2013/06/28

『パブリックシフト ネット選挙から始まる「私たち」の政治』を上梓しました。

6月27日、カドカワのミニッツブックより、『パブリックシフト ネット選挙から始まる「私たち」の政治』を上梓させていただきました。

内容は、日本におけるネット選挙の解禁を1つの転換点と捉え、インターネットによる選挙運動という事象のみならず、ネット選挙が解禁されたことで政治とITとの距離が近くなった、そして、その先の未来として、私たちの社会に対する認識や日々のあり方がどう変わっていくのか、といった点を踏まえながら書かせていただきました。

タイトルにある「パブリックシフト」という単語は私の造語で、"パブリック”という、いわゆる「公(おおやけ)」の担い手が、これまでの政治家主体から市民である私たちへと、これから移行していこうとしている様子を描く単語として、作った言葉です。

欧米や中東などを見ても、一般市民の人たちが声を上げ、社会問題に対して取り組む動きが、ますます加速していっています。また、ライフスタイルの多様化や、価値観の多様化、グローバリゼーションなどの動きが起きている中、政治家個人がすべてを把握し、理解し、執行していくことに対する限界を迎えてもきています。こうした時代は、社会に対する主体性を、私たち個人がよりもたなければいけない時代になっているのだとも言えます。

そうした、これからの未来を見据える意識としても、マインドをチェンジしていく必要性があり、そして、社会の担い手が自分たちであることを認識し、政治家は私たちの活動をサポートする役割へと、変化していくことこそ、未来に対して意味のある社会システムになっていく可能性を秘めているのではないでしょうか。

そんなことを、これまであまり大きな変化のなかった日本において、2011年の東日本大震災などをきっかけに、ソーシャルメディアによる集合知やソーシャルの力によって作り上げるクリエイティブだったりマッシュアップというものが多く生まれてきており、パブリックシフトの素地ができているのでは、ということも踏まえて、このタイミングにこそ、いい言説になっているのではないだろうか、と考えました。

ネット選挙というものを選挙や政治という小さな事象に留まらせておくのではなく、ネットと政治との関係性が変わってくるという大きな視点で見た時に、日本でこれからくる様々な動きに対する1つのエポックメイキングな出来事であるのだと考えられます。そうした内容は、いまのところ、ネット選挙関連の書籍でもあまり見られていない言説かなと思うので、ぜひお手にとって読んでいただければと幸いです。

2012年5月に発足したOne Voice Campaignは、約一年でネット選挙の解禁を達成したという意味において、この1年での周囲の盛り上がりや、私たちが声をあげていくことで法律が変わったという1つの成功体験になったのではと考えます。

人を巻き込み、大きな盛り上がりを作るためには、熱量とポップさ、カジュアルさやビジュアルなどのクリエイティブなど、様々な要素が必要となってきます。そうした意味でも、One Voice Campaignは色々なみなさんからの協力のおかげで大きな盛り上がりを見せたという意味で、「みんな」で変えた法律、「みんな」で作ったムーブメントだと言えるものでした。まさに、ソーシャルムーブメントと呼ぶに相応しい21世紀型の社会運動の1つの形だったと感じています。

今回の書籍は、版元はカドカワの電子書籍レーベルのミニッツブックから上梓させていただきました。ミニッツブックは、数十分で読める電子書籍というフォーマットともとに、空き時間やちょっとした時に気軽に読んでもらえる内容を軸としています。そのため、『パブリックシフト』も一般の人にも分かりやすく書くことを基盤に置いていたため、深い考察などまでは、文字数の関係等もあり掲載できていませんが、伝えたいことのエッセンスは凝縮して書いています。この続きなどは、また次の書籍や別の機会で補完したり次の取材などをもとに書いていこうと考えています。

また、今回の書籍は、MON-DOUというディスカッションサービスの中の議論で生まれた論点などをベースに書き下ろしたものになっています。自分が考えていることを自分の中で消化するのではなく、他人からの違った視点などをもとに考えを整理するという意味においては、書くという行為自体も他人が必要な部分と、一人で集中して書き下ろす部分の両面があるのかなと思います。自分の中もまだもやっとした状態のアイデアを人に見せることで生まれるコラボレーションという意味においても、これからの何かの創作活動としての1つの新しい取り組みから生まれた書籍の形なのかなと思います。

今回の内容は、ぜひ多くの方々に読んでいただきたいですし、読んだ感想やご意見などをぜひ僕自身も聞きたいので、ぜひ感想などはTwitterなりメールなり、よければブログなどで書いていただけると嬉しいです。


『パブリックシフト ネット選挙から始まる「私たち」の政治』

はじめに ネット選挙解禁でインターネットの政治の関係が大きく変わる?
1. ネット選挙のこれまでとこれから
2. 政治家と有権者の関係がシフトしていく
3. オープンガバメントが築くこれからの社会のあり方
4. 自分ごと化する政治
おわりに パブリックシフトが起きている社会に向けて

参考資料 「公職選挙法の一部を改正する法律」について
注釈
あとがき



2013/06/25

投票日前日にSNSで投票を呼びかけるサービス「FIRST STEP」を作りました


2013年7月におこなわれる参議院選挙。この参議院選挙から「ネット選挙」が解禁されます。

ネット選挙によって、候補者の情報がリアルタイムで収集できたりする一方、誹謗中傷やなりすましの問題などに対して、どういった対策を行なっていくかなどが議論されています。

しかし、ネット選挙が行えることでできることは、候補者だけではありません。有権者である私たちも、選挙運動が行えるようになるのです。もちろん、選挙運動というのは「特定の選挙に対し、特定の候補者への投票を呼びかける行為」の事です。これにより、私たち自身が、きちんと政策への取り組みを行なっている政治家を評価できる仕組みができてきました。

それだけではなく、ネット選挙の実現によって政治の分野のIT化を促進する1つのきっかけとしても「ネット選挙」を捉えることができます。例えば、政府の公益情報をオープン化し、データをもとに誰でもサービスを開発する仕組みを提供する「オープンデータ」など、これまでの政治主導の社会ではなく、私たち自身が社会に能動的に関わり、自分たちで社会を作っていく流れへと次第に移行しています。

投票という行為も、私たちが社会へと関わる行為の1つです。政治の根幹である選挙こそ、私たちの意思表示をする1つの手段でもあります。もちろん、誰に入れていいか分からない、という人もいるかもしれません。そのために、政策比較サイトや、マニフェストの達成比較サイトなど、私たちで作ることができるサービスはまだまだ考え次第では多く存在します。社会参加への1つとして、手を動かし、新しいサービスを作ることの重要性は増していっています。

その中で、One Voice Campaignでも共に活動していたYouthCreateと一緒に、このたび参議院選挙に向けて1つのサービスを作りました。それは、投票日の前日に、指定した投稿内容をSNSに予約投稿する「FIRST STEP」というサービスです。

