンTVのようにいつでもどこでも視聴できる環境が構築されれば、おのずと視聴者は増えていくかもしれない、ということを証明したことになります。この数字をうけて、テレビ制作者がどう番組構成を考えるか。ここからが大事な時期なのかもしれません。


テレビ制作者とファンとのコミュニティを作る
最後に、第三部として「テレビづくりの未来をつくる」というテーマで、モデレーターにコピーライター・メディアストラテジストの境治さん、ゲストに読売テレビで「ダウンタウンDX」などのプロデューサーの西田二郎さん、北海道テレビで「水曜どうでしょう」のディレクター藤村忠寿さんが登壇しました。




お二人は、テレビ埼玉で放送されている「たまたま」にて共演。この番組自体が、これまでにない新しい番組制作への挑戦だとお二人は語りました。そもそもとして、読売テレビと北海道テレビという局の違う二人が一緒になって番組制作をやる、という事自体が新しい試み。一般的に、番組制作者は自局系列でしか番組は作れません。そこで、中立な局として存在するテレビ埼玉で、今回共演が実現できているのです。

また、「たまたま」はそのほとんどが自主制作に近い番組制作です。番組予算はゼロ。日々スタッフやスポンサーを募集しており、テロップの1つ1つをお二人で制作しています。

番組も、30分ひたすら二人がしゃべり、また編集もほとんどせず、30分流しっぱなしという状態です。これまで、テレビは編集の妙でそのクオリティを作り上げてきました。しかし、その編集によって本当に面白いもの、番組の現場の生感を伝えることが抜けてきたのでは、という思いがあるとお二人は語ります。クオリティという外見ばかりにこだわった番組制作になってきている、今のテレビ制作に対して、1つの挑戦としてこうした番組を作っていきたい、という思いで番組に携わっています。

逆に、ニコ動などに代表されるような番組は、テレビの方からしたらクオリティはとても低いと言わざるをえないかもしれません。時に、放送事故とも言えるような失敗があるかもしれません。しかしクオリティは低くても、そうしたものも含めて見ている人と一緒になって面白いものを作っていこう、という空気感が、特にネット上にはあります。そうした空気感を、これからの時代のテレビマンに求められているのではないでしょうか。

西田さん藤村さんは、「面白くしようと思わなくていい」と語ります。これまで60年かけてテレビが築き上げてきたルールも、もとは何もないところからこれまでのテレビ局の人たちの試行錯誤によってできたルールでした。しかし、現在テレビに携わっている人たちは、そのルールが絶対だと感じたり、ルールが当たり前でありそれを踏襲することを第一に考えがちだと語ります。そこで、いったんすべてを分解し、そこから本当にやるべきことは何かという優先順位をつけていくことが見ている視聴者にとって一番大事なことであり、そして今のテレビに求められているのではないか、とお二人は今のテレビ業界に対して投げかけをしています。予算の取り方、番組の制作の仕方、演出のあり方、1クールという番組の枠など、そうしたすべてを一度改めてみること。そこから本当に面白いと思うものを作るための優先順位を作り上げることが大事なのです。

インターネットのサービスであろうがテレビであろうが、1メディアである限り、そこにおける課金の仕組みは、そのメディアを使うユーザにとって気持ちのよい課金の仕組みを作らないと、スポンサーも制作者もそれぞれの心意気が達成できません。

「テレビの広告は悪」だ、と語る風潮も一部ありますが、本来はスポンサーをしている企業からの支援があって番組は成り立っています。広告がついているといった前提、お金はあって当たり前、という発想を、現場の番組制作者が持っている、その思いあがりが、今のテレビが改善すべき意識なのではないでしょうか。

「たまたま」の例にあるように、番組制作者自身が、真の意味で番組制作とは、といったものを考え、そこから予算やコンテンツを考え、そして、それを支援するスポンサーに制作者は感謝をし、そして、見ている視聴者も広告主にいい番組を作ってくれた、というその心意気に感謝をする。テレビに限らず、本来であればそうした制作者とスポンサーの心意気に対して、見ている視聴者は応えるべきだったのではないでしょうか。制作者自身も、惰性で作るのではなく、本気で作りたいと思うものを作り、その思いにスポンサーは応え、その思いに共感するユーザが課金をする。そうした当たり前な仕組みを、テレビは取り戻そうとしているのかもしれません。

そのためにも、作り手である制作者とユーザである視聴者が同じフィールドに立ち、一緒になって作り上げていくという感覚を持つにはどうしていけば良いか。お二人とも、テレビの番組制作もコミュニティを運営するような形に移行していくのでは、という話が印象的でした。ユーザとコンテンツ提供者の形が変わってきており、予定調和な決まりきったことにユーザは満足していないからこそ、ユーザが参加できる余地を作り、共に作り上げる仕組みをテレビが持った時、新しいテレビのあり方があるのではないだろうか、という提案で話は終わりました。

局という立場、一番組の制作者という顔が見えることにより、よりユーザとテレビとの距離感が近くなり、双方向のコミュニケーションを通じてともにコンテンツを作り上げる。こうした動きは、これまでのテレビのあり方を一新する流れかもしれません。もはや、テレビはテレビというメディアを通じ、ユーザと対話していくプラットフォームを作っていく担い手、という位置づけになっていくのかもしれません。

テレビもネットも同じフィールドにいる競合であり協働パートナー
第一部から第三部まで通底しているのは、もはやこれまで私たちが考えていた”テレビ”という姿はじょじょに変わりつつあり、テレビというメディアを通じ、ユーザである視聴者とどのように番組を作っていくを共に考えるプラットフォームの一部へと移行してきています。そうした時に、これまでテレビというメディアが持っていたコンテンツ制作力やノウハウは、良質なコンテンツ作りやネットワークを駆使し、これまでにない新しい何かを作るだけのリソースを持った、新しいコンテンツ提供者へと変わっていくのかもしれません。

ユーザからしたら、ニコ動であろうがテレビのコンテンツであろうが、最終的には面白いものがあるところに集まる、ということには変わりありません。そして、その面白いものを見るためのツールが、マルチデバイス、マルチチャンネル、セカンドスクリーンなどの多様化したコミュニケーションツールへと変化していく中、コンテンツベンダーは、それぞれのコミュニケーションツールを駆使し、ユーザ満足度を高める施策を考えていかなければいけません。そこには、ネットだろうがテレビだろうが関係ありません。同じユーザの可処分時間を奪う1つの競合であると同時に、時にユーザの体験を向上させるパートナーであるのかもしれないのです。

テレビは今、ものすごく変化が問われていると同時に、この変化が成功した先には、新しい「テレビ局」というコンテンツベンダーとしての形があるのかもしれません。こうなった時に、ネットのコンテンツベンダーはどのようにしていくべきか。ネット業界の方々は、正直言えばあまりテレビを見てるとは言えません。もちろん、テレビについての研究をしているとは言えないでしょう。しかし、テレビの側は今や急速にネットの最新の情報などをもとに研究し、成長を図ろうとしています。コンテンツのクオリティやユーザとのコミュニティがテレビという場で出来た時、ネットの人たちが生きていく道があるのか、と少し考えてしまいます。ネット隆盛と言われていますが、気づいたら後ろには、大きな巨人であるテレビは、ネットを食わんと準備を進めており、気づいたらネットを抜き去る、という状況が生まれるかもしれないのですから。

そんなことを考えさせられる、大変刺激的なイベントでした。











2013/06/07

京都の魅力発信と、地域を盛り上がるため取組み。「京都移住計画」を通じて京都への移住を後押しする


地方出身者のみならず、東京から離れてどこか違う土地に住むというのは、大きな決断がいることだと思う。いわゆるUターンやIターンという現象は、都心一極集中ではなく日本の各地に分散することで、より住みやすさや自分にとっての暮らしやすさを追求する方法の1つと言える。

その中で、京都に移住する人を増やそうと取り組んでいる活動がある。「京都移住計画」という活動は、京都に縁があるメンバー数人が集まって活動をしています。


「地方を盛り上げる」という目標を掲げる活動はたしかに全国たくさんあります。だが、その盛り上げ方の多くが、観光誘致の手法に偏っていることがあったりします。しかし、観光という表面的なものではなく、その土地に愛着をもち、その地域に長く住んでもらうことこそ、地域が地域として盛り上がる1つの方法だと思います。そうした意味で、「京都移住計画」の取組みは、京都の魅力の発信ではなく、どのようにして京都に移住し、長く住んでもらうかを考えると同時に、実際に京都に移住した方々にヒアリングをしたり、定期的にイベントを開催し居住者同士のコミュニティを作り、そこから京都に移住したくなる企画を考えています。

私自身も縁あって京都に行く機会も多く、京都移住計画に活動している方々とも日ごろよく話をしたりしています。活動されているメンバーも、ちょうど同じ84年生まれ世代ということも親近感を持っていて、また自分も福岡出身という東京ではない地方出身ながら、地元を愛し地方の魅力を発信している人たちに対しては、何かしら応援したいな、と思っているところです。

以前参加した時も、30人以上の人が参加し、さらに、地元の野菜などを使った料理をふるまうなど、かなり豪華なイベントで、みんなでわいわいしながら楽しく交流するイベントでした。


