2013/08/26

誕生日は周りの人たちに感謝をする日



本日、8月26日で29歳になりました。

20代って言えるのもあと1年かーと思いつつ、自分が過ごしてきた20代を振り返ると、色々とあったなと思いながら、あと1年を過ごしていければと思います。

先日友人と話をしていた時に、8月が誕生日の人たちは幼少期に周りがみんな夏休みで出かけてるから、気づいたら誕生日を祝われずに終わったり、二学期で登校した時に「そういえばこないだ誕生日だったねー」みたいなことを言われる経験を持ってるから、夏生まれな人たちは自分で誕生日祝いにかこつけてイベントや飲み会とかを企画する癖が多いんじゃないか、みたいなことを話をしてて、なるほどーと思ったところでした。たしかに、今までの自分を振り返ってみても、夏の自分の誕生日というものをどこか特別なものだと感じ、何かせっかくなら企画なりをしなきゃ、みたいな思いがあるなと、その話をしながら思ったところでした。

この20歳から今までを思い返すと、20代の前半は自衛隊にいて毎日訓練ばかりで過ごし、ちょうど8月の終わりのこのシーズンは訓練が最も厳しい時期でした。20歳の誕生日の時は始めてカエルやにわとりをさばいたことも、今となっては良い思い出です。21歳の誕生日は、新隊員の教官に従事していて、ちょうど新隊員向けの最後の訓練で山をひたすら登っていた時に誕生日を迎えました。毎年訓練ばっかの誕生日で寂しかったので、バックにこっそりロールケーキとコーラを忍ばせ、自分で真っ暗な山で小さく誕生日を祝いつつ、自分の教え子の子たちにもケーキとコーラを分けて、「山で飲むコーラは美味いな!」みたいな変なことをしたのを思い出しました。他にも、毎年夏のこの時期は趣向を凝らしたイベントなり企画なりを毎年なにかしらやってるなと振り返ってみても思い当たるばかりで、誕生日がどうというよりも、そうした企画をしてみんなが楽しんでもらえることが一番なのだと僕個人としては思っているのが本音です。

自衛隊の後は、自分の中で世の中や社会の仕組みを知り、本当に自分がどう生きていくのかを考えたいと思い、自衛隊を辞めて受験をし、大学に入学して東京に出てきました。大学に入ったのは23歳で、周りの同級生の多くは就職したり大学4年生だらけ。高校の時の友人とは、みんな進学して自分だけ就職の道を選んだためほとんど連絡をすることもなく、自衛隊時代の同期とも違った道を選んだため連絡をすることもなく、友人もツテも何もないまま東京に来て、今7年目に突入しています。

今までに色々な方々と公私ともどもやりとりもらっていますが、東京に来て知り合ったみなさんとの出会いが、今の僕を作っていると言っても過言ではないと思います。元自衛官で大学生という変な肩書な時からの出会いの人たちもいれば、Twitterなどを通じて出会った方々、Ustreamなどの映像や配信で出会った方々、編集やライター、メディア関係者として出会った方々、NPOや社会起業の文脈で出会った方々、政治や行政などの文脈で出会った方々などなど、他にも多くの人たちとの出会いを過ごさせていただきましたが、それぞれに立場は違えと、思いや情熱を持って日々過ごしている人たちと、一緒に仕事をしたり遊んだりすることで、今の自分がすべてができてきていると思っています。そうした方々から、何も知らないペーペーの時から、話をしたり教えていただきながら、色々な学びを得られたおかげだと感じています。同時に、自分が周りにどんな恩を返せているのか。まだまだ、多くの方々にご迷惑をかけているものを、早くお返しできるよう精進していきたいと思います。

20代も最後になってくると、若手やら若者とも言えないものになってきました。その中で、自分自身が一体何を人よりも誇れるものがあるだろうか、と日々考えて過ごしています。あまり勉強ができるわけでもなかった学生時代から、さらにインターネットのサービスに触れるのもここ最近の話でありまがら、ITやウェブの未来について考えるようになった今の自分が、時に信じられない時もあります。果たして自分が人に対して何ができるのか、まだまだ人よりも何倍も勉強し、何倍も努力し行動して知識や経験を積んでいかなければいけない、という焦りがずっとありました。そうした意識の中で、東京に来てからずっとがむしゃらにとりあえず突っ走ってきた感も否めませんが、だんだん自分がどう周りに必要とされているのか、どういった方向性で行くべきなのかということが、まだほんのうっすらですが見えてきた気がします。30歳という年齢に向けて、その自分の中でのうっすらと見えてきたものが確証と変わるようにこの1年間の過ごし、そして30歳からの未来に向けて進んでいきたいと思います。