もともと、学生団体ivote時代にはメールプロジェクトという、投票日当日に、事前に「投票に行きます」をしてもらいサービスに登録することで、投票日当日にリマインドメールを受信するサービスを作っていました。今回は、そのリマインドをSNSに適用し、投票日の前日に、指定した文言を予約投稿するサービスによって、投票促進に対する取り組みを行うものです。サイトには、誰がキャンペーンに賛同しているかをTwitterやFB連携で顔写真を連携し、またTwitterのフォロワー数からリーチ数を計算し、投票促進への盛り上がりを可視化しています。サイトオープンは本日6月25日の10時。オープン数時間程度で100人以上もの人が賛同し、リーチ数も17万人以上に届く計算になっています。できるだけ多くの人たちに、ぜひ賛同してもらえたらと思います。

キャンペーンに対して、夏野剛氏や津田大介氏らなど、ネット選挙解禁の先を考える方々にも賛同いただきました。今回の参議院選挙では、ネットがどれだけ選挙に利用されるかわかりません。今回の参議院選挙の結果で、ネット選挙は解禁しても意味がなかったと決めつけるのは時期尚早です。ネット選挙元年に立ち合っている私たちが、どういう選挙にしていくべきか、どういった政治参加をしていけばいいのかを、今回のネット選挙をきっかけに、これから一緒になって考えていかなければいけません。

FIRST STEPは、「投票を呼びかけよう」という思いで作ったサービスです。まずは、投票に行くということへのハードルを下げること。そうした思いでこのサービスは作っています。もしかしたら、選挙に対するサービスは、他にも様々な方法がありうるかもしれません。ぜひ、何かアイデアを思いついた人がいれば、相談してもらってもいいですし、仲間と一緒に作っているのもいいかもしれません。まだまだ、政治の分野のIT化や、ネットサービスを展開しようとしている人たちは多くありません。私たち自身で、政治を作り上げていく、という意識を持っていくことが大切なのではないでしょうか。

リンク
FIRST STEPはこちら。



Tokyo graffitiの「シェアハウス世代!」特集に掲載いただきました


Tokyo graffitiの7月号に、掲載いただきました。「ルームシェア世代!」特集、ということです。

シェアハウスとして、2012年10月から友人と4人で住んでいますが、僕個人としてはシェアハウスをする、ということに対しては、あまり抵抗がないというか、そこまで特別感を持っているわけではありません。

自衛隊時代は、先輩と一緒に4人部屋だったり、同期と一緒に10人部屋だったりと生活をしていました。また、仕事をしている関係上、家のでの仕事も多く、プライベートと仕事の仕切りが曖昧な感覚でずっと過ごして来ました。そうした意味でも、ウチとソトという関係もそこまできっちりしておらず、生きるように働いているのかな、という意識でいます。

特集で他のシェアハウスを読んでみると、気の合う仲間とのシェアや、カップルと友人というシェア、同じく家で仕事をしている人たち同士のシェアなど、ここ数年でシェアハウスが盛り上がっていると思われている中、ある程度の落ち着きを見せ始め、シェアハウスをすることが特別なものではなく、「何をするか」「誰と住むか」ということに対して意識が向いているような気がします。

自分自身で、どう生きたいか、どう暮らしていきたいかを、今の時代に改めて考えることが必要なのではないでしょうか。シェアかどうかが問題ではなく、「どう生きたいか」。その中で、シェアをするという選択肢が、ひとり暮らしの選択肢と同列に当たり前に並ぶようになってくるのではないだろうか。








2013/06/23

舞台「テレビが一番つまらなくなる日」を観てきた

今日、6月23日は東京都議会選挙。ぜひ、投票に行ってもらいたいです。国会議員よりも、都議や県議のような人たちこそ、自分たちが住んでいる地域をどうしていくか、といったことに対して力を持っています。自分の住んでいる街、自分のいる都に対する意識の表明として、ぜひ行ってもらえたらと思います。

ところで、昨日舞台を観に行ってきました。毎年参議院選挙が行なわれる年に開かれる舞台「テレビが一番つまらなくなる日」。



劇団Tokyo Festivalを主宰するきたむらけんじさんにご紹介いただき、観に行くことにしました。舞台は、ときおり友人が登壇したり招待を受けたりするので好きなんですが、最近行ってなかったな、と思っていた時に面白そうなものをご紹介いただいたので、観に行ってきました。前情報やネタバレ、事前の調べも特にせず、まったくの白紙で観に行ってきました。


内容に関しては、ネタバレしない程度で書くと、参議院選挙の投票日当日。舞台は大手キー局の大日本放送。局内では、投票速報番組の最終リハの直前の時が今回のステージ。大日本放送の女子アナだったマツオさんが出馬するというのが今回の大きな目玉。番組としては、松尾元アナが議員に当選する瞬間を番組で撮影して視聴率を取りたいという思いが工作する。そんなマツオ元アナの議員出馬をよく思っていないイトウさんは、今回の番組の総合司会という設定だ。

そんな時、一枚の資料が局内を駆け巡り大きな問題となる。それは、マツオ元アナが落選するかも、という出口調査だ。5人という枠の中で、とある候補と5位争いを巡っているという。そのもう一人の相手は、ワタナベさん。日雇い労働をしながらネットを駆使してオンラインのネットワークをもつ43歳のフリーターだ。そんなワタナベさん、今回のネット選挙解禁をうけて、みんなから100円を募金として供託金などを含めた500万円を集めて出馬。最低賃金2000円にすることを公約に、若者やフリーター、他にもワタナベさんみたいな人が当選すると面白いのでは、と思っている人たちの支持をうけ、街頭演説などの選挙運動をせずにネットでの活動を中心として選挙運動を展開。その結果、無名の新人候補が当選するかも、という大きな問題にまで発展。

候補者の資料が全然なく、しかもマツオ元アナの当選前提で作られてた開票番組。頭を悩ます番組ディレクター。本番の映像を差し替えに奔走する映像ディレクター。さらに、これだけでは終わらないのだ。色々とヘマをやらかす番組ADのトベのある一言で、ここからさらに急展開が待っている。開票番組にゲストで登壇する政治評論家の言動大日本放送という曲全体を巻き込んだ大きな事件にまで発展することとなり、呆然とする局長。開票番組にゲストで登壇する政治評論家のある言動がきっかけで最後のクライマックスへと続いていく。


選挙という、なかなか興味が持ちづらいテーマを、コミカルでいて、そしてそこにいる人間模様をうまく描いているこの舞台。この舞台のタイトルである「テレビが一番つまらなくなる日」というのも、開票速報番組は普段でいえばレギュラーでやっているドラマや番組がつぶれ、どの局も速報一色となり、視聴者からしたらまったくテレビが一番つまらなくなる日だと思われても仕方がない日となってしまう。

しかし、そんなつまらないと思っている番組の裏では、議員の当選落選という人の人生がかかった大きな瞬間に実は立ち会っているということを、この舞台は気付かされます。みんな、どういった状況であれ、当選落選によって影響を受ける人はたくさんいる、まさに人生をかけたやりとりでもあるんです。速報番組をやっている人たちも一人の人間。番組の直前まで、色々と頭を悩ませたり困ったり喜んだりしているかもしれません。