そんな京都移住計画の活動もこれまで京都を中心に活動していたのですが、やはりこういった活動や京都以外でやることで意味がでてくると思い、東京でやったら?と言っていました。そんなアドバイスが通じたのか、6月22日(土)に、ついに東京でイベントを開催することになったみたいです。

【イベント】
ぼくらの移住計画 https://www.facebook.com/events/200471123436013/

「京都移住計画」以外にも、こうした移住を促進している団体もいくつかあるみたいで、そうした団体が集まり、それぞれの魅力について語り合ったり、どうやって居住者を増やすかについて話す場になるみたいです。

移住に興味がある人も、やはり移住をするにもその移住先に安心出来る友人などのつながりがあったほうがいいと思います。また、移住するほどではなくても、その地域の友人ができるだけで、旅行やちょっとした時に話ができる人のつながりができるだけでも楽しいかと思います。

東京のみならず、こうやって地方が盛り上がることで、全国各地が有機的につながり、そこから新しいプロジェクトや取り組みが生まれてくることで、より面白くなるんじゃないかと思います。

京都移住計画 https://www.facebook.com/kyoto.iju.keikaku


2013/04/22

神保町を中心とした「リアル編集」を仕掛けていくEDITORY



神保町という街は、いつ足を運んでも面白い。戦争や空襲などの被害も少なく、東京の街としての歴史が積み重なっている場所です。街には出版社も多く、「本の街」として、古書店や専門書を長年取り扱っている本屋も多く知られています。と思えば、近くを見れば明治大学や専修大学、ちょっと足を運べば御茶ノ水や水道橋、湯島や東大がある本郷にも行けたりと、大学や学校も多く集中しています。若い人たちが集うということで、飲食店も多く、神保町といえばカレーと言われるくらいです。

しかし、そうした神保町も、東京という大きな都市の中で見れば、西は渋谷や新宿と言った都市に囲まれ、東は盛り上がりを見せる秋葉原や浅草、スカイツリーがある墨田区といった場所あるなか、神保町近辺というのは、目立ったランドマークもなく、東京の中の空洞とも言えるような場所に思えます。そこでは、昔のものが残ったまま、現代に生きる時間軸を超えた何かがそこにあるとずっと感じていました。

以前には、編集者の仲俣暁生さんのご紹介でマガジン航にて、神保町にあるe読書ラボの取材もさせていただきました。(記事はこちら)「新しい読書体験を模索する「e読書ラボ」

古い本の街というイメージから一転して、電子書籍の実験的なことなど、今の時代に沿った試みをされたりと、掘っていけば掘っていくほどに面白いことを見つけることができるだけのポテンシャルがそこにありました。神保町に足を運ぶたびに、様々な発見などがあり、こうした街自体の面白さを、どう今の時代にあうように「編集」していこうか、ずっと考えていました。

そうしたときに、いつも色々と企画などを一緒にしている渋谷にあるco-baを運営しているツクルバの中村くんから、神保町に新しくワークスペースを作るから手伝ってほしい、というお誘いを受けました。行ってみたら、神保町のまさにど真ん中にあるテナントビルで、ビルの一角をワークスペースとしてリノベーションするとのことだった。

「都市や土地の文脈やストーリーをいかに今の時代に活きるように編集するか」といった思いを持っていたこともあり、神保町という街が何か面白くできるのではないか、ということで、EDITORY神保町の運営ディレクターとして参画することになりました。

日本仕事百貨に掲載したコミュニティマネージャーの求人に、立ち上げにも関わっているメンバーでの思いを書かせていただきました。(記事はこちら)「神保町にウズをつくる « 生きるように働く人の仕事探し「日本仕事百貨」

こちらの記事をきっかけに100名以上もの人たちから応募をいただき、人と人とを繋ぐための仕事をしたいという思いや、神保町を面白くしたいと考えていましたなど、神保町でコミュニティを作ることの期待感やワクワク感を多くの人たちが持っていたんだなと感じました。渋谷とも違い、様々な人たちが集う場所のイメージがあまりないであろう神保町。若い人たちがいるイメージがないからこそ、これまでの歴史や文化を今の時代にうまく継承するポテンシャルを持っています。

単純なワークスペースではなく、神保町という街をフィールドにした一つの拠点として、オフラインやオンラインによる多種多様で他世代が交差するコミュニティを形成し、そこから新しく地域に根ざした活動やプロジェクトが始動する場所になれたらと思います。

これから1年後、3年後といった過程を経て、EDITORYがどうなっていくか、神保町という街がどうなっていくか。新しい動きの胎動を感じる場所として、これからがとても楽しみです。今まで神保町にあまり足を運んだことがない人にこそ、EDITORYに足を運んでもらえたらと思います。

4月29日にオープンするEDITORY。25日には関係者やメディアの方々向けのオープニングパーティ、26日から28日の3日間は、神保町という街を切り口に、編集や広告、建築といった分野をもとにしたプレオープニングトークセッションと交流会を企画しています。

ぜひ、お時間ある方は、プレイベントに足を運んでいただき、EDITORYの雰囲気を感じてもらえたらと思います。同時に、もっとこうしたら面白くなるんじゃないか、ここを拠点にこんな企画やイベントをしたい、という方々からもコメントやメッセージをお待ちしてます。下北沢にあるB&Bとも、同じ本の場所としつつも、向こうは書店、こちらはワークスペース、下北沢と神保町という違った側面があるので、色々と連携できるかなと勝手に思っています。

EDITORY神保町のFacebookページでも、最新の情報を発信していますので、ぜひチェックしてみてください。また、29日のオープンからゴールデンウィーク中は、いつでも見学できて無料のフリーコワーキングウィークにしていますので、ゴールデンウィークという比較的時間があるときに、EDITORYを見学しに来てみてください。

EDITORY 神保町 プレオープニングトークイベント

■お申込みは以下よりお願い致します。
お申込みフォームはこちらから。

開催日時:
2013年4月26日(金) 20:00-22:00
27日(土) 19:00-21:00
28日(日) 19:00-21:00
※17:00から内覧可能ですので、是非早めにお越しください。
※1時間前から開場致します。
※日によって開催時間が異なります。ご注意ください。

場所:EDITORY 神保町
東京都千代田区神田神保町2丁目12-3 安富ビル4F
東京メトロ半蔵門線「神保町駅」 都営三田線/都営新宿線「神保町駅」A4出口 より徒歩1分
参加費用:2000円 1d+軽食をご用意しております。

イベント内容:
【1日目】
26日(金)20:00-22:00 (19:00~OPEN, 22:00~懇親会)
テーマ「編集と神保町 これからの都市と出版の関係」
出演:仲俣暁生さん × 江口晋太朗

仲俣暁生 / 編集者
1964年生まれ。東京都出身。フリー編集者。文筆家。「マガジン航」編集人。
『WIRED日本版』、『季刊・本とコンピュータ』などの編集者を経験。『 文化系トークラジオLife』のサブパーソナリティなども務める。著者に『再起動せよと雑誌はいう』、編著『ブックビジネス2.0』、『編集進化論』など多数。
http://www.dotbook.jp/magazine-k/

【2日目】
27日(土)19:00-21:00 (18:00~OPEN, 21:00~懇親会)
テーマ「編集のこれまでとこれから アナログからデジタルを横断するメディアのあり方」
出演:河尻亨一さん × 江口晋太朗

河尻亨一 / Kawajiri Kouichi
銀河ライター主宰 / 元「広告批評」編集長 / 東北芸術工科大学客員教授
1974年生まれ、大阪市出身。早稲田大学政治経済学部卒業。雑誌「広告批評」在籍中には、広告を中心にファッションや映画、写真、漫画、ウェブ、デザイン、エコなど多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断する様々な特集企画を手がけ、約700人に及ぶ世界のクリエイター、タレントにインタビューする。現在は雑誌・書籍・ウェブサイトの編集執筆から、企業の戦略立案、イベントの企画・司会まで、「編集」「ジャーナリズム」「広告」の垣根を超えた活動を行う。
twitter @kawajiring

【3日目】
28日(日)19:00-21:00 (18:00~OPEN, 21:00~懇親会)
テーマ「都市・建築と生活者のあいだを編集すること」
出演:mosaki × 中村真広 × 江口晋太朗

mosaki
2004年から活動をはじめた田中元子(ライター、クリエイティブファシリテーター)と大西正紀(編集者、建築家)から成るクリエイティブユニット。「建築・デザイン・アートの世界と一般の人とを結ぶ役割を見付けたい」という思いのもと、編集、執筆、企画、デザイン、体操?等を行う。
http://www.mosaki.com/

■お申込みは以下よりお願い致します。
お申込みフォームはこちらから。








2013/03/18

【イベント】3月21日「若者と政治をつなぐ」NPO法人YouthCreateイベント登壇

(写真は、VISIONARYPITCHに登壇した原田の写真)

One Voice Campaignでも一緒に活動している友人の原田謙介が代表を務めているYouthCreateのイベントに登壇します。毎月おこなわれてるイベントで、ゲストを呼んでその人が取り組んでいる課題やこれからのアクションについてなどを対談するイベントみたいです。

原田とは、原田がivoteを作った時くらいからの付き合いです。僕がまだNPO法人ドットジェイピーでインターンをしていたときに、彼が政治家と一般の人達をつなぐ活動を、ということから「若者の投票率向上を目指す」ことを目標にivoteを立ち上げました。大学を卒業後は、もっと広く地域や一般の人達と政治がつながるような活動としてYouthCreateを立ち上げました。

