2014/11/26

雑誌『WIRED』 vol.14にて、企画・編集・執筆を担当しました

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コントリビューティングエディターとして企画や編集をしている雑誌『WIRED』。11月25日発売のvol.14 では、STARTというコーナーで、イスラエルでなぜイノベーションが起きるのかを、さまざまな視点から切り取った8Pの特集を担当しました。

他にも、WIRED Conference 2014に関連した記事、10月下旬にオーストリアで開催されたRed Bull Air Raceの取材で、オーストラリアのザルツブルグに行き、生でAir Raceを観戦してきました。

Red Bull Air Raceは、2015年5月に日本・千葉で初開催されるので、日本人パイロットの室屋さんの活躍にも期待したいところです。





2014/11/19

GLOCOMが出版している『智場#119特集号オープンデータ』特集記事の構成執筆を担当しました

特集のインタビュー原稿の執筆を担当した、GLOCOMの「智場」が出版されました。特集では国立社会保障・人口問題研究所の森田朗さんと庄司さんとインタビュー。オープンデータ、オープンガバメントの話から、情報技術と社会の関係について、多岐にわかる内容になりました。


国際大学GLOCOMが定期的に発行している機関誌の『智場』。毎号テーマを変えながら、研究者らによる国際情勢や経済効果といった社会動向についてまとめている書籍です。その特集記事として、国立社会保障・人口問題研究所所長の森田朗氏へのインタビュー原稿(インタビューワは国際大学GLOCOM主任研究員の庄司昌彦氏)の構成執筆を担当しました。今回、テーマがオープンデータということで普段の活動に通じる内容をきちんとインタビューを通じてまとめることができる良い機会だったと考えています。内容も、医療や社会保障制度、さらには人口減少問題に対してどう取り組むか、また日本のオープンデータとオープンガバメントにおける現状とこれからについてなど、多岐にわたる話題についてお話いただきました。インタビュー、ありがとうございました。

お話では、森田氏とは以前に私も企画をお手伝いし、森田氏も有識者メンバーとして参加されていた「国・行政のあり方に関する懇談会」の取り組みなども事例として紹介をいただきました。会議の内容を外に発信するだけでなく、会議のメンバー同士が有機的にコミュニケーションを行うためのデジタルツールの活用は、会議の回を増すごとにブラッシュアップされていっていました。この取り組みは、東海大学の富田誠氏らと一緒にやっていた(富田氏による会議の際に取り組んだグラフィックレコードの事例に関するインタビューはこちら)のですが、どこかのタイミングでこの取り組みも書籍なりできちんとまとめないといけないな、と考えています。

2010年代のこれからの考える上で、日本のオープンガバメントの今とこれからをまとめたい

普段からOpen Knowkedge JapanやCode for Japanの企画ディレクションや広報PRまわり、コピーライティングやらワークショップなどに携わっており、オープンデータやオープンガバメントを推進するための活動している身として、こうして研究者や実践者、デザイナーや経営者らと一緒に市民社会のあり方を考える取り組みをしっかりと外に発信する機会は意外と少ないのが現状です。

日本政府が電子行政オープンデータ実務者会議などを踏まえてCIOを設置したり、昨年には『日本最先端IT国家創造宣言』を行い、積極的にオープンデータやオープンガバメントを推進しようとする動きは見せてきています。企業や民間団体も、OKJやCode for Japanが動き出すなど、さまざまな活動が全国で活発化してきています。

アメリカでは、オバマ政権が誕生した2009年以降、積極的なデジタル施策やオープンガバメント施策を行ってきました。日本もそれを見ながら独自な動きを見せ始めようとしており、じょじょに成果も出始めています。しかし、そうした取り組みをまとめる機会が少ないすごくもったいないと感じています。

ネット選挙解禁の活動を行っていた2012年2013年、そしてネット選挙が解禁されたあとの7月の参議院選挙や2014年の2月には都知事選を経て、もはや当たり前にようにネットを使った選挙活動となってきました。その次は、選挙活動のみならず、普段の活動やネットもオフラインも含めて、よりオープンな政治、オープンな行政活動、その先にある創発的な市民社会を作るための動きを起こすことが必要だと感じます。OKJの活動や全国の草の根で活動しているさまざまな団体へのインタビュー、Code for Japanの取り組みや浪江町での先進的な取り組みは、今後の日本社会のおいても大きな意味をもつものだと思っています。

