2013/04/21

みんなの声で社会は変わる−One Voice Campaignで実現したネット選挙解禁

2013年4月19日、ついに、参議院本会議にてネット選挙運動の解禁を含めた公職選挙法の改正法案が通過し、この夏の参議院選挙を目処にネット選挙運動の解禁が実現することができました。

1年前の2012年3月、「ネット選挙の解禁を目指す活動をしないか」と友人らと話をし、そこから色々な人たちの協力や支援があり、One Voice Campaignが2012年5月のGW明けにスタートしたことでこうして形になったことは、とても感慨深いものがあります。

当時は、オバマの大統領の第二期に向けた選挙やアラブの春、occupy wall streetなどが盛り上がりを見せていた時で、そうした活動の多くがソーシャルメディアなどを通じて市民が声をあげ、自分たちの社会を自分たちで作らなくちゃという思いを持ち、様々な活動を通して社会に訴えかけている動きが活発な時期でもありました。

日本でも東日本大震災を経験し、TwitterやFacebookでのソーシャルメディアによる情報発信だけでなく、誰もが小さなことからでも情報を編集して被災地への情報整理やアクション、募金の活動やデザインなどを通じたクリエイティブによる節電の呼びかけや企業と民間とが協働してデータをマッシュアップした取り組みなど、多くの個人や団体が試行錯誤しながら活動をしていた時期でもありました。

そうした活動は、政府や行政、大企業などのトップダウン型から、個人同士のネットワークの広がりによる集合知による活動など、一人一人の行動が大きな声や力になることを実感し始めてきた時でもありました。

何か行動しないといけない。世界で様々な動きが起きている中、インターネットがもっと日々の生活や社会にとって大きな意味を持つものに違いない。自分たちの社会を、自分たちの声や行動が届く社会にしないといけない。

そうした思いで最初の数人のメンバーで集まり、MTGを始めました。そこから次第に活動の具体的な目標を設定しました。そして、それまで政治的な活動は往々にして”政治オタク”な人たちばかりが集まりがちになり広く多くの人たちに届かずに終わってしまうものではなく、少しでも多くの人たちに注目され活動が広がるために、今の時代にあった動き方をしなければいけないという考えを持っていました。そこで、コピーライターやウェブデザイナー、エンジニアや映像作家、PR、メディア関係の人たちに声をかけ、しかもその多くが、自分たちと同世代の20代半ばから後半の人たちによって主に活動を牽引することになりました。

そしてついに、「No Voice→One Voice その一声で、政治は変わる。」というキャッチフレーズのもと、一人一人の思いや行動が社会を変えると信じられられる社会にする、そうしたきっかけを作るためのネット選挙運動の解禁を目指すこととして、動き始めました。



サイトを公開してからも、メンバーもそれぞれ普段は仕事を持ちながらも深夜にオンラインで集まり、色々なアイデアやアクション、そしてそれを具体的に落としこみ、実行といった一連の流れも、Facebookやメールなどのツールを使い日夜議論をおこない、一日一日で改善や次の行動へとつながるスピードを増して動いていました。こうした動きができたのも、みんなが胸の中に持っていた「何か社会を変えていかなきゃ」という思いがあったからこそだと思います。その動きは、まさにソーシャルメディアによる加速度的な動きに呼応するかのように、様々な人たちによる集合知とアクションによってできてきたものであり、まさに日本におけるソーシャルムーブメントと呼べるほどのものになってきました。

当時は、ネット選挙という言葉はほとんど話題にもなっていませんでした。それこそ、ネット投票と間違う人も多くいました。そもそも日本の公職選挙法のことや、選挙にインターネットを使った選挙活動をしてはいけないということ自体を、知る人すら少ない状況でした。もっと言えば、これだけインターネットが使われているのに禁止されているっていうこと自体がおかしい、という単純なおかしさを話題にしているだけで、誰も変えようと動いている人は多くはありませんでした。

しかし、だからと言ってそのまま放置していても何も変わりません。誰かが声をあげ、行動しないと何も変わらない。だからこそ、One Voice Campaignとしての活動の意義は大いにあると感じていました。インターネットを政治の世界における市民権を持たせること、もっとインターネットによるネットワークを使い、世界中の人達の声を可視化し、行動を促進することで社会が変わっていくんだ、ということを思って活動してきました。未来を考える上で、民間だけでなく政治や行政を巻き込み、色々な業界を超えた人たちが一緒になって考えていくことで何かが変わっていくという思いが、多くの人たちの支援や協力を呼び、多くの人たちが自分の得意分野や自分の活動領域の中でできることを行動してきたことで、One Voice Campaignの活動は様々な広がりを見せ始め、多くの人たちの注目を浴びるようになってきました。

活動に際しては、賛同の声のためのインタビューをさせていただいた著名人や有識者の方々、そしてネット選挙や日本の未来を考え行動したいと思っている人たちの様々な意見や支援により、様々なメディアにも取材をしていただき「ネット選挙」自体の認知も高まり、こうした世論の盛り上がりによって、国会議員へネット選挙の盛り上がりを伝えるアプローチをすることができました。