同時に僕らの声を政治に届け、自分たちで社会を作っていく意識をもつために、その一歩としてネット選挙運動の解禁を目指そう、とった思いで立ち上げたOne Voice Campaign。もうすぐ1年がたち、ネット選挙がまずは解禁されることになりそう、ということで僕たちの活動が何かしら社会を動かしたきっかけを作ったのでは、とも感じています。

それぞれ違った立場ながら、これからも互いに仕掛けていくんだろうな、と思うと同時に、たまにはゆっくりとお互いにどういったことを考えているのかを改めて話す場って無い気がするので、こういった場で思うことを話そうかなと思っています。

ぜひ興味がある人はお越しください。

以下、概要です。
ーーーーーーーーーーー
トークイベント「YouthCreateトーク」第二回開催!!
【イベント概要・参加申し込み】
http://youthcreate.blogspot.jp/2013/03/talk-eguchi.html

■ 概要
・日時
3月21日(木) 20:00~22:00
・会場
ひだまりカフェ
https://www.facebook.com/cafe.hidamari/info
中野駅徒歩5分の場所にあるカフェバー
■ 対象者及び参加者
主な対象:10代~30代の方
参加者数:先着20名程度
■ 参加費
社会人:2,000円
学生: 1,500円
1ドリンク+サラダ、温菜、パスタ付き
※ドリンク2杯目以降は1杯400円にてご購入いただけます
■ 内容
第1部
YouthCreate代表原田とゲストの対談(1時間程度)
・対談内容
ゲスト活動内容紹介
江口氏の活動の内容・想いについて
今後求められる働き方とは
個人と社会と政治
第2部
ゲストとの懇親会
■ タイムスケジュール
19:30 開場
20:00 開会
20:00~20:05 代表挨拶
20:05~21:00 ゲスト対談・質疑応答
21:05~21:55 懇親会
21:55 閉会(アンケートのご記入をお願い致します)

■ 注意事項等
未成年の方でも参加していただけます(飲酒はご遠慮ください)。
本イベントはunder40(39歳以下)の方対象のため40歳以上の方のご参加はご遠慮いただくことがあります。
当日キャンセルの場合はキャンセル料(参加費分)を負担していただきます(振込手数料もご負担ください)。
当日はマスコミの取材が入る可能性があります。また、当日の写真等はYouthCreateのHP等にアップさせていただきます。
以上、予めご了承ください。
■ 主催
NPO法人YouthCreate
「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動をしているNPO法人。
「若者が政治に主体的に関わること」「若者を社会の担い手の一人とする仕組みづくり」を目指す。
HP:http://youth-create.jp/
Email:info@youth-create.jp
■ 協力
ひだまりカフェ
中野駅から徒歩4分の学生カフェ。室内装飾・家具・壁面のレンガ施工に至るまで全て学生による手作り。
コンセプトは「学生が生き生きでき、交錯できる場所」
オープンからこれまでに、学生たちが自ら手掛けるイベントを数多くサポートしています。

【参加申し込みはこちら】
http://youthcreate.blogspot.jp/2013/03/talk-eguchi.html

2013/02/18

シェアワークスペースと地域について考える @下北沢B&B−2月19日

CNET Japanで、これまでコワーキングに関する連載を定期的に書いています。(連載はこちら

ジャンルや業種を超えた多種多様な人たちが集まり、日々新しいプロジェクトが立ち上がるような空気感や、オープンマインドな文化によって新しい人との出会いが生み出す場所は、居心地の良さを感じることが多くあります。

かつては誰かと何かをシェアしていくことが自然におこなわれてきたことが、いまの時代にあったあり方として変容してきているのだと思います。

人が集い、コミュニケーションが生まれることから新しい何かが始まる。もちろんそれらは大事なことだと言えます。その次の段階として、場所がもつ意味、その場所がそこにある意味を考えたときに、例えば「なぜ渋谷なのか」「なぜ下北沢なのか」「渋谷にはどういう人が集まってくるのか」といった、場所と文化に紐付いた意識をもつことで、その地域特有の”何か”が生まれてくるのだと思います。場所が違えば文化が違うように、その土地それぞれに集まる人も違ったものになるかもしれない。その違ったコミュニティの人たちが合わさったときにその先に何が生まれるのか。そんなことを、いま考えたりしています。

そこで、渋谷と下北沢とったそれぞれの街がもつ顔や文化を踏まえながら、そこに集う人たちの様子や場所の様子、ワークスペースと地域との関係性のこれからについて、考える企画を立てました。渋谷にあるシェアワークスペース「co-ba」 や「co-ba library」を運営するツクルバCCOの中村真広さんと、下北沢オープンソースカフェ店長の河村奨さんをゲストにお呼びし、下北沢にあるブックカフェB&Bにてトークイベントを開催します。

co-ba × 下北沢オープンソースCafe  シェアワークスペースの作り方 | B&B http://bookandbeer.com/blog/event/20130219_coworking/ (申し込みはこちら)

それぞれが運営する場所の特徴や、渋谷と下北沢でいま起こってること、ワークスペースと地域との関係を踏まえて、これからの働き方や働く場所と地域との関係について考えていきたいと思います。

ぜひ、お時間ある人はお越しください。以下、概要です。

「co-ba × 下北沢オープンソースCafe  シェアワークスペースの作り方」
ノマドやフリーランスなどに代表される「場所を選ばない」働き方を支えているのは、彼らが働くための「場」と「空間」を共有するシェアワークスペースの存在です。

東京を中心にシェアワークスペースが続々と誕生していく中、そのような場の作り方や日々の運営方法は、気になるところと言えるでしょう。

co-ba、co-ba libraryなどを手がけ、渋谷を拠点に空間プロデュースやまちづくり、場づくりをおこなってるツクルバの中村真広さん。

そして、下北沢で「下北沢オープンソースCafe」を経営し、オンラインでの図書貸し借りサービス「リブライズ」を運営する河村奨さんをお招きし、シェアワークスペースの作り方や、地域との関係性、また地域と向き合うあうことについて語って頂きます。

聞き手は、シェアワークスペースの取材や場作りなどを手がけるTOKYO betaの江口晋太朗さんが担当します。

出演 _ 河村奨(下北沢オープンソースCafe, リブライズ〜すべての本棚を図書館に〜)
中村真広(ツクルバ CCO, co-ba, co-ba library)
江口晋太朗(編集者、TOKYO beta)
開催日時 _ 20:00~22:00 (19:30開場)
場所 _ 本屋B&B
世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
入場料 _ 1500yen + 1 drink order


co-ba × 下北沢オープンソースCafe  シェアワークスペースの作り方 | B&B http://bookandbeer.com/blog/event/20130219_coworking/ (申し込みはこちら)

2013/02/13

「インターネット選挙運動解禁前夜」 に考える僕らの政治 @下北沢B&B-2月15日



2012年5月に立ち上げたOne Voice Campaign.
「No Voice」から「One Voice」へ、という思いのもとに、いまの時代、いまの政治の仕組みをアップデートしなきゃいけない、そして、僕らの意見や思いが政治に反映され、同時に、僕らももっと社会に対して課題を発見し、意見を発し、そして行動することのきっかけになりたい。

そんな思いで、One Voice Campaignはスタートしました。政治に対して意識を向けるためには、選挙のあり方を見直さなければいけない。公職選挙法を見直し、いまの時代にあった選挙制度をつくり、そこから新しい政治の仕組みができてくる。だからこそ、「ネット選挙運動の解禁」を含めた、抜本的な公職選挙法を改革していかなければいけないと考えました。

普段当たり前に使っている電子メールやTwitter、Facebookなどを含めたインターネットのツールは、生活のインフラとしてすでに機能しています。あわせて、インターネットを使っての情報収集やコミュニケーション手段というものも、今後増々発達してきます。

けれども、政治の世界ではインターネットはまだまだ市民権を得られておらず、いまだに昔ながらの選挙活動や日々の政治活動の報告などがされています。政治の世界が閉じこもれば閉じこもるほど、一般の人達との乖離もおきてくるかもしれない。そうすればそうするほど、政治が身近なものから離れていく恐れがあります。そうではなく、普通に生活している人たちに情報がしっかり届くこと、そして、何かがおかしいと僕らが思ったときにすぐに政治家や地方議員含めたまわりにいる政治家や行政の人たちに相談することから、日々の暮らしが少しづつよくなってきます。



僕たちが政治にもっと意識を向けるために、そして自分たちで社会を作っていくという意識をもつためにも、インターネット選挙活動の解禁を含めた、公職選挙法の見直しをおこなわないといけないのです。

そこで、「インターネット選挙活動の解禁」が間近に迫ってくる中で、これまでずっとOne Voice Campaignとして活動してきた原田謙介や谷本晴樹さんと一緒に、いまの僕たちの状況や、これからどうなっていくのか、という未来の社会について考えるイベントとして、2月15日に下北沢にあるブックカフェB&Bでイベントをおこないます。

緊急開催!「インターネット選挙運動解禁前夜」に考える僕らの政治 presented by One Voice Campaign | B&B http://bookandbeer.com/blog/event/20130215_one_voice/

いままで、One Voice Campaignは議員や有識者とのイベントを多く重ねて来ましたが、一般の人達に対して、きちんと公職選挙法や政治のことについて語る場が少なったのでは、という考えから、開催する流れになりました。