日本におけるオープンデータの推進とオープンガバメントの未来についてどう向き合い、どう行動していくか。それに対して市民側ができること、企業や民間団体ができること、そして政治や行政の側としてすべきことを、しっかりとまとめ、2010年台の後半への展望や提案をできるような書籍かなにかを、執筆できたらと最近ふつふつと考えている今日このごろです。






お金ってなんだろう、を気づかせてくれるクラウドファンディングというサービス

the audience is shaking (CC)



スタートアップやテックなど起業に関する情報を発信しているTHE BRIDE。編集として携わっており、企画としてクラウドファンディングに関する情報をまとめていました。そのひとつに、クラウドファンディング法案(ネット経由で小口投資を募ることができるようにする金融法改正)について取材などをしていました。

それにあわせて、クラウドファンディングに関して体系的にまとめたり、クラウドファンディング法案成立後にどういった動きが起きるのかなどについて、クラウドバンクの大前さんに取材を行いながら、大前さんとやりとりをしながら寄稿していただき、編集していく、ということを行ってきました。

・クラウドファンディングの歴史と日本のポテンシャルについて【ゲスト寄稿】 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
・「2014年はクラウドファンディング元年」:多様化するクラウドファンディングと市場の動き【ゲスト寄稿】 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
・株式型クラウドファンディングを通じて、企業とユーザの関係が再構築される【ゲスト寄稿】 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
・クラウドファンディングが仕掛ける「金融の民主化」:個人を力づける新しい資金調達と資金活用のカタチ【ゲスト寄稿】 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

全4回、すべて足すと3万字くらいの内容をもとに、クラウドファンディングについての基本的な内容や融資型の海外事例、株式型クラウドファンディングや法案成立後の未来についてまとめていただきました。こうした一連の企画がきっかけで、大前さんが先日書籍『クラウドファンディングではじめる1万円投資』を出版したというご連絡をいただき、書籍をご恵投いただくこととなりました。

あとがきでは、嬉しいことに書籍のきっかけについてご紹介いただきました。

「本書では、私がこれまで行った講演や寄稿などが土台となっています。特にブログメディア『The Bridge』の平野武士さんと江口晋太郎さんには、今回クラウドファンディングについて包括的にまとめる機会をいただいたことが本書執筆の土台となっていることを考えると、生みの親みたいなものです。」(P188)

THE BRIDGEとしてご提案させていただいたことで、こうして書籍化につながったということで、企画提案をさせていただいた身としても大変嬉しく思っています。もちろん、今後もクラウドファンディングに関する情報や、法案についてなども追いかけていければと思います。

同時に、私もクラウドファンディングについて包括的にまとめることで仕組みとしてのクラウドファンディングと、大前さんとも話をしてまさにでてきた「金融の民主化」というところに改めて気付きを得ることができました。普段、何気なく使っているお金も、その値段が付いている商品の後ろには、流通や製造にさまざまな人が関わり、そして製品ができているということに、なかなか知る機会がありません。しかし、お金というのも交換のひとつの手段。それをどう活用するか、もっとお金について能動的に考えるべきだと実感します。

自分が共感した商品や応援したいと思うプロジェクトの製品を買ったり、自分が支払ったお金が何にどう使われているのか、というお金のトレーサビリティといった考えも近年ではでてきています。マイクロファンディングのKivaなどもまさにそういった活動といえます。クラウドファンディングも、まさにそうした個人のお金が何にどう使われているのかを知るひとつの機会として捉えることもできます。もちろん、プロジェクトを掲載する人にとってみれば、資金を調達する手段としてクラウドファンディングを捉えることができますが、お金を支払う側の意識も同時にあることにも気付かされます。