誕生日というのは生きている上で一つの節目の日です。何気ない一日が、自分にとって特別な日になる。自分が生まれた意味を考えると同時に、今の自分がいることを再確認する日でもあります。色々とわがままや無茶を言っている一人息子を育ててくれた両親に感謝しつつ、今の自分を作ってくれている周りの友人たちに改めて感謝をし、そして「これからもよろしく!」と伝え、また今日からの一日を進んでいきたいと思います。

photo credit: Chris-Håvard Berge via photopin cc



2013/08/13

TOKYO DESIGNERS WEEK特別企画Creative Lab のゲストとして参加します





秋は様々なカンファレンスや展示が集中する季節。その中でも28年間続いている建築、インテリア、プロダクト、グラフィック、アート、生活デザインやアートが世界中から集まるインターナショナルなデザインイベントのTOKYO DESIGNERS WEEK(以下、TDW)

そのTDWの企画の1つとして、様々なジャンル、世代のクリエイター、企業、学生が共に「未来のスタンダード」を考える、参加型クリエイティブセッションCreative labが開催されます。イノベーティブなアイディアを持っている学生や公募で集まったクリエーターたちがアイディアをプレゼンし、一日かけてアイディアをブラッシュアップする企画のゲストとして参加することになりました。

公募で選ばれた3つのアイディア1. 公共空間を楽しくするデザイン、2. 世界を身近に感じるデザイン、3. 新しい学びのカタチのデザインをもとに、“発想の種”の提供者が、何故、どのようにして“発想の種”を見つけたのか、会場に集った人々に向けてプレゼンテーション。“発想の種”をもとに、参加者らがチームを組み、メンター(クリエイティブのアドバイザー)とファシリテーター(チームのセッション進行をする人)のフォローを受けながら、参加者が自ら主体となって“発想の種”を「未来のスタンダード」へと育てていきます。プレゼンテーション発表後、参加者全員でTDW ドームで開催しているMITメディアラボ スペシャルフォーラムのNIGHT PARTYに合流します。

そのCreative labのゲストとして参加しつつ、メンターと呼ばれるクリエーターたちと一緒にアイディアをよくしていく企画に参加します。他にも、テレビ番組TOKYO DESIGNERS WEEK.TvのMCを務めている脳科学者の茂木健一郎氏や、チームラボの猪子寿之氏らも参加されます。豪華なメンバーに囲まれつつですが、メディアや編集者の立場として、また、ソーシャルデザインの視点からアイディアにコメントなどできればと思います。


Creative Lab「発想の種」 | TOKYO DESIGNERS WEEK2013 東京デザイナーズウィーク2013 http://www.tdwa.com/tdw/special/forum/creativelab.html


【以下、概要】

Creative Labとは?
アイディアを持つ人(公募) テクノロジ―やサービスを持つ人 発想力を養いたい人が集まり、化学反応する場です。
朝の8時~夜10時までの14時間の参加型クリエイティブ・ラボラトリー。「未来のスタンダードをつくろう!」を旗印に、様々なジャンルの方々が参加します。

このラボは、テレビ番組TOKYO DESIGNERS WEEK . Tv(BS日テレ毎週月曜23:00-23:54 MC:茂木健一郎)との連動企画です。

■タイムスケジュール
オリエンテーション / 開会式
トークセッション
実行委員:林 信行/岡田 智博/岡島 康憲
3 つのテーマのプレゼンテーション
発想の種提供者によるショートプレゼン
「公共空間を楽しくするデザイン」狩野 明子
「世界の問題を身近に感じるデザイン」山田 実優
「新しい学びのカタチのデザイン」中島 孝介
チーム分け
3 テーマ × 6 チーム 計18 チーム

14:00
クリエイティブセッション
チーム毎にクリエイティブセッションを開始
ファシリテーター、メンターのフォローを受けつつ、チームは発想の種を「未来のスタンダード」へと育てていく。