イベント当日は、政治の現場がこれまでどういった流れだったのか、One Voice Campaignがこれまでどのような活動をしてきたか、そして、これからインターネット選挙活動が解禁されることでどのように僕たち生活が変化していくのか、ということなどを、みなさんの質問などを踏まえながら話をしていきたいと思います。

政治についてまったくわからない、なんとなくしか理解していない、そんな人こそぜひ来てもらいたいと思っています。ぜひ、お時間などある方はお越しください。

(申し込みはこちら)
緊急開催!「インターネット選挙運動解禁前夜」に考える僕らの政治 presented by One Voice Campaign
http://bookandbeer.com/blog/event/20130215_one_voice/

緊急開催!
「インターネット選挙運動解禁前夜」
に考える僕らの政治
presented by One Voice Campaign
ついに、インターネット選挙運動の解禁が目の前に!  
与党・自民党が、夏の参院選でのネットによる選挙運動解禁を目指し、各党それぞれが公職選挙法の改正案をまとめ、国会に提出しました。2012年に立ち上がったSNSを中心としたムーブメント「One Voice Campaign」を始めとするTwitterやFacebookなどの声がきっかけとなり、いよいよインターネット選挙運動の解禁が目前まで迫っています。

アメリカや韓国など、様々な国で当たり前のように行われているインターネット選挙運動。2013年は、これまでの選挙のあり方や、これからの政治や選挙のあり方について、考えるための大きな転換点になりそうです。

そこで、One Voice Campaignを立ち上げたNPO法人YouthCreate代表の原田謙介さん、尾崎行雄記念財団の主任研究員で、『「統治」を創造する』の共著者でもある谷本晴樹さんをお呼びし、これからの僕らの社会がどうなっていくか、政治の現場はいまどうなっていて、今度どう変わっていくかについて、ざっくばらんに語って頂きます。

聞き手には、同じくOne Voice Campaign発起人で、編集者、TOKYO betaの江口晋太朗さんをお呼びします。

これからおもしろくなる日本の政治について、小さな疑問を解決しながら、ちょっと考えてみてみませんか。
出演 _ 原田謙介(NPO法人YouthCreate代表、One Voice Campaign)
谷本晴樹(尾崎行雄記念財団・主任研究員、One Voice Campaign)
江口晋太朗(編集者、TOKYO beta、One Voice Campaign)
開催日時 _ 20:00~22:00 (19:30開場)
場所 _ 本屋B&B
世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
入場料 _ 1500yen + 1 drink order

2013/01/29

2月から、横浜キュレーションラボにゲスト講師として参加します

(下北沢B&Bでおこなわれたキュレーターラボの様子)

以前、下北沢B&Bでおこなわれた銀河ライター河尻亨一さん主催の「キュレーターラボ」にゲスト講師として参加させていただきました。その様子はこちらのブログでも書かせてもらいましたが、ラボでのコミュニティの作り方など、ゲストとして参加させていただいただけでなく、それ以降も受講生と一緒にグループでやりとりをさせてもらったりと、こちらも気づきや学びが得られる場づくりに携わらせていただきました。

ただゲストの話を聞いて終わり、という形ではなく、受講生同士が互いに刺激しあい切磋琢磨する場をつくり、ともに共創をはかっていくものをつくりあげるのも、これからの編集者の仕事の一つといえるのかもしれません。一人でできないことも、チームやコミュニティでおこなうことで達成したり新しい価値を生み出すことができる。目に見るものだけでなく、人のつながりやコミュニティという目に見えないものをどうつくっていくか。「編集」というものを広義にとらえ直し、紡いでいくことの大事さを実感します。

そんな下北沢で培ったノウハウをもとに、河尻亨一さんが今度は横浜でキュレーターラボを開催し、このキュレーターラボでもゲスト講師として参加させていただきます。下北沢とは違い、横浜という場所で生まれる新しい出会いやつながりを、ゲストとしても楽しみにしています。

前回は、KAI-YOUの武田俊くんと一緒に話させて頂きましたが、今回は複数回の講義のゲストとして参加させていただきます。参加者と一緒に、インタビューについて、場をつくることについて、企画をたてることについて、そして日頃の意識をどうもって暮らしていくか、ということを主眼において話やワークショップをしていければいいなと思っています。

こうした、東京だけでなく地方や地域に根ざしてラボなりゼミをおこなっていくことで、密の濃いコミュニケーションをおこなうことができます。今の時代は、情報や人との出会いが飽和しすぎているとも考えられます。だからこそ、少人数でじっくりゆっくりとテーマについて語らい、思考を巡らせ、そして実践していく。そんな現代のゼミナールなものを、このキュレーターラボを参考にして作っていきたいと思っています。

そんなことも、このキュレーターラボで話をできればと思っています。僕の出番は2月8日(金曜)と3月8日(金)の2回。もしかしたら他の日程でもお手伝いするかもです。他にもKAI-YOU武田くんや離島経済新聞社鯨本あつこさん『はじめての編集』などを書かれた編集者の菅付雅信さんなど、僕のまわりの編集者としても尊敬する方々が参加されます。横浜にいらっしゃる方々で興味のある方はぜひ参加してみてください。


以下、告知文です。

『横浜キュレーションラボ』http://www.solabo.net/wp/ycl0208/
【河尻亨一氏(銀河ライター/元広告批評編集長)による全8回の編集・キュレーションゼミ】

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講座のイメージとしては、キュレーション(自分と周辺=世の中の課題解決)を実践的に研究する”部活”です。
ビジネスセミナーではありません。カルチャースクールでもありません。
※全8回すべて出席できないと受講できないという訳ではありません。
※基本的にゼミの時間は、19:30〜21:30 となります。
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ーカリキュラムー
1.仕事につながるインタビュー―相手の話を整理して気づきを得るには?(2月8日)

ゲスト講師:江口晋太朗氏(編集者)
生きた情報を得る機会としてインタビューは有効です。
それは編集者やキュレーターのみならず、ビジネスの色んなシーンで役立つスキルであり、生きる上でのヒントももらえます。そこでのやりとりから仕事が生まれることも多いです。

インタビューはやろうと思えば誰でもできます。
しかし、闇雲に質問を投げればいいというものでもありませんし、取材対象者のキャラクターや現場のコンディション、その時のミッション等に応じて、ケースバイケースの工夫や技、芸があることも事実です。

最初の講義では、そのあたりのポイントを解説してみたいと思います。“相手の話”と“場の空気”を整理しながらコアを浮かび上がらせ、「知りたいことを聞き出す」にはどうすればいいのか?講師の考え方をお話します。

POINT:初心者は一度はインタビューしてみる。経験者はより深く、楽しくを知る。
※インタビュー系の課題が出ます。詳細は講義で(提出期限は2月28日)。
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2.『自伝』をキュレーションする ― 自分を素材に企画・編集→物語化してみよう(2月15日)

ゲスト講師:武田俊氏(KAI-YOU代表)

インタビューのメリットのひとつは自分を客観視できるようになるところだと思います。
様々な人の言葉や意見のシャワーを浴びるうちに、己の姿やポジションだけでなく、社会との接点がクールに意識されてくると言い換えてもいいかもしれません。「(自分の好みを超えて)世の中がどういうものを求めているか?」にも自覚的になります。

実はそれはキュレーターや編集者に必要な資質だったりもします。「人と人とをつなぐ」作業でも大事なマインドだと考えます。そこでセカンドステップとして、一度自分を編集(整理)し物語化(表現)してみます。

POINT :ソーシャルメディアを使っている方は、自らの発信をコントロール、
あるいはキュレーション(編集)できているでしょうか? そういったことも検証してみましょう。
※自分まとめ系の課題が出ます。詳細は講義で(提出は3月1日の講義当日)。
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3.波止場セッション(3月1日)

前2回のセッションや課題作成による気づきをラボ内でシェア(発表)し、
後半のテーマにつなげます。
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4.情報をまとめる・発信する ― 組み合わせておいしさを作る―(3月8日)

ゲスト講師:江口晋太朗氏(編集者)

1~3のプロセスを体験すると、ご自身の得意な方向性が少しクリアに見えてくると思います。
主体的な情報編集を行う上での芯も見つかるかもしれません。浮上したテーマをその段階で一度企画としてまとめ、既存のキュレーションプラットフォーム等を用いて、発信してみましょう。

料理と同じで「どんなものを作りたいか・食べたいか」が決まったら、素材をどう組み合わせて調理するかが重要です。安い食材でも意外な取り合わせでおいしさが増したり、逆に高級食材でも使い方が悪ければマズくなったりもするわけです。情報発信・編集の現場におけるクッキングのやり方を考えます。

POINT:「自分で食べておいしい(面白い)」はもちろん、「他人に食べてもらうには?」、「作ったものをレストランで出すには?」といったあたりも視野に入れつつ。

※企画・情報発信系の課題が出ます。詳細は講義で(提出は3月28日)。
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補講&交流会( 3月23日 )※土曜日の開講となります。時間は13時より15時まで。
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5.リアルな街体験をデザインする―“商い”としてのキュレーション―(3月29日)

ゲスト講師:武田俊氏(KAI-YOU代表)