資金を調達し、プロジェクトを推進しようと思うプロジェクトオーナーも、ただクラウドファンディングのサイトに掲載すればお金が集まるわけではなく、そのプロジェクトにかける思いをきちんと整理し、それを映像や言語に落としこむことが必要です。さらに、随時情報を更新してプロジェクトに関しての情報を発信して透明性を高めることも必要です。そうした小さな取り組みや丁寧なコミュニケーションを通じて、自身のファンやサポーターを増やすことができるのです。それって、かなりの手間がかかるし、正直いえばコミュニケーションコストはかなりのものです。さらに、リターンも魅力的でなければなりません。もちろん、マーケティング的視点で、製品づくりのプロジェクトを掲載するということもあるし、ほかにもプロジェクトに関しての何かしたらの記念や限定イベントなどなど、ファンを増やすための施策も必要です。

そうした意味で、クラウドファンディングは単純にお金を集めるだけのことを考えると割にあわないかもしれません。しかし、そうした賛同が可視化され、みんなの応援が見えることで、より責任がましたり、プロジェクトをまわしながら自分自身を奮い立たせるような機能も兼ね備えてています。そのコミュニケーションのひとつのきっかけに、お金という交換ツールがあると考えると、お金の使い方もまた新しい視点が生まれてくるかもしれません。

お金は、ただそこにあるだけでは意味がありません。それをどう使うか、◯◯円という数字的なものではなく、その実数としての数字の裏にある、目に見えない価値をどう作り出すか、それは、お金には変えられないものでもあります。改めて、お金ってなんだろう、ということを問いなおすひとつのきっかけとして、クラウドファンディングを見つめるのもいいかもしれません。



2014/09/22

札幌国際芸術祭に行って感じた、都市の歴史とメタ的コミュニティのあり方

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先日、出張で札幌に行く用があり、ついでに現在開催中の札幌国際芸術祭2014もみてまわりました。

札幌国際芸術祭は、札幌初の国際的なアートフェスティバルとして、が7月19日(土)から9月28日(日)まで、開催されています。開催テーマは「都市と自然」。都市と自然の共生を考えるもので、札幌市内各所でプロジェクトなどが展開。札幌全体がこうして芸術祭の舞台のなるのは、札幌の歴史としては始めてのもので、行政もサポートしながら第一回目を大成功に導こうと取り組んでいます。

主な会場はm北海道立近代美術館や札幌芸術の森美術館、札幌駅前の地下歩行空間(チ・カ・ホ)やモエレ沼公園など、さまざまな場所で行われており、一日で回るのも結構大変なくらいの、作品数とそれぞれの開催場所の点在さが、逆に札幌市内の山や都市部をじっくり見て回る良い機会にもなりそうです。


札幌国際芸術祭の会場の、北海道立近代美術館へ。

札幌国際芸術祭の会場の一つである北海道立近代美術館は、札幌の中心部から西に少し移動した場所にあり、大通り公園から15分ほど歩いたところにあり、市内を散策しながら行くことをオススメします。展示では、

坂本龍一さん+YCAM InterLabによる「フォレスト・シンフォニー」。こちらは坂本さんと真鍋大度さんによる電磁波を可視化するインスタレーション #札幌国際芸術祭

札幌市内から北上したところにあるモエレ沼公園。そこにあるガラスのピラミッド内に展示してある坂本龍一氏と真鍋大度氏による共作。チ・カ・ホでセンシングした電波データを可視化・可聴化した作品で、手元にあるスイッチに周波数と表示されるグラフィックをいじることができます。無限に広がる電磁波とパターンを変えたグラフィックを見ていると、時間を忘れてしまいそうになります。



同じく、センシングによる作品として、札幌駅前の地下歩行空間(チ・カ・ホ)には菅野創+yang02によるドローイングモジュールもあり、地下を行き交う人の数を計測しながら絵を描き続けるという作品がありました。こちらも、札幌駅についてすぐに見ることができる作品です。

竹村真一さんの「触れる地球」で、地球規模の空と大地の動きを実感した #札幌国際芸術祭

また、ガラスのピラミッド内には竹村真一氏による「触れる地球」なども展示されています。地球を感じつつ、空と海と大地といった自然と都市のあり方を感じる札幌国際芸術祭ならではな展示と言えます。