また、出馬をする人も、出るなら当選したいと思うのは当たり前。そこには、それぞれ出ている人たちなりに悩み苦しみながらもがいているんです。

今までは、出馬する人や議員の人たちの顔というものが見えない状況でもありました。しかし、政治家や候補者たちも僕たちの人間。その後ろには、今まで関わってくれた会社の人たちや友人、家族など、様々なつながりを持って生活しているのです。今回の舞台は、元局アナが出馬ということで、放送局の人としても身内が当選したいと思う気持ちはよく分かります。そんな、人の喜怒哀楽を、選挙という舞台を媒介にして、うまく表現している舞台だったと思います。

しかも、ネット選挙の解禁をうけてでネットを駆使した候補者がいたり、TwitterやFacebookを駆使している候補者が当選しそう、というのは、ちょっと先の未来を映し出しているようでもありました。本当にネットだけで当選するとは思えませんが、可能性はゼロではないですし、もしかしたら、ということが起きるのかもしれません。また、途中に出てくる公職選挙法に関しての話など、小難しい話や実際の選挙の実情をうまく表現している舞台で、よく出てきている舞台だと感じました。

8人という人数ながら、それぞれのキャラが上手く活きていて、しかも舞台も転換せずにワンセットで表現しているのにうまく内容がしっかりしているのは、110分という時間ながら見ていて一切飽きのこない脚本でした。

また、劇団Tokyo Festivalは、役者を抱えず、きたむらさん一人で運営している劇団。登壇している役者も、全部外部の役者さんたちで構成されています。今回で三回目の舞台とうことで、毎回役者が変わっていて、内容もそれに応じて変化をしているというのは、舞台ならではだと思います。

Tokyo Festivalは、「ソーシャルアートユニット」と名乗っているのですが、まさに、普段なかなかとっつきづらいテーマを、分かりやすく、それでにてコミカルに演出することで、社会の問題をうまく表現しようとしているユニットだそうです。今回の選挙以外にも、震災に関する問題や政府の情報操作についてなど、一見お硬いテーマをうまく笑いを織り交ぜながら作り込んでいる世界観は、多くのファンの心を掴んでると思います。

この舞台を見ると、選挙速報や普段の政治の視点も、ちょっとだけ変わるかもしれません。ぜひ、この舞台を見て、今日が投票日の都議選、そして7月におこなわれる参議院選挙に投票に行く1つのきっかけになるといいなと思います。ちなみに、明日6月24日までやっているのですが、ぜひ今日の都議選の投票に行って、この舞台を見て、そして今日の都議選の速報を観に行くとすごく楽しめるかもしれません。

Link
劇団東京フェスティバル「テレビが一番つまらなくなる日」 







2013/06/21

全国初、松山大で期日前投票が可能に。松山市の選挙管理委員会のFacebookページ開設も



夏の参議院選挙を目前に控え、全国でも様々な取り組みがなされ始めています。その中でも、松山市選挙管理委員会の動きに注目したいと思います。

全国初、大学内に投票所を設置
松山市の選挙管理委員会(以下、選管)は、7月に行なわれる参議院選挙にて、期日前投票の会場として、全国初の大学内に投票所を設立することを発表しました。7月4日公示日、21日投票日だとされている参議院選挙に向けて、17日(水)〜19日(金)の午前10時〜16時にかけて松山大学の温山会館一階に開設予定で、松山大生以外の有権者も投票できるそうです。

全国初の大学内での投票所の設置。もともと、若者への投票所への導線や、若い人たちの選挙の身近さを感じる施策、そして投票率の向上を目指して、大学内での投票所設置の議論はされていたのですが、いままでなぜか実現することはできませんでした。

今回の松山大が初ということですが、きっかけは2011年に愛媛県の選管が松山大で開催したワークショップでした。学生が大学への投票所開設の提案をしたのがきっかけで、2013年4月に松山市の選管が松山大に協力を依頼して協議をし、その結果今回の学内における投票所設置へとつながりました。

選管がFacebookで選挙への意識を促進
また、松山市の選管はこれだけではなく、21日にはFacebookページを開設し、少しでも若い人たちに選挙や投票を身近に感じてもらうためのアプローチをおこなうとしています。

投稿する内容として、投票所の案内、開票速報、また期日前投票の方法についてや、選管の普段の仕事の様子などを発信する予定で、これまで裏方として顔が見えない存在であった委員会の様子を発信し、少しでも興味を持ってもらうための方法を模索しています。

Facebookページ開設に至ったのも、今回の参議院選挙から始まるネット選挙の解禁がきっかけであり、ネットを使い少しでも選挙への意識や投票に対する意識を変えていこうという思いからスタートした、職員の方々の思いがあるからだと思います。選管のFacebookページの開設は四国では初であり、今後の活動に注目です。

私たちが選挙に対してできることをそれぞれやっていくこと
大学内への投票所の設置、そして選管のFacebookページの開設という2つの取り組みを始めた松山市。こうした新しい取り組みが、地方から始まっているということはとても注目するべきポイントだと思います。

若い人の投票率の向上に少しでも取り組もうと様々な人たちが試行錯誤しています。また今回の大学内の投票所設置は、学生からの意見がきっかけでもあります。若い人たちが、自分たちで能動的に選挙に対して働きかける動きは、自分たちで未来に対して責任を持ち行動していこうとする1つの現れです。学内でもみんなで投票に行くように呼びかけ、投票に行くことが当たり前、投票に行くことが待ち遠しいと思う若い人たちが増えてくると良いのではと思います。

ネット選挙の解禁は、候補者のアプローチもそうですが、こうした選管や学生たちを含めた私たち自身のアプローチも重要になってきます。アメリカでも、若い人たちの有権者登録を促すRock the Voteの活動も盛んに行なわれています。(アメリカでは、有権者登録を行なわないと投票権が得られないため)。このRock the Voteの活動も、若い人たちが同世代の人たちに対してアプローチをし、若い人たち自身で選挙の問題整理したり、音楽などの身近なものを通じて選挙への意識を高める活動をしています。また、セレブからの協力を仰ぐなど、様々な人たちを巻き込んだ活動にまで発展していっています。

2月におこなわれたアメリカ大使館でのイベントで、Rock the Voteの方が初来日し、日本とアメリカでの若者の投票意識の違いと、どういったアプローチを今後していくべきか、という議論をおこなったイベントあり、そのアーカイブも、こちらで見ることができます。日本の投票率が低い、若者の投票意識が低いと言われていますが、実はあれだけ選挙で盛り上がっているアメリカでも同様の現象は起きています。アメリカはアメリカなりの問題をはらんでいます。

松山市の選管の動きなど、これからの自分たちで選挙や政治に対してアプローチをしていこうとする動きは、もっと活発におこなわれていって欲しいと思います。自分たちがいかにして政治や選挙を身近にできる方法があるか、そして、それを同世代に対して効果的に広げていくかを考え、投票率の向上し、自分たちの考えを政治に反映するための動きがおこなうための方法を、みんなで考えていきましょう。