ここからは応用編です。カリキュラム前半で得た気づきを、街場でのリアル体験(イベント企画等)に試してみるとどうなるか?を考えてみたいと思います。日々夥しい量の情報やコンテンツが生み出されるこの時代、我々はそのどれに価値があるのかを判断しづらくなっています。ゆえに質の高い情報をそれが必要な人に向けてデリバーすることが、キュレーターの重要な役割です。

それだけではありません。
それと同時に、体験を企画(デザイン)するスキルも、今後はいっそう求められるようになるでしょう。講師(河尻)はそちらもキュレーターの仕事として重視しています。

POINT :多くの人はつまらない情報にはお金を支払いたくないと考えている

(質の低くない情報もその気になれば無料で手に入る)。その一方で、自分にとって有意義な体験には支払ってもよいと考えている。つまり、キュレーターはそれぞれの専門領域における羅針盤であり、進行役でもあり、仕掛ける人etcでもあるのです。

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6.横浜につながり、発信し、人を巻き込み、場を作る(4月5日・6日)

ゲスト講師:髙木美希氏(横浜観光コンベンションビューロー広報担当)

さらに応用です。
キュレーション発想で「横浜」を捉えてみましょう。フィールドワークし、情報編集&発信するだけでなく、地元の課題も発見し、その解決策も探る実習です。

POINT:キュレーションはマーケティング技術(課題解決の方法)でもある。

※6日は“ハマ見”の取材実習のため11時~夕方まで。卒論課題が出ます。提出日は22日)
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7.波止場セッション vol.2(4月19日)

ゲスト講師:鯨本あつ子氏(「離島経済新聞」「季刊リトケイ」編集長)

これまでのカリキュラムをもとに、デイスカッションします。
ゲストを招いてお話も聞きます。
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8.卒業講義 自分を広告し編集する(4月26日)

ゲスト講師:菅付雅信氏(編集者)

最終講義です。もう一度「ジブン」から出発する編集とマーケティングを考えてみましょう。
※必要に応じて補講を行うことがあります。
※運営を手伝ってくれるインターン生(学生のみ)を数名募集。
希望者は、infoアットマークsolabo.net (アットマーク⇒@)までご連絡を。
※参考までに、以前B&Bで開催されたキュレーターラボについては、コチラで確認ください。
ゲストはまったく同じではありません。

「働くキュレーターLAB」

【日程】開催は全て金曜日となります。
【時間】19:30〜21:30
【場所】SoLaBoラウンジ(横浜三井ビルディング 15階)
【受講料(全8回分)】39,800円(税込)【分割払い、カード払い 可】
【メールの場合】

宛先:infoアットマークsolabo.net (アットマーク⇒@)まで
件名:横浜キュレーションラボ・ゼミ応募
明記:氏名
連絡先
居住エリア と 勤務地 (例:渋谷区在住 横浜市勤務 など)
【Facebookでの参加表明】https://www.facebook.com/events/464418303624537/
【ATNDでの参加表明】 http://atnd.org/event/E0012670

【講師プロフィール】
河尻亨一
銀河ライター主宰/元「広告批評」編集長/東北芸工大客員教授
1974年生まれ、大阪市出身。早稲田大学政治経済学部卒。
雑誌「広告批評」在籍中には、広告を中心にファッションや映画、写真、漫画、ウェブ、デザイン、エコなど多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断する様々な特集企画を手がけ、約700人に及ぶ国内外のクリエイター、タレントにインタビュー。
現在は雑誌・書籍・ウェブサイトの執筆編集から、企業の戦略立案、イベントの企画・司会まで、「編集」「ジャーナリズム」「広告」の垣根を超えた活動を行う。
雑誌「ケトル」「日経トレンディネット」「ダイヤモンドオンライン」で連載中。東北芸術工科大学では「都市人物論」を担当。

2012/12/25

ハードとソフトを融合させたこれからのものづくりを考える−『ものアプリハッカソン』が大阪で1月26日開催



オープンソースハードウェアや3Dプリンタなどが次第に普及してきたことで、スモールチームでのハードウェア生産などができるようになってきました。これによって、自由な発想やアイディアをもとに新しいビジネスに挑戦していく人たちも増えてくると、色々な面白いことができる時代になったと感じます。

もともと町工場が盛んなことでも有名な大阪。ロケットの部品なんかも作っている世界に誇る技術をもっている町。そうした、これまでの町工場とITの技術とを掛けあわせた新しいハードウェアづくりの人たちを一同に集め、インターネットやスマホと連動した「生活を変えるオリジナル電子機器」を短期間でつくるハッカソンを、大阪市が主催になってイベントを開催するそうです。

個人や企業単位ではなく、市などの行政がこうしたこれからのものづくりに対して意識をもち、支援していく動きは、今後益々大きくなっていくと同時に、日本がもつこれまでの技術を水平展開させるなどして、新しい活用法を見出したり、新しい技術と古い技術とを掛けあわせて新しい発想で生み出される技術ができてくる可能性があると思います。

そうした、「ハードウェア×ソフトウェア×ハッカソン」と題した『ものアプリハッカソン』が1月26日、27日の両日で開催されるそうです。詳細などはこちらからぜひ。

東京だけでなく、大阪などもこうした動きが盛んになっていくことを期待すると同時に、日本各地にあるこうした技術のアーカイブを、これからの新しい時代にどう対応していくか、それぞれにとっても課題だと思います。

興味のある人はぜひ。

【ワークショップ】ものアプリハッカソン!!|大阪市グローバルイノベーション創出支援事業
■開催日時
2013年1月26日(土)9:00~20:00
2013年1月27日(日)9:00~19:00
■申込締切日時
平成25年1月13日(日)24:00
■開催場所
アーバンイノベーションホール(新阪急ビル9F)
■対象・定員
ものづくり系技術者 15名
Web系プログラマー 15名
その他(マーケター、プロダクトデザイナー等) 10名
※応募多数の場合には書類選考により参加者を決定。
■参加資格・条件
◯ものづくり系技術者
Arduinoを使用した電子機器を製作した経験のある方。Arduino言語によるスケッチ作製の経験のある方。
◯Web系プログラマー
Webアプリケーションの開発経験のある方。java等の言語でのAndroidアプリの開発経験のある方。
◯その他(マーケター、プロダクトデザイナー等)
デザイン思考などのデザイン手法について学習をした方又は興味のある方。ものづくりで生活を変える新しい提案をしたい方。
■参加費
3,000円(税込み)
■主催
大阪市
■共催
公益財団法人 都市活力研究所

詳細、申し込みはこちらから

2012/12/09

MAKEのこれからの流れ、そして、企業や個人が考えなければいけない“ものづくり”とはーEdge Tokyo Drinksイベントまとめ


12月6日に、二子玉川にあるカタリストBAで、ライブトークイベントEDGE TOKYO DRINKS 02(エッジトーキョードリンクス)が開催。第二回の今回は、テーマが「MAKERS」でした。

3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタルファブリケーションが、近年安価で誰でも使える状況が出てきています。さらに、インターネットの普及などによってオンデマンドでの注文など、様々なインフラ環境も整ってきたこともあり、ファブリケーションが誰でも(パーソナル)なものになりつつある流れになっています。まさに、コンピュータがパーソナルコンピュータとなってきたような、新しい産業革命が起きつつあるのでは?と、元WIRED編集長のクリス・アンダーソンが著者『MAKERS』で言及しているような流れが、本当に起きているのか、そして、そうした時代になってくる中が、僕らが考えなければいけないことはなにか。

世界を変える、産業革命という言葉ではなく、実際に現実に起きている現象をしっかりと見極め、分析することが求められており、今回のエッジトーキョードリンクスは、かなりの盛況さを見せていた。そこで、イベントの様子など、覚えている限りでまとめようと思う。今回は、カタリストBAでの開催ということで、Co-labまわりの人達がゲストとして登壇。ゲストの話したことなどは、多少要約してるので、すべてを網羅していませんがなにかの参考になればと思います。

●イベント概要
【ゲスト】
【モデレーター】
・松島倫明(書籍編集者/NHK出版)『フリー』『シェア』『パブリック』『Think Simple』などの翻訳編集者。『MAKERS』の編集者でもある。
【プレゼンター】
・田村英男(編集者/オライリー・ジャパン「Make日本語版」編集)
雑誌「Make」日本語版や技術書などを出版しているオライリージャパンの編集者。

・飯野健一(ファブリケーションプロデューサー/Ag Ltd./co-lab渋谷メンバー)
エージーリミテッドという、iPhoneアプリなどを開発しているものづくり会社を運営。

・伊藤聡一(CMFデザイナー/rolo. Concept/co-lab二子玉川メンバー)
モノとコトをつなぐCMFデザイナーとして活動。色と素材によるデザインをしている。http://www.roloconcept.com/

・小杉博俊(System Creates Chief Officer/システムクリエイツ/co-lab渋谷メンバー)
40数年間「紙の仕事人」として仕事に従事。新しくものづくりをはじめようとco-lab渋谷に入居した。http://www.systemcreates.co.jp/

・久保田晃弘(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
・梅澤陽明(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
世界的な市民工房のネットワークfablab のfablab Shibuyaメンバーhttp://www.fablabshibuya.org/