モエレ沼公園で、大地の偉大さを感じた。

札幌国際芸術祭の舞台としてなっているモエレ沼公園は、彫刻家のイサムノグチ氏による遺作としても知られています。「地球を掘りたい」という考えのもと、広大なゴミ埋立地を自然公園にする壮大な計画をもとに、1979年から始まったプロジェクトは、プロジェクト中にノグチ氏が亡くなるもその意志を継いだ人たちによって2004年に完成した、という歴史があります。北海道ならでは、そして人と自然のあり方を考えさせられる作品であり、人々がくつろぐ憩いの場として、愛されています。


モエレ沼公園の様子も、動画のハイパーラプスで撮影していました。広大な土地は、まさに「北海道はでっかいどう」と言いたくなります。


大自然をバックに中谷芙二子さんの FOGSCAPE #47412 #札幌国際芸術祭

今度は札幌市内から南に移動した札幌芸術の森美術館。近代美術館と芸術の森美術館では、自然をテーマにしたさまざまな展示があります。そして、芸術の森美術館では、一時間に一回、中谷芙二子さんの FOGSCAPE #47412を見ることができます。霧をテーマにした作品は、霧という自然現象を、改めて見つめる機会になります。

他にも、今回札幌としても始めての芸術祭ということで、この機会に各地でさまざまな催しや企画が行われていますので、ぜひ足を運んでみるといいかもしれません。あと、札幌国際芸術祭をうまく回る方法として、友人の編集者である塚田有那がCBC.NETで「まだ間に合う!札幌国際芸術祭2014を3倍楽しむ旅案内」という記事を書いていますので、そちらを参考にしてもらえればと思います。

各地の美術館や展示会場は、距離もそこそこあり、見て回るコースなどもある程度事前に考えておくといいかもです。公共交通機関や無料バスなど、さまざまな手段があるので、それらを駆使して満喫することをオススメします。

都市の歴史、そこに住む人たちの意識とまちのありかた
実は、札幌に来たのは高校時代に修学旅行で来た以来なので、約12年ぶり?くらい。ほとんど初といっても過言ではありません。

そんなことで、札幌市内を見て回ってやはり気になったのは、都市がどう成長し、そこに住む人がそういう生活や意識を持っているのか、今回の芸術祭に対してどういった意識を持っているのか、といったものでした。実際に、札幌国際芸術祭に携わっているスタッフや、お会いした方々、取材した人たちなどに、札幌の印象や状況などを伺ってみました。

札幌は、かつてアイヌの人たちが住んでいた土地で、そこに明治時代に置かれた北海道開拓使らにとり、屯田兵などで都市づくりを行っていったという歴史があり、つまりは行政によるトップダウン型の都市づくりによって成長してきたといえます。そうした都市計画であったため、都市の区画もきれいな碁盤の目となっており、京都のような雰囲気や、アメリカのNYのマンハッタンに近い雰囲気を醸し出しています。

そのため、近代に入り急速な都市の発展とともにつくれれてきたという意味で、100年弱ほどしか都市の歴史をもたない、モダンであると同時に人が生きた空気や跡といったものが感じられにくい、ということも言えるのかもしれません。あまりにキレイに整備された都市、豪雪地帯でもあり、街にはホームレスなどの存在も少なく、行き交う人達も情報感度もそれなりにありハイソな匂いがある。しかし、そのまっしろさと純白さがありすぎるがゆえに、どこか物足りなさを感じなくもありません。

NYであれば、民族や人種の多様性などがあるのかもしれませんが、札幌ではもはやアイヌの人たち、という存在も次第に薄まっている状況。いわゆる「日本人」というくくりの中で、札幌にいる人達は住んでいます。また、住み着いている人たちも自発的に渡り歩いた、というよりも国策によって連れられた人が多く、目的別のコミュニティで分断された状態で過ごしてきた人たちが多いのです。そのため、札幌市民をつなぐ横串のコミュニティや、共通認識を持った文化や取り組み、時には多様な人達が集まるカフェやスペース、コミュニティ、といったものが少なく、もともと細分化されたコミュニティを通じて生活をしてきたという歴史なのかもしれません。