参考
増やせ 若者の1票 松山大に期日前投票所 松山市選管全国初 (愛媛新聞)
松山市選管がフェイスブック(読売新聞)
松山市選挙管理委員会事務局

photo credit: myJon via photopin cc

2013/06/17

カンヌライオンズのプレ勉強会

ちょうど昨日から、カンヌライオンズ国際クリエイティビティフェスティバルが始まり、広告関係者のツイートがカンヌ話で盛り上がってきました。

そんなカンヌが盛り上がる10日くらい前に、カンヌライオンズのプレ勉強会がおこなわれました。主催は、いつもお世話になっている銀河ライターの河尻亨一さんで、ゲストとして、今年で13回目のカンヌ参加のkiramekiの石井義樹さんをゲストに、今年のカンヌが何が受賞するか、どういった作品の傾向があるか、などについて参加者含めた集まりがありました。河尻さんにイベントの招待をいただいたので、普通に参加者として参加しようと思ったら、そこそこ人が来るということで30−40人くらい入る場所としてEDITORYを使っていただきました。


カンヌライオンズは、世界にある様々な広告・コミュニケーション関連のアワードやフェスティバルの中でも、世界最大級の規模を誇るのが「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」。日本語では「カンヌ国際広告祭」として知られており、最近名前が変わり「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」と呼ばれるようになったそうです。ちょうど昨日から開催したということで、参加者からのツイートや報告が楽しみです。

基本的に、広告畑の人たちにとって注目の広告祭であり、日頃そこまで広告の業務に深く携わっているわけではないものの、広告自体に対する興味や、今のトレンドを表現する1つのメディアとしての広告は、仕事で携わっていなくても気になるもので、毎年カンヌで授賞した作品などはある程度チェックはしています。

どういった作品が紹介されたか、ということや考察は参加されたtacrowさんのブログや、kiramekiの石井さんのブログでカンヌで授賞するかもしれない作品集は見て頂くとして、こっちは僕なりに見てた感想なんかを書こうかなと思います。



イギリスの公共テレビ局 チャンネル4によるパラリンピックのコマーシャルは、障がい者というネガティブな印象を変え、かっこいい一流のアスリートの姿を映しだしています。どんな人であっても、何かに勝負する時に顔というは、見ていて鳥肌が立つものばかりです。前を向き、1秒1センチを競う気持ちは、見た目ではない人間の輝かしい精神そのものを映しだしているようです。




第二次大戦による分裂以降、対立が続くインドとパキスタンを結ぶ。そんな両国をつなぐツールとしての製品、というメッセージ。世界をつなぎ、互いに笑顔になれるものを作り出したい、というのが企業としても大きな思いでもあると思います。

いつの日か、国を超えた人たちが、遠隔ではなく手と手で互いに握手する日が来ることを祈ります。




こちらは、Paul Harvey氏が1978年に演説をおこなった「So God Made a Farmer」の内容がひたすらバックに流れているだけ、というシンプルなものながら、とても重厚なメッセージに心を打たれます。
以下、演説の内容と日本語を掲載します。

And on the eighth day, God looked down on his planned paradise and said, "I need a caretaker." So God made a farmer.
そして8日目、神は自らつくりたもうた楽園を見下ろして言った。「世話人が要るな」。だから神は農夫をつくった。

God said, "I need somebody willing to get up before dawn, milk cows, work all day in the field, milk cows again, eat supper, then go to town and stay past midnight at a meeting of the school board." So God made a farmer.
神は言った。「夜明ける前に自分から起きて牛の乳を絞り、一日中畑で働き、牛の乳をまた絞って晩御飯を食べ、街に出て、学校役員会の会合で夜中過ぎまで起きている、そんな人が必要だ」。だから神は農夫をつくった。

God said, "I need somebody willing to sit up all night with a newborn colt and watch it die, then dry his eyes and say,'Maybe next year,' I need somebody who can shape an ax handle from an ash tree, shoe a horse with hunk of car tire, who can make a harness out hay wire, feed sacks and shoe scraps. Who, during planting time and harvest season will finish his 40-hour week by Tuesday noon and then, paining from tractor back, put in another 72 hours." So God made the farmer.
神は言った。「子馬が産まれると自分から徹夜で世話し、死に目を看取って、涙を拭き、『また来年がんばろう』と言える人、薪木のまさかりの把手をつくり、タイヤの塊で馬に蹄鉄をつけ、干し草の金具から馬具、ずだ袋、シュースクラップをこしらえられる人が要る。種まき、収穫の季節には火曜の昼まで週40時間働き、トラクターで腰を痛め、それでもまた72時間働く、そんな人が要る」。だから神は農夫をつくった。

God said, "I need somebody strong enough to clear trees and heave bales, yet gentle enough to yean lambs and wean pigs and tend the pink-comb pullets, who will stop his mower for an hour to splint the leg of a meadowlark."
神は言った。「木を倒し、俵を担ぐほど力持ちで、そのくせ羊の出産、豚の乳離れ、ピンクの若鶏の世話をし、怪我したマキバドリを見れば芝刈り機を1時間とめて脚に添え木を当ててやる心の優しい人が要る」

It had to be somebody who'd plow deep and straight and not cut corners. Somebody to seed, weed, feed, breed, and brake, and disk, and plow, and plant, and tie the fleece and strain the milk. Somebody who'd bale a family together with the soft, strong bonds of sharing, who would laugh, and then sigh and then reply with smiling eyes when his son says that he wants to spend his life doing what Dad does. "So God made a farmer."
「深く真っ直ぐ耕し、四角い隅を丸く履くような真似はしない人。種を撒き、草を抜き、餌を与え、繁殖させ、ブレーキを踏み、耕うん機を回し、耕し、苗を植え、羊毛を束ね、乳を裏ごす人。ひとつのものをみんなで分かち合う柔らかく強い絆で家族をひとつにまとめる人。笑い、ため息をつき、そして『自分も一生パパのような仕事をしたい』と言う息子に目を細めて答える人が要る」。だから神は農夫をつくった。

演説内容と日本語参照:Long Tail World: スーパーボウルCM 2013ベスト:God made a Farmer - Best Super Bowl ad

内容は、農家を称える内容とともに、私たちの大地を作り、耕し、そして日々に食料を作りだす、人間の根幹となるものを作り出す、素晴らしい仕事をしている人たちへの賛歌にも近いものです。どんなにテクノロジーが進化しようとも、私たちの生活には絶対に欠かせないものを、改めて考えさせられる内容でした。



人は、自分に対する評価というものは高くない傾向があります。「自分なんか…」「あの人のほうがもっと…」しかし、その思いは自分以外の人も思っています。つまり、自分はダメだと思っているものも、他者からみたらいいものだと思われるものだってあるんです。

自分の可能性に気づき、自分に対するポジティブな気持ちを作り出す。何かで作られたメッセージではなく、他者からの純粋なメッセージで自身の自尊心を高める方法は、見ていて感動を呼ぶものです。