まず最初にモデレーターの松島さんから今回のトークの趣旨などを説明。クリスはそれまでWIRED編集長を務め、『ロングテール』『フリー』『シェア』などを書籍を書き、社会の現象についてまとめてきた。今回の書籍はそこから視点を変え、「いままでの10年はデジタル革命の時代であり、これからの10年はリアルなアトムな世界、物の世界に同じような革命が起きるのがこれからの10年とクリスの考えを述べた。

そうした中、今日のテーマでもある「MAKERムーブメント」は、サブタイトルとして21世紀の産業革命、新産業革命とクリスが語るが、その中でも4つポイントがあるとする。

①デジタルファブリケーション 
デジタル工作、工作機器がデスクトップサイズになってきた中で、コンピュータががPCになってきたように、ファブリケーションもパーソナルになってきている
②オープンオーガナイゼーション
ネットの世界でもクラウドソーシングやネットでのオンデマンド発注などがおこなわれている。MAKEの現場でも、世界の工場とインターネットでつながり、受発注をおこなうことができる。それによって、いままでと違うものづくりのサイクルになってきている。
③ファンドレイジング
これまで、製造業は資材や工場など、多くの資金が必要としていた。しかし、Kickstarterなど、ネットで資金を調達する方法が多くなり、試作の段階でも資金の調達をおこなうことができる。ファンドレイジングができる環境が、一つの革命のきっかけにもなっている。
④オープンソース
ものづくりそのものもデジタルなってきたことで、フリーやシェアの中で、オープンソースファブリケーション、Co-Creationなどの現象がみられるようになった。一人ではなく、みんなでやっていくことでイノベーションが起きてくるのでは。

という4つのポイントについてまとめた。それらを踏まえつつ、今回のゲストの方々が日頃取り組んでいることや、それらを踏まて、今後どうなっていくか、トークセッションがおこなわれた。

オライリーの取り組みとMaker Faire

田村英男さんは、オライリージャパンの編集長 をつとめ、雑誌『Make;』日本語版やMAKEカンファレンスなどのイベントを手がけている。

我々は、テクノロジーを消費するだけの存在ではなく、テクノロジーを創造する人間、「Maker」にもなれる。
デール・ダハティ(Make日本語版 Vol.1より
2005年に創刊したMake;創刊号を持参し、2006年に創刊したMake;日本語版について話をおこない、Make;創業者のデール・ダハティの言葉を引用し、誰しもが「Maker」になれる時代がくると語った。今の時代は、iPodやゲーム機などハッキングできるデバイスの登場によって、ソフトウェアだけでなくハードウエアにもハッキングな発想がもちこまれるようになったとし、電子部品が安く手に入る環境によって、企業だけではなく個人でも安く作れる時代がきたと語る。

そうした中、オライリーメディアは、他にも、オープンソース系の技術のメディアを出版している。オープンソースのカルチャの中において、技術情報などをオープンにしていく思想が、その根底にはある。当初は、Arduinoなどの技術書は メディア・アートなどの分野から、教科書としても購入されるケースが多かった。他にも、日本語版独特の編集部『Made by Hand』『こどもが体験すべき50の危険なこと』『Cooking for geeks』など、考えさせる書籍も出版している。
ものをつくると、かならず失敗する。そこから学ぶことがある。もっと失敗しよう、ということを示すために、こうした書籍は出版している。
先日科学未来館で開催されたMaker Faireでは、例年以上の盛り上がりをみせ、多くの来場者がメディアが取材をおこなった。イベントの来場者や参加者が伸びた理由として、①Makeは様々なコミュニティが参加しやすい環境であり、様々な分野の人が参加したこと②初期から参加者にOSS(オープンソースソフトウェア)コミュニティ関係者が多く、情報共有に積極であったこと③ウェブなどのエンジニアがモノをつくりやすい環境が整い、プログラミングの腕で作れるものやウェブと連動した作品などが多く登場したこと、④ブログやTwitter,ニコ動、Youtubeなどを通じた情報共有の普及とシンクロしたこと⑤来場者ー出展者ー出展者同士のコラボという流れなど、参加だけでなく、そこから一歩踏み込んだ巻き込みの仕方などがみられた、と語った。



AGが取り組むプロダクトの現場について

飯野健一さんは、AGという会社を運営している。その会社のコンセプトは“its more fun to iphone”。今回は、ファブリケーションプロダクトである光るイヤホンアクセサリー「pina」を紹介した。スライドをあげさげして、キャラの光量を調整するプロダクトで、光のコントロールなどを楽しむことができる。

また、ただの製品ではなく、パーツを組み合わせ、自分で作る体験も特徴の一つ。「ぴかぴかPina Kit」として、組み立てるところから楽しめるデザイン。また、ユーザだけでなく飯野さんら開発者らも自分たちで一つ一つハンダ付けなどをして作っていく。colabでレーザーカッターでカッティングしたりと、まさにすべてがDIYなプロダクト。「いままでのものづくりと違う作る側もDIY買う側もDIY」と飯野さんが語るその理由は、企画し、製造し人々の手に届けるまで その全てをワンストップでおこない、開発者の思いや熱を純度高く保ち、全部自分たちでやっていくことが、一番プロダクトにとっていいのでは、という考えからだ。

プロダクト開発のアイディアも、単なる飾りではなく、アプリと連動し、何かの動きを表現できるようなものがあればというところからだ。iPhoneやiPadなどのマルチタッチインターフェイスは、たしかにタッチなどがおこなえるが、身体性に欠けるのでは、ということから自分で作り上げることの楽しさを知ってもらいたいという考えだ。しかし、もともとアプリ開発をおこなってきたがハードには携わっていなかった。そのため、ハード開発のためのチームビルディングをスタート。ハードウェア製造ができる人をTwitterで募集し2011年2月からスタート。

そして、テクノ手芸部吉田さん監修や、IAMASの学生などを巻き込み、ものづくりを開始。ソーシャルメディアの活用などで一年半で形になったと語る。そして、今年のYahoo! JAPANスマートデバイスAppで賞をとるなど、評価を得てきた。また、セールス自体も外部のサイトを使うのではなく、自社のECサイトを運営。今後はクリスマス用のデバイスの開発をおこなうなど、季節やオーダーにあわせた開発もおこなっていく、とのことだ。



CMFという視点からものづくりに取り組む

伊藤聡一さんは、CMF creatve kitchen rolo. Conceptを運営している。CMFとはカラー・マテリアル・フィニッシュの略で、プロダクトや建築、インテリアなど様々な商品の色や素材、質感などをデザインする存在。欧州では20年以上前から研究されてきているが、日本ではその存在がまだまだ浸透しきれていない。

伊藤さんは、ものの内側を知りたくて、プロダクト・デザインを専攻した。その後、色などのデザインを追求するうちにCMFという概念と出会い、実感や体験を重視し、人々の不便や不都合の価値を提供する存在として、独立。

もともと日産のデザインをおこなっていた伊藤さん、メーカー視点とマーケット視点の両方からプロダクトについてデザインし、色彩(見る)、素材(触る)、そして仕立て(使う)という3つの観点から商品開発をおこなう。「モノとコトをつなぐ仕事」と語るように、商品に対してあらゆる視点から商品を分析していく。

伊藤さんは、クリス・アンダーソンが語るBit(情報)とアトム(物質)に、さらにPhoton(光)を付け加えたいと言う。ものの光の要素によって、情報や物の質が測れるのではと語り、デザインの重要性などが、これからのものづくりでも考えなければいけないと話した。

来年以降は、co-lab西麻布にて、Quration-United.Libというプロジェクトをスタート予定。素材メーカーやクリエイターの人たちと一緒に活動していくとのこと。



企業から個人へー50年のものづくりの人が取り組む新しい挑戦

小杉博俊さんは50年間「紙の仕事人」として働いており、紙素材を中心としてものづくりをやっていた。1942年生まれで65年にぺんてるに入社。その後、様々な紙製品のイノベーションをおこしてきた。幻の商品として紹介したのは、電子レンジ発紙。電子レンジでも耐えうる紙製品を作るも、お蔵入りになった製品だ。他にも、バッグナチュラルやCDを包むためのソフトビーズ加工紙、出雲大社神紙などを作成。MAKERという言葉が出来る前から、MAKERとして企画提案から製造請け負いまで実施していた人。

ぺんてる時代には幼稚園の教材、車のボデイカラーを立体的にみせる製品などを制作。オムロンなどのデジタル温度計は、それまで水銀体温計だった体温計は、病気の時以外に使用する機会がなかったものを、常日頃のデータとして記録するもの、という視点から制作。また、体温計にけんおんくんというネーミングをつけるなど、製品開発における新しい視点をもたらした。

「世の中にでていないものを、日本初を作りたかった」と語るよ小杉さんは、いまやアプリを制作するなど、様々な分野での開発をおこなっている。70歳になる前に、とある方との話から気づきを経て、70歳すぎてから新しいことに挑戦したいと考え、先日からco-labに入居。これから、新しいものづくりの実験をしていきたいと語る。紙を3Dスキャンした3D紙見本帳を開発したりしたい、と語った。

前述の伊藤さんと一緒にQuration-United.Libに参画し、素材を活かした新しいものづくりに挑戦していきたいと語った。



世界の市民工房Fablabから生まれるコミュニケーション

久保田さんと梅澤さんは、Fablab渋谷で日頃働いている。梅澤さんは、もともともともとエンジニアとして活動していたが、町工場がこれからどうなっていくかということを研究するところから、Fablab JAPANの田中浩也さんのところに行き、そしてFablab渋谷をスタートした。