議員会館のシンポジウムでは、毎回数百人以上の方々に参加いただき、登壇していただいた国会議員や有識者たちに対して、ネット選挙実現の思いを届けることもできました。忙しい合間をぬってご参加していただいたみなさんには、大変感謝したいと思います。ご参加していただいた方々の行動1つ1つが、ネット選挙運動解禁実現に向けた1つのアクションに間違いありません。

そうしたみんなの声や行動の1つ一つが積み重なった結果、2012年の衆議院選挙で誕生した自民党の安倍内閣はネット選挙の重要性を説き、みんなの行動によってネット選挙実現への大きな後押しをすることができました。One Voice Campaignを含めた、様々な人たちの行動の結果が、こうしてネット選挙実現へと向かわせたのです。


第一回のシンポジウムの様子

約1年間の活動と解禁の実現は、私たちだけの活動では決して実現できなかったものだったと思います。Facebookのいいね!やTwitterのツイート、ブログでのOne Voice Campaignについての紹介、衆議院選挙では様々な団体が声をあげ投票率の向上や政治参加を促すための活動、日本でも盛り上がりを見せるChange.orgなどの市民の声の可視化やアクション促進という世界的な動き、高校生や大学生などのブログ記事や未成年の模擬選挙キャンペーンなどの動きなど、様々な要因によって世論が確実に盛り上がって来ました。今回のネット選挙運動の解禁は、まさにそうした関わった方々すべての活動によって実現できたものなのです。私たちの動きは、そのほんの小さなきっかけの波紋だったのかもしれません。けれども、波紋は次第に大きな波を作り、そして大波へとつながることを、今回の一連の活動によって私たち自身で示せたのです。

けれども、今回のネット選挙運動の解禁を含めた公職選挙法の改正法案は、必ずしもすべてではありません。報道でもあるように、第三者のメールの利用は制限されています。そもそもとして、有権者を含めた一般の人を“第三者”と表記する、現在の公職選挙法の軸が政治家にあること自体がおかしいという考えを持っています。法律は、私たち市民の生活を円滑のするためのもの。つまり有権者を軸に考えられるべきものであるはずなのに、公職選挙法は政治家を軸に構築されています。公職選挙法以外もそうですが、法律を使うべき人は誰なのか、何のためにあるのか、という抜本的な改革が必要だと私は感じます。ウェブサービスを作る人たちの中の言葉で表現するならば、UX(ユーザ体験)として、法律を使うユーザである有権者にとって意味のあるものでなければいけません。ユーザである有権者にとって、真に必要な仕組みとはなにか。そのために、時代に見合った法律の改正をしていくことが、政治の現場には必要なのです。

形はどうあれネット選挙は解禁することになりました。しかし、それで終わりではありません。解禁はスタートでしかないのです。選挙において、私たちが優秀な政治家を選ばなければ意味はありません。選挙以外でも、私たちの意見を様々な手段で発し、政治の現場に届けることが大事なのです。インターネットをこれからももっと活用することで、私たちの表現の幅は大きく変わります。その中で、受け身ではなく私たち自身が声をあげ、表現をし、政治の現場に声を届ける活動をしなくてはいけません。政治に対してどのような意識を持つか。まさに、私たち自身が問われてきているのです。

これまで、政治や行政は変わらないものだと考えられてきました。しかし、活動によって変わるということを示すことができました。これは、私たち自身にとっての大きな成功体験として持たつべきものだと思います。世の中は変わるもの、社会は変えていけるものだという思いを持ち、社会に対する意識を向けていかないといけません。社会を作るのは政治家ではなく、私たちなのですから。社会を良くするのは私たちというパブリック(公)に対する意識を、今こそシフトしていくことが求められているのです。

これからの社会は、まだまだいくつもの課題が山積みです。こうした問題を解決するための、1つのきっかけにOne Voice Campaignの活動に意味があったと言えるものになれたら、幸いだと思います。

One Voice Campaignとしての運動は、ネット選挙運動の解禁を目指して動いたという点において、1つの目標を達成しました。そのため、活動としてはこれで一旦中締めとさせていただきます。One Voice Campaignに中心に関わった人たちも、それぞれの立場やフィールドで、それぞれが考える政治に関する活動を引き続きおこなっていきます。

そして、共に声をあげ行動してくださったみなさん、本当にありがとうございました。同時に、ぜひみなさんも自分自身が思う問題に対して、まずはまわりの人たちに話すだけでも構いませんので、小さなことからでもいいので自分の意見を発し、共感してくれた人たちと一緒に行動することで、社会は変わっていくのだと思います。

One Voice Campaignの活動が、少しでも多くの人たちの勇気や自信につながることを願っています。みなさんそれぞれの「One Voice」を発信してみてください。

その一言で政治は変わる、その一言で社会は変わるから。

本当の民主主義と日本の未来は、みなさんの声で、はじまります。

社会に対する意識をシフトさせていきましょう。日本の未来、これからの社会を作るのは、私たちなのですから。


One Voice Campaign 江口晋太朗
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