“You are more beautiful than you think. ―あなたはあなたが思っている以上に美しい。”

この一言は、まさにこれまで他人の目を気にしながら、自分を貶めてきたから脱却させるメッセージに違いありません。


今回のカンヌにかぎらず、広告の中のメッセージにはこうした人間賛歌、人間賛美な内容のものが次第に増えてきたようにも思えます。消費の時代から物語の時代へ。そんなことが言われてきている中、河尻さん的には今回のテーマでもある「メーカーズ」などの工作系がでてきている時代は、DIYという自分自身で何かを作ったり創造性を発揮していくことが求められている時代でもあります。

それは、これまでの「作られたもの」ではなく、菅付雅信氏が著書でも述べている「中身化」というものが求められている時代でもあるのだと思います。

「中身化」が求められている時代、つまりは、人間とは、人間の美しさとは、人間として私たちはどう生きていくか、ということを自問自答しながら生きていくこともつながっていきます。

自分と社会を向き合い、自分がどう生きていきたいのかを考える、そのためには、私たち自身が自分や他者も含めた「人間」について考える時代とも言えます。

その人間個人の力を信じ、Empowermentを働きかけるメッセージこそ、これからの広告としての1つのあり方なのかもしれません。




2013/06/12

政治主体の選挙から有権者主体の選挙に



1年間One Voice Campaignの活動をし、そして2013年4月19日に参議院本会議でネット選挙解禁を含む公職選挙法の改正法案が可決しました。それによって、7月から実施される参議院選挙から、メールなどの一部の規制はあるものの、SNSなどを使ったネット選挙が本格的に日本でもスタートします。

もちろん、ネット選挙が解禁されたからと言って、投票率が上がるわけでも、みんながすぐに政策議論をおこなうかと言うとそうではないかもしれません。しかし、ツールが増え、情報環境に変化が起きている今という時期だからこそ、日本社会が今後どうなるか、日本で生活している私たちがどうすべきかを考えるいい機会になると思います。

しかし、この1,2ヶ月報道などでネット選挙などに関する報道を見ていると、主に政治家や政党主体の内容が多く感じてしまいます。

インターネット選挙運動解禁で、政党の戦略はどう変わる? - GREE ニュース
ネット選挙運動解禁に伴う電子メール環境への取り組みについてYahoo! JAPAN - プレスリリース

もちろん、選挙の結果によって政治家の進退や政党の議会内のシェアは変わってきます。しかし、その政治家や政党を選ぶのは私たち有権者であり、間接民主制をとっている日本においては、私たちの意見の代弁者としての存在として政治家が存在します。つまり、私たち有権者主体の政治が本来であれば反映されていなければいけないはずなのです。

私たち有権者も、政治家に頼ってばかりではいけません。政治家にすべてを任せるのではなく、何かおかしいものがあれば意見を発し、改善案や代案を出したり、みんなで議論するだけの環境を整えるよう情報を整理していく必要があります。

荻上チキさんが書かれた『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想 (幻冬舎新書)』でも、政治の側が国民益を追求しているか、そして、その政治の現場を監視し、国民側からも政治家に対して「これをやるべき!」という圧力や議論を増やす「ポジだし」(ダメだしの反対語)をすべき、という記述がありました。

政治がこれまで身近に感じられなかったとしても、どんな状況であれ今の政治の世界を作り出しているのは有権者である私たちにも責任があります。何かおかしい、と思ったことに対しては、積極的に声をあげるなり、問題を問題だと周りに発信したり、情報を整理しなければいけません。そうした普段の積み重ねによって社会は作られていきます。

「自由」というものは、私たちに与えられた権利であると同時に、私たちの不断の努力によって保持しなければならないと憲法にあるように、私たちが生活している社会も与えられたものではなく、私たちの不断の努力で作り上げていくものなのだと思います。そして、作り上げるだけの環境や、意見を発信する情報環境は、今の時代はSNSを含めたソーシャルメディアなどの盛り上がりにより、そのハードルは下がってきています。

先日MITと朝日新聞が行ったシンポジウムでも、伊藤穣一氏は「テクノロジーによる民主主義化」によって、よりボトムアップでの社会になっていくと語っています。

「ネットやSNSを通じて誰もがアジャイルに情報をPullできる今の時代は、ボトムアップでの変化が生まれやすい。先の3.11後の動きしかり、国民が現場レベルのコラボレーションで公的な問題を解決できるという片鱗を見せた日本人は、世界に先駆けて新しいメディアや民主主義の形を示せるかもしれない」(上記、リンク先本文抜粋)


もはや、政治の現場も含めた社会全般の動きは、政治家という人たちだけで統制できるほど単純なものではなく、また先行きがどうなるか誰も予想できない時代だからこそ、各々がアジャイルで課題に取組み、修正と改善を重ねながら漸進的改善を図ることが大事になってきます。オープンデータしかり、オープンガバメントによる政治の世界のプラットフォーム化により、より市民への権利譲渡を図ることで、より時代の動きに沿った迅速な活動がおこなわれてきます。

そうした状況を作り上げるためにも、選挙というものは私たち有権者主体の、有権者のUXを踏まえたものとして作られていくべきなのではと考えます。トップダウン型の社会ではなく、ボトムアップ型の社会の中でどのような社会を作っていきたいかということを私たち自身が考え、社会を「自分ごと化」していく意識を持たなければいけません。

私たちが作り上げる社会、私たちが作る政治という意識をもつためには、有権者である私たちが政治家にすべてを一任せず、何か問題があれば自分たちで作ってしまうくらいの意識を持たなければいけません。政治に文句を言うんじゃなく、問題ならまず先に手を動かしましょう。そして、そうした私たちの動きを支援していく政治家をきちんと私たちで評価していきましょう。互いに応援しあえる関係性になることで、互いに社会を作るプライヤーという意識が芽生えてきます。そうした政治の形を決める選挙の情報も、私たちにとって何が大事なのか、私たちがどう行動すればいいか、投票であれば、政策に関する話を分かりやすくまとめたり、これまでの議員の活動を分かりやすくまとめるなどの情報環境を作っていき、投票行動に必要な情報をメディアの方たちも揃えていきましょう。

このような有権者主体の選挙にしていく動きを、今回のネット選挙の流れの中で、改めて見直していくべきだと思います。





photo credit: JosephGilbert.org via photopin cc


ソーシャルテレビ推進会議に見るテレビの現況と今後

先日おこなわれた、ソーシャルテレビ推進会議一周年オープンセミナー「ビジネスモデルは見えてきたか?」に参加してきました。

ソーシャルテレビ推進会議とは、ソーシャルテレビに関する最新データやニュースを発信するサイト「ソーシャルテレビラボ」が主催するイベントで、放送と通信、マスメディアとインターネットの融合の形として、テレビの次のあり方を模索するためのイベントです。