また、北海道といえば農業や酪農が盛んですが、そうした農業や酪農を感じる場が、札幌市内にはあまりなく、例えば都内などであるファーマーズマーケットなどといった取り組みも札幌ではあまり見受けられません。農業地域と都市部とが、まさに分断されている、と言えるかもしれません。そのため、それぞれのコミュニティ同士による交流も多くはなく、もともと広い土地でもある北海道において、それぞれの北海道のイメージがあり、それぞれを強固につなぐアイデンティティをもつことが、なかなか難しいのかもしれません。

あわせて、広い土地と農業の発展は高い自給率を作り上げており、都市全体としても保守的な動きにならざるをえません。政治の面において、北海道全体として保守が強いのも、そうした一次産業の強さから言えるかもしれません。しかし、急速な都市と経済の発展、綿密に計画されたトップダウン型の都市デザインは、卸や流通などの業界は発展するも、もともとその地域に根づき取り組んでいた町工場などの工業地域を作るには、あまりに短い時間だったと言えます。そのため、工業地域の少なさが、やはり北海道全域でも見受けられます。

それぞれに細かなコミュニティがあるが、急速な都市と経済の発展、綿密に計画されたトップダウン型の都市デザインによって、人々をつなぐメタ的なものの不足、ハード先行によるソフトの少なさ、という歴史が文化を醸成してきた地域だからこそ、札幌に住む人達のアイデンティティ、札幌に対する外からのイメージの良さの反面、ソフトに対する弱さや住んでいる人たちのおとなしい正確さ、積極的に外に出る必要性を感じない肥沃な土地のもとに、これまで過ごすことができた、という歴史があると言えます。

けれども、日本全体としては高齢化、少子化の問題が待ち構えていますが、まさに北海道、札幌もその痛手を大きく受ける地域でもあります。農業分野においては、後継者問題は深刻な問題であり、これ以上保守的に居続けることには、もはや限界があります。JA自体の改革や、農家によるIT化など、さまざまな取り組みを行う必要があり、農家自体の負担を増やすのではなく、それをバックアップする国や民間企業の取り組みが急務となってきます。これまで一次産業、農業が安泰だった、というある種の神話によって成り立ってきた札幌や北海道は、その神話が崩れ始めているという目下の課題をどうにかしなければいけない現状になっているのです。

そうした意味で、今回始めて芸術祭を開催したことは、市民全体を横串につなぐコミュニティであり、またアートという都市や人の生活の余白や余剰、新しい意識を作り出すものとして、大きな意味を持つといえます。今回の芸術祭をきっかけに、さまざまなコミュニティが協力し、互いに札幌のあるべき姿、札幌としての未来を考える一つのきっかけになっているのだと感じました。今回の芸術祭を踏まえて、もうすでに第二回目をどうするか、という動きもでているとか。動員数も、目標である30万人を超えるということで、道外からのお客さんもそうですが、道内、札幌市内に住んでいる人たちが、今回の芸術祭に足を踏み入れ、そこで感じた何かが、次につながっていくといいなと思います。

まさに、9月27日にマチノコトが企画する横浜トリエンナーレのツアー企画も、横浜という都市の課題と、トリエンナーレによって生み出されたもの、これからの都市のあり方をどう見つめていくか、ということを考えるきっかけになるのではないでしょうか。

アートプロジェクトだけではなく、都市のあり方、都市デザインをどう見据えていくか、ということは、札幌だけに限らず全国の都市にいえることです。そして、それぞれの都市には、それぞれの歴史や持っている文化、リソース、人の意識などさまざまです。だからこそ、その地域がもつ課題、その地域にいる人たちの意識をきちんと汲み取りつつ、新しい施策を考え続けることに意味があるのでないでしょうか。そこに、アーティストやクリエーター、アントレプレナー、政治家、行政、メディアの人たちといった、さまざまな人たちが協力していくことに意味があるのではないでしょうか。