Fablabは世界的な市民工房のネットワークで、3次元プリンタやカッティングマシーンを備え、あらゆるものをつくる市民工房として世界135箇所にあり、すべてのFablabとやりとりをおこなえる。世界中の人達、ものづくりに携わる人たちとコミュニケーションをおこなうことで、それまで知ることのなかったテクノロジーや気づきを得ることができると語った。「人の出会いの場としてFablabがある」と梅澤さんが語るように、人との出会うを通じ、新しいものづくりの体験を生み出す場だ。

Fablab渋谷は、Co-factoryとして機材がある工房スペースを持っており、Colabの入居者スペースが利用できるようになっている。レーザーカッター、3Dプリンタ、ソーイングマシーン、ペーパカッターなど、機材をこれからもっと用意していくとのこと。そうした、市民工房からものづくりをはじめ、そこから本格的な製品を行いたい人たちに向けて、企業と連携し、より精度の高い製品づくりができる人たちを紹介し、そこから新しい造形がうまれていく可能性を示唆した。

梅澤さんは、今の時代だからこそ、「なぜつくるのか、どうしてつくるのか、ということを考えてもらいたい」と、ものづくりの原点の発想をもってもらいたい、と語る。人は、ほしいものと必要なものという2つの欲求があり、必要なものは、その人にとって課題を解決するものである、とする。かつて途上国である東ティモールでも活動していたときに、途上国の人たちと一緒に活動していく中で、本当に必要なものを必要とする人に届けていくことの大切さを感じたと言う。MAKERSは、これを改善するものとしてあってほしいとし、課題のシェアをしていき、じっくりと課題に向き合うことで社会にとってインパクトが与えられるのでは、話した。



また、イベント中には、3Dプリンタの実践もおこなった。開発しているアプリで、オリジナルのアクセサリーがつくれる、というものだ。その日の惑星の位置を算出し、その形のイヤリングがつくれる、ということで、会場から一名の希望のプロダクトをライブで制作するなどした。



トークセッションー個人、企業がこれから考えなければいけないこと


ゲストのプレゼンが終わり、パネルトークへと移った。日本のものづくりについて、いまや様々なところで声があがっている。そうした中、ビジネスの視点からは3Dプリンタだけで革命はおきないと話もある。また、ものづくりをこれまでやってきた人たちからしても、自分たちのDIYで進めていくことが主であるからスタートアップな発想ではないという意見があるなど、MAKERSムーブメントと一言で言っても幅があるのではという疑問からスタートした。

fablab久保田さん
「3Dプリンタ自体は20年前から存在しており、なんら新しい技術ではない。当時、ポスト大量生産の製造に関する研究をおこなっており、その頃からプリンタを使用していた。当時は一台2000万円程度はかかり、大量生産以降のモノづくりについて、あらゆるところであらゆる人が研究していた。そこから、200万円台にまでスキャナも進化し、またその頃からウェブで共有する文化が登場し、ウェブの進化とテクノロジーの進化がクロスし、コストダウンが図れたことによって、こうした時代になったのでは。まさに、パーソナルコンピュータが広がったのと同じ現象で、3Dプリンタにもおこるのでは。だからこそ、僕らがどうしていくかをしっかりと考える必要があり、まだまだいまの状態は一過性なものにすぎない。

松島さん
「技術が新しいのではなく、誰でも活用できることで生まれる変化が大きいのだと思います。社会がどう変わっていくか。プロトタイプのやりやすさについて飯野さんはどう思いますか」。

飯野さん
「pinaのデザインなど、いままでは紙の上でやっていたものが、レーザーカッターで切り出しできるようになった。そうすることで、デジタルじゃなくものとして提示できることはすごく大きい。プロトタイプを繰り返しつくっていくことで、より精度をあげられられる。また基盤やキットなどは香港に発注をかけており、まさにクラウドファクトリー。ネット経由で注文し、基板用の入稿データを送ったら、あとは来るのを待つだけ」。

松島さん
「バズっている3Dプリンタも、まだまだ進化している途中であり、問題もあることにも気づかないといけないと感じる。そうした意味で、MAKERムーブメントの一端でしかないのでは。ネットワークやネットで発注、一緒にコミュニティで開発などおこなうことで、個人やユニットでも世界の工場を動かせるようになった。小杉さんは、もともと大企業にいた人がなぜ個人で?企業としてのやりにくさ、個人のやりやすさはありますか」。

小杉さん
「もともと、紙は自分で何回も作り直しができ加工しやすいということから魅力にはまった。他の成形品だと試作が難しい。世の中に無いものがコンセプトでやってきたが、いままでそれができなかった。メーカーに提案しても1000に一つくらいで提案が通るようなもの。いろんな物がでてきた中で、いまはできなくても、できる時代がくるのではと思っていた。そうしたときに、家庭用インクジェットをつなぎあわせて製本する機材をつくった人がいて、それによって何千万かかっていたものが何百万になった。知恵を使うと、安い機材でも生産できるようになることを垣間見た。そこで、独立し頑張っていこうと思った」。





技術とニーズのマッチングのこれから

松島さん
「2010年代から、アメリカではKickstaterでのクラウドファンディングが盛んで、そこではプロダクト系が多く、賛同して、ファンドレイジングして作られる。Kickstarerが顕在化させてのは、欲しがっているという欲求。そうした欲求に対してすぐにお金が集まった。みんな、欲しいと思ったものに対して、欲しいと言える環境ができた。逆に、なぜいままでそれらができなかったのか。特許をもっている人や企業はなぜ、つくらなかったのか。そうした意味で、技術とニーズのある意味でのミスマッチが顕在化したのではとも思います」。

伊藤さん
「独立する前は大企業にいた。会社のなかで求められる表現や形あるが、そこで語られる中身は事業の内容に限定された範囲になってしまう。それはもちろん仕方ないことでもある。自動車だったら自動車の言語。しかし、外にでると幅は無限にでてくるようになった。MAKERSムーブメントにおいても、様々な幅があり、玉石あると思うが、3Dプリンタみたいなものがでてくるもので、頭の中にあるものが具現化できるようになったのはいい動きだと思う」。

久保田さん
「3Dプリンタの多くはABS樹脂。しかし機材によっては金属や、材料をハイブリッドさせたものもでてきている。まだまだ技術革新の途中。また、ベルギーにあるプリンタなら人体サイズの大きさも作れる。逆にナノテクノロジー的に小さいものを作るバイオプリンタなど、プリンタができる幅も、次第に進化してきている」。

伊藤さん
「コモディティ化ではなく、どこか特化したものをつくりたいですね。荒削りなものでもいいので、自然的なものを求めるようなものに携わりたい。いま、山梨県の宝飾品をつくられている人たちのお手伝いしているが、直接石を削るとお金かかり時間もかかるが、そこにプリンタが利用されたりしている。まさに、伝統産業が使って検討している現場もある。効率化と、オンリーワンなものが交差している時代の印象を感じます」。



ものづくりとビジネスの関係について

松島さん
「ネットを最後に出口にすることで個人で販売できる時代になった。お店でなくても、自分たちで作って自分たちで販売していく。Etsyなどの登場も大きい」。

飯野さん
「pinaはAmazonでも売っている。確かに販路はEtsyなど色々出てきています。そうした意味で、販売の障壁は低くなってきてる。Pinaは最初はメーカーにもっていったが企画決まらなかった。メーカーの予算や社内事情、販売ロットの関係など、考えることが多かった。そうした意味で、意思決定のスピードにおいて、自分たちでつくったほうが早いのでは、ということだった」。

松島さん
「Maker Faireがすごく盛況だった。出店の人にこれ、売ってる?って聞くと、売っていないことも多かったが、商売っけがある人とない人で、ない人が多い印象だったけど、出店する人の意識やビジネスとしての距離感などをどう感じているのでしょうか」。

田村さん
「できるだけ売って欲しいとは思っている。今回、それまで出店料無料だったがレギュレーションを変えた。企業やメーカーは、専用に場を設けていたが、個人と事業主の違いがあいまいになってきたので、売るか売らないか、ということで分けた。ひと通り見ていたが、ほとんど高い金額で売る人はいなかった。それでも、販売は、増えてきている。企業はもちろんだが、趣味で作っている人が、販売している人もいて、徐々には変わってきている」。

松島さん
「Kickstarterを見ると、お金を集めるだけでなく達成するかどうか、人気があるかという事前のマーケにも使われていて、ニーズの顕在化が測れる。また面白いプロジェクトは拡散され、お祭りなものになっていく、そうしたダイナミズムを感じるが、日本ではどうでしょう」。

田村さん
それらを促進する動きが起きてもらいたいです。しかし、あまり無理がないよう、自然に売りやすい環境を作っていければ。イベントとしてはしっかりとつくっていくことで、それらは自然にまわっていくのではと感じます」。

松島さん
「Fablabには、ビジネスを見越した人も来ますか?」

梅澤さん
「来るときあるが、やはり多くは本業ある人が空いている時間で、というのがほとんど。開発については、ニーズのマッチングをはかり、マーケットインになってファンがついて、いずれ本業になっていくということは起こると思う。そうした卵な人はいる。1000個ではなく50個などでつくったりして徐々に作っている。企業も、外注せずに自分たちで作ったり切ったりして、新しい素材の活かし方などを模索するなど、企業としても、自分たちで考えようとしている動きが起きている」。

松島さん
「そうした意味で、インキュベーションの部分も今後大事になってくると感じる。co-labなどでつくるように、同じ場にいることでビジネスができるダイナミズムもおこる?]