ソーシャルテレビ推進会議は、毎月有志で集まり情報交換やテレビ関係者たちのコミュニティを作っています。今回で立ち上げから1年を経たということで、オープンセミナーとして100人以上もの人たちがテレビとITの融合について考える場となりました。これまでにいくつもテーマで話されてきた中、テレビとインターネットとの関係が少しづつ見えてきたと語る主催の境治さん。実際、テレビの番組内でも参加者とスマホなどを用いてインタラクティブな参加性を持った企画も立ち上がってきました。そうした知見やノウハウをシェアし、業界内への提言などを試みているそうです。


テレビがAPIを公開し、オープンプラットフォームへの道のりを作りつつある
まずは、セミナーの第一部として「テレビはウェブで飛躍するか」と題し、モデレーターにVOYAGE GROUP中山理香さん、ゲストにNHKの石倉清史さん、日本テレビの安藤聖泰さんが登壇し、それぞれの局が取り組んでいる事例を発表しました。



NHKの石倉さんからは、番組情報への導線がテレビ欄からEPG(テレビ・レコーダー)などへと移ってきてるというお話がありました。SNSやブログへの認知など、これまでの新聞のテレビ欄以外での流入経路が増えてきました。そこで、NHKとしてEPGにおける情報発信をこれまでおこなってきましたが、EPGでは写真やURLなどが発信できないことなど、今の時代の現状に合っていない、スマホオリエンテッドではないという考えが局内からも出てきたそうです。

そこで、つい先ほど(ちょうどイベントの数時間前に!)、NHKの番組情報のAPIを公開した、という発表をおこないました。(NHK番組表APIはこちら

たまたま、イベントとタイミングが合ったそうで、来てる参加者からも大きな声が上がりました。最大48時間先までの全国の総合テレビやEテレ、BS1などの情報を発信するとのこと。もちろん利用は無償で、目的としては少しでもテレビを見てくれる人が増えれば、というお考えでした。今後は、他局と連携を図りながら改善を図っていくそうです。もちろん、今回は無償での利用ですが、その公開範囲は必ずしもすべてとはいえません。どこまでを提供範囲とするかは局内でも現在検討中であり、より広範囲な情報は有償となる可能性もあります。

NHKとしても、まだまだ番組情報に関しての改善は検討しており、番組のLPやテレビのプレイヤー同士のコミュニティを形成したり、各局共通のプラットフォームを作ったり、API利用の動向やユーザ調査などの案も浮上しているとのこと。番組情報というメタデータを、テレビ局が試行錯誤しながら徐々に公開していく1つの試みとして、今回のAPI公開は評価できる取り組みと言えます。

日本テレビの安藤さんも、テレビ局としてのオープンデータを推進することを意義についてお話いただきました。実は、日テレは出演者情報などをWebAPIとして6年前くらいから公開していたそうです。(日本テレビのWebAPIはこちら)目的も、番組のファンなどに向けて、より充実した情報を公開していくための対応だったと言います。

今後は、NHKがAPIを公開しているように、より詳細な番組情報のAPIを公開するなど、色々な情報を発信し、それらを第三者が利用し、番組への認知や発見されやすさ(Discoverability)を高めていきたいとのこと。さらには、番組をもっとソーシャルに連動したり、セカンドスクリーンの企画をテレビ局は打ち出していくべきでは、と語りました。

石倉さんや安藤さんの話の中でもあったように、各テレビ局がそれぞれに独自に動いていくのではなく、テレビ局全体としての統制を図り、局同士が連携し、テレビという場全体がプラットフォーム化することの可能性を大いに感じました。APIの公開をどこまでおこなうか、フォーマットを統一し、どこまでの情報を無償で公開し、どこまでを有償で公開していくか。テレビ局側としても、まだ試行錯誤の段階ですが、一歩づつ進んでいる流れがあるように思いました。

結局は、そのAPIを利用する私たちや開発者、企業などがどこまでの情報を欲しいとするかを、テレビ局側の人たちと一緒に考えていくべきなのではないでしょうか。それによって、テレビ局だけが頑張るのではなく、それを使う私たちと一緒になって考え、よりよいものにしていこうという流れが起きることで、テレビがウェブで飛躍する可能性は大いにあるのではないでしょうか。

一番印象深かった言葉は、「テレビはもはやテレビだけがプレイヤーではない」という言葉。これまでテレビ局主導でおこなわれてきたことを、権限をユーザに一部移譲し、一緒になってテレビを通じた良い体験を作っていこう、という姿勢の表れだと感じました。

利用者の利用シーンを踏まえたテレビそのもののあり方を考える
第二部では「テレビ視聴のこれから」として、モデレーターにビデオリサーチインタラクティブ深田航志さん、ゲストに角川アスキー総研の遠藤諭さん、LG Electronics Japanの土屋和洋さんが登壇しました。

まず初めに、遠藤さんも監修に加わった「次世代テレビに関する検討会」報告書を深田さんが紹介。そこで紹介されている統計データをもとに、議論がなされました。



データを踏まえつつ、テレビという機器そのものをどうしていくかについて、まず初めに、LGのスマートテレビについて土屋さんのお話が続きます。LGのスマートテレビは、リラックス・メガコンテンツ・サイズアップをテーマに掲げ、機能としてジャイロセンサリモコンや音声認識、カメラでのジェスチャー認識など、ただの受信機としてのテレビではなく、よりインタラクティブ性をもったデバイスとして、そしてリモコンレスなものへと移行していく、というお話がなされました。

「次世代テレビに関する検討会」報告書の中でも、今後はスマートテレビが主流になっていくのでは、という記述がされています。その中で、現在の地デジ対応テレビのネット接続率は20%程度に対し、LGのスマートテレビ購入者による調査では45%という数字が示されており、スマートテレビによるネット接続率の向上についての話もあり、よりインターネットを通じて情報のやり取りや多様なコミュニケーション手段のツールとして、テレビが変化していくと予想。

地デジ移行期に購入したテレビの買い替えサイクルがちょうど2020年頃だと言われている中、2020年に向けた大きな買い替えのタイミングに向けて、各社がスマートテレビを主戦とした機器の開発などが問われているのかもしれません。また、今一番売れているテレビも、2台目3台目利用が多く、大型テレビの需要は減ってきているのではないか、次に来るスマートテレビの機能としてWi-FiやIPTV、ユニバーサルリモコンなど、よりUIを踏まえた要素が重要だという議論が続きました。

「テレビ」において今後考えなくてはいけないポイントは何か。それは、どういったユーザが、どういった視聴体験をしているかを考えることではないか、と話は移ります。若い人に多いタブレットなどの視聴では、大音量のスピーカーでの視聴よりもヘッドホンでの視聴も多いそうです。スモールスクリーンとビッグスクリーンでは、必要な機器や番組企画にも大きく関わってきます。よりパーソナル視聴が加速していく中、大画面のテレビの必要性がどれだけあるのか。あるとしたら、そのニーズは何か?を考えることが求められてきます。