19:00
プレゼンテーション発表
3 分間のプレゼンテーション
2 分間のメンターからのコメント

20:00
NIGHT PARTY @ TDW-DOME
Creative Lab × MITメディアラボ特別フォーラム
参加者合同パーティ
Performance MIT研究員生 Xiao Xiaoによるピアノパフォーマンス

NIGHT PARTY
MIT Media Lab 特別フォーラム × Creative Lab"発送の種"の合同パーティとの合同パーティーが行われます。

メンター、フォーラムの登壇者、MITメディアラボ研究生らと直接交流できる貴重な機会です。

茂木 健一郎/林 信行/猪子 寿之/江口 晋太朗/前田 紘典/伊坂 重春/石井 康之/石川 寛/岩田 翔/おやまめぐみ/川本 尚毅 Rodrigo Solorzano/渋谷 竜司/杉 千春+高橋 真奈美/高橋 枝里/谷 俊幸/手島 領/橋田 規子/平社 直樹/藤村 益生/藤原 敏嗣/古市 徹雄/松崎 元/水口 克夫/狩野 明子/山田 実優/中島 孝介/岡田 智博/岡島 康憲/greenz.jp/MITメディアラボ副所長 石井 裕 教授/隈 研吾/スプツニ子!/Amit Zoran/Dhairya Dand/Lining Yao/Jifei Ou/Xiao Xiao/(参加するゲスト、メンター)

*10月26日修正
Creative Labの内容に若干の変更がありましたので、修正を行っています。

2013/08/12

NHK「スーパープレゼンテーション」のハングアウト企画に参加しました



先日、8月5日に放送されたNHK「スーパープレゼンテーション」の企画として、Googleハングアウトを使ったトークに参加しました。

NHK「スーパープレゼンテーション」とは、Technology、Entertainment、Designの頭文字を取り、世界中の様々な分野の最先端の技術者や研究者などのアイディアをシェアするTEDカンファレンスの動画を、MITメディア・ラボ所長の伊藤穣一氏が解説をしながら見るNHK月曜23時スタートの番組です。

番組の企画として、番組時間の前と後の30分ずつをGoogleハングアウトを使って動画の内容についてなどを議論する企画が定期的に行なわれています。

8月5日に放送されたTED動画は、クリエティブ・コモンズの理事を務め、『CODE』や『REMIX』などの著書で有名な法学者のローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig)氏のプレゼンでした。プレゼンの内容は、レッシグ氏のこれまでの著作権関係からうってかわり、2010年代から彼が力を入れている、政治システムについての内容です。



「We the People, and the Republic we must reclaim 」と題されたこのプレゼンは、「私たちに共和国を取り戻そう」という彼の考えをまさに象徴しています。

アメリカの政治の仕組みが、政治献金という現状によって、本来であれば民主主義として機能しなければいけない状態が、ある一部の層によって歪められ、真の意味での民主共和制になっておらず、そうした意味で、私たちは共和制を失っていると話します。だからこそ、今こそ共和制を私たちは真に取り戻さなければいけない、と彼は18分という短い時間ながらその独特のしゃべりで一気に語り尽くします。

レッシグ氏独特の早回しのしゃべりながら、平易な例えと繰り返しの言葉を使いながら説明する彼のプレゼンは、プレゼンの内容共々にTEDカンファレンスでも歴史に残るプレゼンの1つとして絶賛されています。

この動画をうけ、スーパープレゼンテーションのナビゲーターである伊藤穣一氏、Googleスーパーエンジニアの及川卓也氏をファシリテーターとし、TEDxKyotoファウンダーのジェイ・クラパーキ氏と、私の4人でハングアウトを使って話をするという企画が行なわれました。

前半は、今回のレッシグ氏のトークの内容に期待するものを踏まえつつ、レッシグ氏がどういった人なのか、どういった功績を残している人なのかを話しつつ、なぜ元々著作権に取り組んでいた法学者のレッシグ氏が政治について語り出したのかについて話をしました。

後半は、伊藤氏も加わりながら、レッシグ氏のトークの感想をシェアしつつ、アメリカの政治の状況、そして日本の政治の状況について参加者と議論をしました。議論の様子は、ハングアウトで配信しつつ、視聴している人たちも私たちの声を聞きながらGoogle+のページにてコメントをしていき参加する形をとっていました。