2014/08/31

英国イノベーションの歴史から、日本の次のイノベーションの道を探る

色んなところでクリエイティブやイノベーションが謳われているものの、そうしたものは突然の思いつきやひらめきで生まれるのではなく、自分自身の見聞や経験といった過去の蓄積や社会がもつ歴史と密接に関わっていることは往々にしてあります。すでにあるもの、過去にあったものを違う視点に置き換えたり、現在のニーズやウォンツを研究してくる中で、そこに新しい視点やアイデアを持ち込むことによって生まれてきたりします。

天才的な大発明よりも、そうした積み重ねられたコンテクストを理解したり、視点を替えたり、あえて破ったりしている、ということが重要だったりします。歴史や伝統といった視点からみると、日本はアメリカよりもイギリスのイノベーションの歴史を調べたほうがいいのでは、ということで、仕事の関係もあってイギリスのことについて最近調べてみたら、面白い取り組みがなされていました。

Great British Innovation Vote http://www.topbritishinnovations.org/ という、2013年3月に行われたキャンペーンで、過去100年間でイギリス発祥で起きたイノベーションに対して、あなたが好きなもの、重要なものを投票する、というキャンペーンが行われ、その結果発表がリストアップされていました。中をみると、イギリス発祥、イギリス生まれなイノベーションの事例が、実は自分が知らなかっただけでかなりのものがあり、しかも色んな物事の基盤や基礎を作ったものが多い印象を受けました。

せっかくなので、いくつかリストアップしてみたいと思います。まずは、上位入賞のものから。

1位:Universal Machine
(発明者)アラン・チューリング - Wikipedia http://goo.gl/anUw8
チューリングマシンで「アルゴリズム」と「計算」の概念を定式化し、計算機科学の発展に大きな影響を及ぼし、コンピュータの誕生に重要な役割を果たした。

2位:Mini(BMC) http://goo.gl/nUPm
イギリスブリティッシュモーターコーポレーションが生んだ大衆車。自動車としての必要最小限を形にした設計は、登場当時(1959年)革命的とまで言われた。

3位:X-ray crystallography technique 
(発明者)ローレンス・ブラッグ - Wikipedia http://goo.gl/6X0Hmw
X線結晶学。物理学者。現代結晶学の創始者の一人。X線回析を用いて物質の構造を研究。父であるヘンリーブラッグとともにノーベル物理学賞を受賞。X線結晶学の研究に従事。結晶によるX線回析についての法則「ブラッグの法則」を発表してX線回析による構造解析に理論的な基礎を与える。結晶格子で回析したX線ビームから結晶内の原子の配置を計算することができ、さまざまな結晶分析が可能となる。

4位:Discovery of Pulsars 
(発見者:存命、オックスフォード大学客員教授、元イギリス天文学会会長、英国物理学会会長)ジョスリン・ベル・バーネル - Wikipedia http://goo.gl/YSuLYR
イギリスの女性天体物理学。1967年、アントニー・ヒユーイッシュとともにパルサーを発見。パルサーとは、パルス状の可視光線、電波、X線を発生する天体の総称。電波望遠鏡の観測データの中に規則的に変化する電波信号を発見し、それが高速で回転する中性子星「CP 1919」が電波源であることがわかった。超新星爆発後に残った中性子星がパルサーの正体であると考えられている。

5位:Mallard
LNERクラスA4蒸気機関車4468 マラード - Wikipedia http://goo.gl/uGzmp
ナンバー4468マラードは、London and North Eastern Railwayの蒸気機関車。ナイジェル・グリズリー卿による設計。風洞実験を利用して設計された空気力学的に優れた車体をもち、時速160km以上の速度で走る。マラード号は、時速203kmという蒸気機関車の世界最高速度記録ももつ。(1938年7月3日に樹立)。その後、この世界最高記録が蒸気機関車によって破られたことはない。現在のギネス認定世界記録。

というのが、今回のGreat British Innovation Voteの上位で、上位に入賞しなかったけれども、いくつか面白かった事例もご紹介。

◉World Wide Webの開発
(開発者)ティム・バーナーズ=リー http://goo.gl/NAlL
イギリスの計算機科学者。WWWを考案し、ハイパーテキストシステムを実装・開発した人。URL、HTTP、HTMLの最初の設計者。