メインテレビで考えれば、今市場に出まわりつつある4Kや、次に出てくる8Kといったテレビがどれだけニーズがあるのか。もちろん、テレビ機器メーカーからしたら、より大画面でより大音量でテレビを楽しんでもらいたい、という発想も理解できます。大事なのは、ユーザに対してどういったUXを届けるか、そのために必要なテレビ機器のあり方を考えることなのかもしれません。

モバイルメインで視聴する人と、リビングなどの場所で視聴する人など、ターゲットによって番組への作り込みが変わってくるのかもしれません。番組制作者は、そうした、ターゲットとなるユーザの環境まで踏まえながら、コンテンツを設計しなくてはいけないのかもしれません。

最後に、全録機のガラポンTVが先日出したリリースによると、ガラポンを導入したことによって、有料チャンネルやCSを辞めて、ガラポンを通じてテレビ番組を視聴する人が大幅に増えた、という発表がなされました。(リリースはこちら)つまり、テレビ自体がつまらなくなったのではなく、テレビを見る機会の多様化と、それを受け止めるチャネルが少なかったからテレビ視聴が減ってきただけであり、ガラポンTVのようにいつでもどこでも視聴できる環境が構築されれば、おのずと視聴者は増えていくかもしれない、ということを証明したことになります。この数字をうけて、テレビ制作者がどう番組構成を考えるか。ここからが大事な時期なのかもしれません。


テレビ制作者とファンとのコミュニティを作る
最後に、第三部として「テレビづくりの未来をつくる」というテーマで、モデレーターにコピーライター・メディアストラテジストの境治さん、ゲストに読売テレビで「ダウンタウンDX」などのプロデューサーの西田二郎さん、北海道テレビで「水曜どうでしょう」のディレクター藤村忠寿さんが登壇しました。




お二人は、テレビ埼玉で放送されている「たまたま」にて共演。この番組自体が、これまでにない新しい番組制作への挑戦だとお二人は語りました。そもそもとして、読売テレビと北海道テレビという局の違う二人が一緒になって番組制作をやる、という事自体が新しい試み。一般的に、番組制作者は自局系列でしか番組は作れません。そこで、中立な局として存在するテレビ埼玉で、今回共演が実現できているのです。

また、「たまたま」はそのほとんどが自主制作に近い番組制作です。番組予算はゼロ。日々スタッフやスポンサーを募集しており、テロップの1つ1つをお二人で制作しています。

番組も、30分ひたすら二人がしゃべり、また編集もほとんどせず、30分流しっぱなしという状態です。これまで、テレビは編集の妙でそのクオリティを作り上げてきました。しかし、その編集によって本当に面白いもの、番組の現場の生感を伝えることが抜けてきたのでは、という思いがあるとお二人は語ります。クオリティという外見ばかりにこだわった番組制作になってきている、今のテレビ制作に対して、1つの挑戦としてこうした番組を作っていきたい、という思いで番組に携わっています。

逆に、ニコ動などに代表されるような番組は、テレビの方からしたらクオリティはとても低いと言わざるをえないかもしれません。時に、放送事故とも言えるような失敗があるかもしれません。しかしクオリティは低くても、そうしたものも含めて見ている人と一緒になって面白いものを作っていこう、という空気感が、特にネット上にはあります。そうした空気感を、これからの時代のテレビマンに求められているのではないでしょうか。

西田さん藤村さんは、「面白くしようと思わなくていい」と語ります。これまで60年かけてテレビが築き上げてきたルールも、もとは何もないところからこれまでのテレビ局の人たちの試行錯誤によってできたルールでした。しかし、現在テレビに携わっている人たちは、そのルールが絶対だと感じたり、ルールが当たり前でありそれを踏襲することを第一に考えがちだと語ります。そこで、いったんすべてを分解し、そこから本当にやるべきことは何かという優先順位をつけていくことが見ている視聴者にとって一番大事なことであり、そして今のテレビに求められているのではないか、とお二人は今のテレビ業界に対して投げかけをしています。予算の取り方、番組の制作の仕方、演出のあり方、1クールという番組の枠など、そうしたすべてを一度改めてみること。そこから本当に面白いと思うものを作るための優先順位を作り上げることが大事なのです。

インターネットのサービスであろうがテレビであろうが、1メディアである限り、そこにおける課金の仕組みは、そのメディアを使うユーザにとって気持ちのよい課金の仕組みを作らないと、スポンサーも制作者もそれぞれの心意気が達成できません。

「テレビの広告は悪」だ、と語る風潮も一部ありますが、本来はスポンサーをしている企業からの支援があって番組は成り立っています。広告がついているといった前提、お金はあって当たり前、という発想を、現場の番組制作者が持っている、その思いあがりが、今のテレビが改善すべき意識なのではないでしょうか。

「たまたま」の例にあるように、番組制作者自身が、真の意味で番組制作とは、といったものを考え、そこから予算やコンテンツを考え、そして、それを支援するスポンサーに制作者は感謝をし、そして、見ている視聴者も広告主にいい番組を作ってくれた、というその心意気に感謝をする。テレビに限らず、本来であればそうした制作者とスポンサーの心意気に対して、見ている視聴者は応えるべきだったのではないでしょうか。制作者自身も、惰性で作るのではなく、本気で作りたいと思うものを作り、その思いにスポンサーは応え、その思いに共感するユーザが課金をする。そうした当たり前な仕組みを、テレビは取り戻そうとしているのかもしれません。

そのためにも、作り手である制作者とユーザである視聴者が同じフィールドに立ち、一緒になって作り上げていくという感覚を持つにはどうしていけば良いか。お二人とも、テレビの番組制作もコミュニティを運営するような形に移行していくのでは、という話が印象的でした。ユーザとコンテンツ提供者の形が変わってきており、予定調和な決まりきったことにユーザは満足していないからこそ、ユーザが参加できる余地を作り、共に作り上げる仕組みをテレビが持った時、新しいテレビのあり方があるのではないだろうか、という提案で話は終わりました。

局という立場、一番組の制作者という顔が見えることにより、よりユーザとテレビとの距離感が近くなり、双方向のコミュニケーションを通じてともにコンテンツを作り上げる。こうした動きは、これまでのテレビのあり方を一新する流れかもしれません。もはや、テレビはテレビというメディアを通じ、ユーザと対話していくプラットフォームを作っていく担い手、という位置づけになっていくのかもしれません。

テレビもネットも同じフィールドにいる競合であり協働パートナー
第一部から第三部まで通底しているのは、もはやこれまで私たちが考えていた”テレビ”という姿はじょじょに変わりつつあり、テレビというメディアを通じ、ユーザである視聴者とどのように番組を作っていくを共に考えるプラットフォームの一部へと移行してきています。そうした時に、これまでテレビというメディアが持っていたコンテンツ制作力やノウハウは、良質なコンテンツ作りやネットワークを駆使し、これまでにない新しい何かを作るだけのリソースを持った、新しいコンテンツ提供者へと変わっていくのかもしれません。