後半のトークでは、アメリカもアメリカなりに政治の状況の中で不具合が起きていること、特に大統領選挙では期間の長さや費やされる予算のかけ方などから、多くのマーケティング的な施策やビックデータを用いてパーソナライズされたアプローチが取られていることなどについて語られました。日本でも、7月21日に行なわれた参議院選挙が開催され、また参議院選挙からネット選挙が実現したことによって、どのようなことがこれから求められてくるのか、またアメリカとの違いや日本独特の政治風習などについて議論されました。

アメリカでは、誰もが政治参加するために幼少期から政治文化を醸成するための教育的な機会や場が用いられ、政治参加することが日常化されています。しかし、日本では20歳以下の未成年に対する政治文化、政治教育の機会があまりないために、若年層の投票率の低下や政治参加意識の低下などが問題視されています。レッシグ氏が語るような民主主義を取り戻すためのアプローチを、アメリカとは違った問題を抱えた日本においてどのような対策をしていけばよいかを参加者と議論することができました。

短い議論ながら、多くの示唆に富んだやりとりができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。そして、NHKがこうしてハングアウトなどを使い、番組のスピンオフな企画を立ち上げるというのは、テレビとネットによるやりとりの1つのチャレンジだと感じました。生でテレビを見つつ、そのテレビで話された内容についてリアルタイムで有識者が議論し、その様子を見聞きしながらコメントする。テレビだけで終わらせない企画としての1つの形ではないでしょうか。

1つ加えるならば、視聴している人たちのコメントがもっと見やすくするか、参加してコメントしやすい設計だといいかもです。参加している人たちのコメントももう少しハングアウトの中で取り上げると、よりインタラクティブになるのではと感じました。

他にも、NHKのスーパープレゼンテーションに流れている動画だけでなく、TEDには面白い動画ありますので、興味がある人はぜひ見てみてください。TEDカンファレンスでは、様々な分野の人たちのアイディアがシェアされており、見終わった後は誰かと話をしたくなる動画がたくさんあります。アイディアをシェアし、それを受け取った人たち同士で議論や対話をしていく。そんな企画が色々とできそうですね。

(8月19日追記)
ハングアウトの様子を、トークなどの様子をグラフィックでまとめていくTokyo Graphic Recoderの清水さんにまとめていただきました。内容をぎゅっとイラストで編集する、新しいライブ編集のメディアのあり方の一つだと思います。

(イラスト一部キャプチャ)
続きのイラストは、こちらから見ることができます。

参考リンク
第8回スーパーハングアウト - Google+ https://plus.google.com/u/0/events/c5rmhplla7l62293r5iv0qbr5ek?partnerid=gplp0

8月5日放送 |スーパープレゼンテーション|Eテレ NHKオンライン http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/130805.html/



2013/08/03

僕たちは、自分たちの国の歴史のことを意外と知らない

7月も終わり、8月がやってきた。8月で思い出すのは、実は母方の祖母の命日だったりする。しかも、自分の誕生日の前日ということとあれば否が応にも思い出す。

そんな祖母は、戦争中に台湾に疎開し、ことあるごとに台湾の話をしていた。父方の祖父も戦争中には通信兵をしていたらしい(賞状が実家にあったが、戦争のことは一切話さなかった)。自分たちの祖父母世代が亡くなると、もはや日本には戦後生まれしかいなくなると、戦争が終わって60年以上たったの月日を、お盆や終戦記念日を迎える夏はいつも感じさせる。

歴史の記憶というのは、その当時を経験した当事者の人たちしか分からないものは過分にある。けれども、少しでもその当時のことを理解しようと取り組むことはできる。今の自分達と違う慣習、文化、思想などを、自分たちと違うねと思うんじゃなくて、その当時にそうしたものになった経緯や、その思想が持つことの意味みたいなものを理解することで、歴史から学べるものは多くある。

えてして自分のことを案外と知らないように、自分の国のことをしっかりと知ってる人は多くはないんじゃないだろうか。特に、若い世代ほどそうかもしれない。それが戦争のことと言えば、すで終戦から68年近くが過ぎ、なおさら戦後生まれの人たちだらけになるからこそ、歴史を学ぶことの重要性は増してくる。