小杉さん
「まだco-lab渋谷に来て2週間程度だが、その中で見ていても商売っけがいない、だろうなという人多い。そのかわり、自分がつくりたいものをつくりたい、と言う人が多い。そうした意味では、デジタルファブリケーションをうまく使うのは、街の発明家が盛り上げていくのではと思う。たまに、アイディアマンや試作をもってくる人がいるが、まだまだ荒削りな人がほとんど。でも、ものの作り方を教えることで、商品化の形の持っていける可能性は大いにあると感じる。だからこそ、アドバイスだけでなく、一緒につくっていくようにしていきたいと思う。発明家は、商売っけが多い人たちが多い。だから、ネットで新しいことを配信して、世の中にでてくるのでは。もしかしたら、クリエイターが負ける時代にるかもしれない」。




渋谷という街から、新しいものづくりを見つめ直す

飯野さん
「渋谷でやっている意味を考えていることがある。渋谷という意味。すでに、デジタルファブリケーションの建物いくつかあるし、コワーキングスペースなど、渋谷に多い。それはなぜか。僕はらのような世代は、1980年代んp渋谷のサブカルを経験している世代。だからこそ。渋谷という年の文化の発信力を経験している人たちで、それが原体験になっている。2000年代になってファストファッションが多くなったりしてつまらない街になってきたのではと感じるからこそ、今の時代においてものづくりの軸で渋谷の発信力を高められるのではと思っている。ちょうど先日タワレコがリニューアルし渋谷の場所からなにを発信していくか、タワレコ考えている。放送局のDIYのスタジオをつくり、渋谷から世界に発信し、パッケージとしてCDを買ってもらう経済性をつくり、循環をつくろうという実験をDOMMUNEと一緒につくっている。一方、MAKERSも、Co-fablicationの文化の中で、どういうムーブメントをつくっていけるのか。まさに課題」。

梅澤さん
アイディアからアイディエーション。そしてオブザベーション、ファブリケーションへとつながっている。ますます、自分たちの描いているものを形にできる時代。渋谷にいろんなものが集まっているからこそ、頭のものを具現化し、形にできる様々なポテンシャルにがある。だから渋谷にあるのではと思う。Fablabも、来年から街(渋谷)のプロトタイピングの実験プロジェクトをおこなっていく。みなさんが思う渋谷をプロトタイピングしよう、というイベント。そうした意味で、ますます街が面白くなっていく時代にも重なる」。

松島さん
「MAKERブームの中で、日本中の固有の場からカルチャーでてきている。渋谷から、メーカーブームとあわさって新しいものがくる予感がする」。




企業と個人のものづくりの新しい可能性

ここで、会場からの質問。質問は、メーカーに勤めている人からの意見があり、大企業が、こうしたMAKERの動きとどうコラボしていくか、ということが論点になった。

Q)消費者だと思っていた人たちが作り手になってきた。そうなってきたときに、ユーザは企業になにを求めてくるのか?

田村さん
「オライリーとしては、企業に対しては製品の情報を公開し、改良しやすいものを作って欲しいと思っている。もっとMAKERフレンドリーな製品をつくってほしい」。

久保田さん
「当たり前だが個人のMAKERがつくれないものもある。例えば冷蔵庫などはまさに。だから。企業は製品の情報を公開し、あらゆるユーザが中が見れて、自分で直したり改良したりする動きが起きて欲しい。争うのではなくお互いが仲良く、つながっていけるようなもの。まだまだ製造業は技術をもっているため、そこに個人のアイディアなどと融合することでの可能性はあるのでは」。

Q2)企業のデザインで働いているが、デザイナーはどういった仕事になっていくか?デザインは必要か?

伊藤さん
ものをつくれる形だけだと、誰でもできるが、そこから先がデザイナーの仕事。つまり、コンテキスト。なぜその製品を作ったか。ストーリーをつくらないとただのモノになってしまう。自分のものづくりは、それらを提供していく。それを考えないとデザイナーは一般化してくる」。

松島さん
「大量生産はストーリーがない。そこにコンテキストがあったり、作り手の顔が見えたり。そこにデザイナーの余地はある。なぜつくるのか、ということを考えないといけない」。



大手企業も、まさに変わろうとしている動きも起こっている。もちろん、すべての情報を公開することは難しくても、出しても問題情報、出してはいけない情報を精査しつつ、できるだけオープンであることによって、新しい可能性が開かれるのでだろう。今回のトークでも、個人のものづくり、そして、企業としてのものづくりのあり方を考えさせられるセッションで、大いに盛り上がった。

今後、ますます盛り上がるだろうMAKEの動きを、しっかりじっくり分析していきたいと思う。

【関連書籍】


また、当日の様子は、USTREAMで動画で録画されている。こちらも御覧ください。



Video streaming by Ustream

2012/11/26

12月14日「あしたのコミュニティーラボ」にて、働き方に関するテーマのイベントに出演します


これからの「働き方」ということについて、色々なところで議論されるようになってきました。それはなにも、個人とかフリーランスの問題だけでなく、企業においても、企業内における社会のイノベーションや、社内におけるリソースの見直しや、新規事業立ち上げにおける社外のプレイヤーとの交流やコミュニケーション、プロジェクトにおける運用やマネジメントなど、分野やジャンルや業界を横断するような動きが起きてきました。

その中で、それぞれのプレイヤーに応じて、環境やツールや考え方、日々の過ごし方などが、これまでとは違ったあり方が時に問われるようになってきました。それに応じて、インターネットの一般的な普及や、TwitterやFacebookなどのSNS,ChatworkやサイボウズLiveなどのコラボレーションワークツールなど、様々なタスクツールなどを用いて、いつでもどこでも仕事ができたり、世界の情報を一瞬で調べることができる環境になってきました。

そうした中で、これからの社会がどうあるか、そして、その社会で生きる自分たちがどのようにして生活し、日々を過ごし、働いていくか、ということを、これまで以上に考えなければいけないのではと思います。

そうしたことを考え、日々連載や記事や企画などを仕事にしている中で、今回、12月14日におこなわれる「明日のコミュニティーラボ」のイベントにゲストとして登壇させていただくことになりました。働き方研究家の西村佳哲さんや、コクヨのWORKSIGHT編集長をされている斎藤敦子さんなど、日頃から企業や個人として「働くとは」ということをお考えになっているお二人と登壇するということで、20代としてのいまの生き方や、僕なりにこれまで過ごしてきた中で感じるこれからの「働き方」などについて、参加者とインタラクティブにやりとりができればと思います。

ぜひ、興味のある方はご参加ください。
ーーー以下、概要です。ーーー

あなたにとっての理想の働き方とは?
12月14日(金)、「あしたのコミュニティーラボ」では、働き方研究家の西村佳哲さんをモデレーターに、コクヨ株式会社でワークプレイスの研究を続けてきた齋藤敦子さん、協働・共創を生むコワーキングも含めたこれからの働き方・生き方を追い続けながら、自ら日々実践も行っている編集者の江口晋太朗さんをお招きし、「働く」をテーマとするワークショップを開催いたします。タイトルは、「理想の働き方のために。コミュニケーションから〈シゴト〉を考える」。ご自身の働き方を問い直したい方、組織やチームのあり方を見つめたい方必見の内容です。ゲストの方々のお話から、ぜひみなさんそれぞれの理想の働き方を一緒に考えてみましょう。

会場は、東京都渋谷区の道玄坂上に位置する「OpenCU(http://www.opencu.com)」。参加費は無料です。
下記リンクよりご応募いただけますので、たくさんのご参加をお待ちしております。

【タイトル】
理想の働き方のために。
コミュニケーションから「シゴト」を考える。
【出演者】
西村佳哲(働き方研究家/モデレーター)
齋藤敦子(コクヨRDIセンター主幹研究員、WORKSIGHT LAB所長)
江口晋太朗(編集者、TOKYO beta projectメンバー)

【日時】
12月14日(金)
19:00~22:00(開場18:30)
※終了後、出演者の方々と直接お話ができる懇親会(無料)も予定しています。
【開催場所】
OpenCU(東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア)
(http://www.opencu.com)
(アクセス:http://www.loftwork.jp/profile/access.aspx
【受付場所】
上記ビル10F(株式会社ロフトワーク内)
※応募時のお名前を受付担当にお伝えください。
【定員】
50名
【参加費】
無料
【応募締切】
定員をもって終了
【運営事務局】
あしたのコミュニティーラボ
【お問い合わせ先】
イベント応募ページよりお問い合わせください。
http://everevo.com/event/2917
【事務局運営時間】
平日11:00~18:00
※土日祝日にいただいたお問い合わせは、翌営業日に回答いたします。
【注意事項】
・内容は予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
・個人情報の取り扱いについては、「everevo(イベレボ)」のプライバシーポリシーをご参照ください。
http://everevo.com/static/privacy

【関連書籍】

この冊子に、記事を寄稿させていただきました。コワーキング含めた、企業や個人を含むこれからの働き方について書かせていただきました。

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