◉コンコルドの開発 http://goo.gl/ZV9X

◉ARMアーキテクチャの開発 http://goo.gl/CXzNK
ARM Ltdにより開発されている、現在のスマホや組み込み機器や低電力アプリケーション向けに用いられている32ビット、64ビットRISC CPUのアーキテクチャ(市場の75%を占める。携帯電話、メディアプレイヤー、携帯型ゲーム、電卓、ハードディスクルータなど)。1983年にエイコーンコンピュータ(イギリス)によって設計が開始された。Appleのベースにもなっている。

◉DNAシークエンシングの手法の開発 http://goo.gl/Z7q8
開発者 ウォーター・ギルバード(アメリカ)とフレデリック・サンガー(イギリス http://goo.gl/VrcjsB )
DNAを構成するヌクレオチドの結合順序を決定すること。DNAシークエンシングは遺伝子情報を解析するための基本手段。フレデリック・サンガーは、2013年現在で、ノーベル化学賞を二度受賞した唯一の人物。

◉ターボジェットエンジンの開発
フランク・ホイットル - Wikipedia http://goo.gl/dQZhg
ターボジェットエンジン開発装置は第二次世界大戦でも用いられ、その後の飛行機輸送技術に大きな影響を及ぼす。

◉MRIスキャナーの開発、MRI(核磁気共鳴画像法)の発見
ポール・ラウターバー(アメリカ)とピーター・マンスフィールド(イギリス)にノーベル生理学・医学賞が与えられる。

などが挙げられていました。また、これから期待されているイノベーションという項目もあり、それらはみると最先端な研究事例や、今まさに僕らが触れているものに含まれているものでもありました。

◉Raspberry Pi http://goo.gl/uUz7k
(Raspberry Pi発展の基礎に、ARMSアーキテクチャの開発に関わったエイコーン社によるARMプロセッサが搭載されている)

◉Organ printer
3Dプリンタによる臓器プリント。


などなど、医療から航空技術、工学、物理学などなど、さまざまな分野の最先端をイギリスが作り上げていたことが分かりました。

研究の分野では、ある一つの分野を追求し、その先に見つけた真理や原則といったルールや規則を見出すこともあります。技術的な視点だと、それまでなかったプロダクトやサービスを開発することもイノベーションです。人文社会学的な視点だと、人はさまざまなルールを作ったり変えたりする力があり、それはコンピュータではできないものです。同時に、常識やルール、慣習を変えるためには、そのルールがどう作らえ、どういった歴史をたどりながら運用されてきたか、そして時にそのルールを破るような視点を持つことが必要です。その根底にあるのは、人のニーズに対して愚直に応えること、もっとこうあるために何が必要か、と考える意識かもしれません。バラバラだったものを定式化し、形あるものにすること、形あるものを根底から壊し再構築する方法だったりします。

イノベーションは、その言葉の意味には、一つの現象ではなく変えた先の未来、変えた先の世界もその言葉に内包しているのではと思います。つまり、イノベーションが起きたことによって、元に戻ることを拒否したくなるだけの力、人の行動や習慣、価値観を後戻りにできないほどアイデアを普及させることなのかもしれません。ここにあげたどれもが、もはやなかった世界には戻れないことにおそらく気づいていると思います。

イノベーションを創発するヒントとして、やはり過去を振り返ることの重要性を考えたとき、海の向こうであるイギリスは、これだけのイノベーションを起こしていることを多くの市民が自覚し、次の新しい道を作る人達も、こうした事例や出来事を参照しながら次の道を作ろうとしていると思います。日本から新しいイノベーションを生み出すために、では、これまで日本はどういったイノベーションを起こしてきたのか。過去100年間のイノベーションの事例を調べてみることに、次の未来に対する道へのヒントがあるのかもしれない、と、イギリスを調べてて感じるものがありました。

未来は過去の積み重ねであり、そして「伝統から革新」を生み出すためにも、日本のこれまでのイノベーションの事例を体系立ててまとめたら、すごく価値があるのではないだろうか。興味が有る人は、一緒にやってみませんか?






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