そんなことを、上映前に試写会に呼ばれて観てきた映画「終戦のエンペラー」を見ながらふと考えた。



「終戦のエンペラー」は、日本が第二次大戦で天皇が玉音放送をおこない、無条件降伏をしたあとのGHQであるマッカーサー最高司令官が日本に降り立つところから始まる。いかに日本を占領するか。そのためにはどのように戦争責任をとり、民主主義として独立させるかということを模索した時期でもあった。

欧米的な発想は、戦争責任を逮捕し連邦裁判にかけるという単純なロジックが働く。そのため、戦争を指揮した天皇をすぐさま逮捕し、戦争責任を取ってもらうことで片がつくと思っていたのかもしれない。しかし、果たして天皇を裁判にかけることができるのか。神格を有している天皇という日本独特の存在をどう扱えばいいか。そこで、マッカーサーの部下フェラーズ准将が東条英機、近衛文麿、木戸幸一、関屋貞三郎などの天皇の側近や近しい人たちに話を聞きながら、日本における天皇の存在と、天皇の戦争責任について紐解いていくストーリーだ。

この映画はハリウッドで制作されているが、プロデューサーは日本人である奈良橋陽子氏などが務めている。劇中にも登場する関屋貞三郎氏が奈良橋陽子氏の祖父ということで、まさに自身の家系と日本という国の歴史のアーカイブを試みた映画の1つと言えるものかもしれない。

この映画の主人公はフェラーズ准将という歴史の教科書にも載らない一軍人だ。その准将は、日本の文化に精通していたということから天皇についての調査の特命をうける。その主人公の目線のまま最後の最後まで続いていく。この欧米人の目線で続くという作りは、実は現代の欧米的な発想に浸っている僕達自身に対して、過去の日本の、戦後の日本における空気と、そして「天皇」というひたすらに謎で、それでいて絶対的な存在として存在していた人物へと迫り、次第に真実へとたどり着く作りになっている。

戦後生まれの人たちからすると、天皇は教科書で習うような「象徴天皇」という認識でしかなく、なぜにそこまで象徴となり、なぜにそうした独特な制度となっているのかをしっかりと理解できている人はいない。映画の中の天皇は、まさに当時のとしての絶対的な存在感を持ち、マッカーサーも最終的に天皇制は続けるべきと考え、いかに日本は天皇に対して深い考えと重きを置いていたのかを感じさせるものになっている。

多少のネタバレかもしれないが、タイトルでエンペラーとは付いてるものの、昭和天皇がでてくるのは本当に最後の最後の、マッカーサーが直接天皇と対面する有名なシーンのところだ。それまでの、第三者から見聞きする天皇の存在や有り様を聞き入ったあとに、昭和天皇を正面から見た瞬間は、まさに日本においていかに天皇がそこに存在し、それでいて、いかに戦争に対して受苦じたる思いを持ち責任を果たそうとしたかが伝わる瞬間であり、一番のクライマックスである感動の瞬間でもある。改めて、天皇や戦争について、日本について考えさせられる映画になっている。

もちろん、映画であるがゆえにエンターテイメントとしての多少の脚色や史実と違うところも一部ある。全体としてはフェラーズ准将のラブロマンスというフィクションと、日本の天皇に対する戦争責任追求というノンフィクションとがうまく折り重なった作品でもあり、この映画を見てすべてが真実だと思ってはいけないのは確かだが、ラストのクライマックスシーンの箇所や、当時の天皇の有り様などはしっかりと描かれていたように思える。

これまで日本では、こうして天皇について正面から切り取り、しっかりと総括した映画はあまりないのではないだろうか。そうした意味で、日本映画ではなくハリウッドで作られた意味も分かる。同時に、今の日本人の視点から見ても、過去の歴史を振り返る1つのいい機会となる。

改めて、僕たちは自分たちの国のことを意外と知らない。ぜひ、若い人たちに観てもらいたい映画だ。8月15日は終戦の日でもある。暑い夏の中、涼しい映画館の中ででもいいから、歴史を振り返る時間を取ってみるのも悪くない。



映画『終戦のエンペラー』公式サイト http://www.emperor-movie.jp/



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