ユーザからしたら、ニコ動であろうがテレビのコンテンツであろうが、最終的には面白いものがあるところに集まる、ということには変わりありません。そして、その面白いものを見るためのツールが、マルチデバイス、マルチチャンネル、セカンドスクリーンなどの多様化したコミュニケーションツールへと変化していく中、コンテンツベンダーは、それぞれのコミュニケーションツールを駆使し、ユーザ満足度を高める施策を考えていかなければいけません。そこには、ネットだろうがテレビだろうが関係ありません。同じユーザの可処分時間を奪う1つの競合であると同時に、時にユーザの体験を向上させるパートナーであるのかもしれないのです。

テレビは今、ものすごく変化が問われていると同時に、この変化が成功した先には、新しい「テレビ局」というコンテンツベンダーとしての形があるのかもしれません。こうなった時に、ネットのコンテンツベンダーはどのようにしていくべきか。ネット業界の方々は、正直言えばあまりテレビを見てるとは言えません。もちろん、テレビについての研究をしているとは言えないでしょう。しかし、テレビの側は今や急速にネットの最新の情報などをもとに研究し、成長を図ろうとしています。コンテンツのクオリティやユーザとのコミュニティがテレビという場で出来た時、ネットの人たちが生きていく道があるのか、と少し考えてしまいます。ネット隆盛と言われていますが、気づいたら後ろには、大きな巨人であるテレビは、ネットを食わんと準備を進めており、気づいたらネットを抜き去る、という状況が生まれるかもしれないのですから。

そんなことを考えさせられる、大変刺激的なイベントでした。











2013/06/09

総務省が、統計データにおけるAPI機能の試行運用を6月10日から開始

photo credit: suzannelong via photopin cc


総務省は、統計データの高度利用環境の構築のため、2013年6月10日(月)10時より、統計データにおけるAPI機能の導入による試行運用を開始する、というリリースを出しました。(リリースはこちら

このAPI機能の導入は、独立行政法人統計センターが運用する「次世代統計利用システム」上で試行運用を開始します。

これは、いわゆる「オープンデータ」と呼ばれる政府行政が持っている公益情報を公開することです。それによって、誰もが自由にデータをもとにサービスを開発したり新規事業などを立ち上げ、独自の行政サービスを作り上げることができます。海外では、オバマ大統領が提唱した「オープンガバメント」の中でも、こうしたオープンデータを推奨し、様々なアプリケーションを民間初で始めることを促進しています。実際、オープンデータをもとにしたハッカソンなどを行政自らが主催し、これまで行政だけで考えられていた行政サービスを、民間や優秀なプログラマーなどの力を使い、よりよい社会の環境を作っていこう、という取り組みが実施されたりしています。


今回の試行運用で利用可能な統計データは、国勢調査、労働力調査、消費者物価指数、家計調査など総務省統計局所管統計の約3万2000のデータだそうです。まだ試験運用というため、総務省が持っているデータすべてはなく、またデータの量があまり多くはないため、どれだけの効果が生まれるかはわかりませんが、こうしてオープンデータの取り組みが少しづつ行なわれるのは一歩前進、といった意味で、評価できるポイントなのではないでしょうか。まだ10日になったら、実際にアクセスしてみてから、使用感などをみんなでレビューするといいかもですね。


総務省としては、今回の試行運用を通じて機能やシステム負荷等の検証をユーザからの意見をもとに検証し、平成26年度中にe-Statに同機能を整備し、各府省の統計データの利用が可能となる本格運用を目指すとしています。

行政主導から民間主導へ。まだまだオープンデータの課題は山積していますが、一歩ずつこういった取り組みがなされることで、私たち自身で社会を作っていく環境ができてくるのではないでしょうか。

自著『パブリックシフト ネット選挙から始まる「私たち」の政治 』でも、こうしたオープンデータの事例などを盛り込み、日本におけるオープンガバメントによる新しい社会のあり方についても触れています。今回の試験運用は、これまでのトップダウン型から私たち自身で社会を作るボトムアップ型へと移行することの、1つの事例になるのではないでしょうか。










金沢のアーティストたちが集う発信の拠点「問屋まちスタジオ」

先日、友人の結婚式で飛騨に行ったついでに、金沢にまで足を運んできました。そこで、金沢駅から10分ほどのところにある「問屋まちスタジオ」を訪問しました。

問屋まちスタジオ」は、2010年5月に、金沢美術工芸大学と協同組合金沢問屋センターが「問屋町の街づくりに関する協定」を結び、アートを活用した新しい街づくりの取り組みとしてプロジェクトがスタートしました。その発信の拠点として2011年3月に、問屋センターから提供された旧印刷工場を活用し、「問屋まちスタジオ」は立ち上がりました。


金美(金沢美術工芸大学の略)の卒業生たちや現代美術のアーティストたちの制作活動や発表の場などのギャラリーとして機能しており、また、中にはアーティスト・イン・レジデンスとして、アーティストやクリエーター、キュレーターたちの交流の場としても機能しています。


中は、さすが元印刷工場と言っただけあり、無骨な中にホワイトキューブな空間が広がっており、ギャラリー展示やパフォーマンスをするのに十分なスペースを持っています。


ちょうど伺った時は入れ替えなどの時期だったみたいで、大きな展示はされていませんでしたが、壁には、これまで活動していた活動の様子などを写真で掲示していたりしていました。



金沢市の問屋町は、元々問屋業を営む会社が集合した場所でもあり、昭和40年代の古い面影をもつビルが立ち並ぶ地域でもあります。「問屋まちスタジオ」の場所は、9つの会社が長屋状に連れなった建物のひとつです。また、大きな県道が近くを走っており、広々とした道路に面した建物と地域は、多くの人たちが集まる場所として、最適な地域とも言えます。

ただ、こうした街づくりとして機能するためのスタートした場所も、問屋町というかつての工業地域の中にあるということで、気軽に一般の人が足を踏み入れるような雰囲気でもなく、夜になると付近は者静けさが多少漂う場所でもあります。活動を初めて2年が経った中、じょじょに地元の人たちにも活動を知ってもらっているようで、こうした活動は長期的な視野を持って活動しながら、地域の人たちと一緒に少しづづ前に進めていくことが大事です。場所柄たしかに週末や夜は人が普段は足を踏み入れない場所だからこそ、「問屋まちスタジオ」がある、という目的を持って訪れる人が増えれば、おのずと盛り上がりを見せていくと思います。

街づくりやアートセンターというのは、建物というハードのみならず、そこに集まる人たちが集うためのソフトの力も必要となります。地域の人たちとアーティストが集う場所として機能するためには、アートの力、建物の力、そして地域の力も必要となります。ハードとソフトという両輪が上手く周ることで、コミュニティの盛り上がりを作ることができます。また、ハードも何か新しいものを1から作るのではなく、こうしたすでにあった建物をリノベーションし、その土地の文脈を引き継ぎながら今の時代、そしてこれからの時代に見合った形を作っていくことが求められています。1から作る時代ではなく、利活用する時代こそ、これからのコミュニティデザインに必要な意識なのだと思います。

問屋まちスタジオ」は、比較的若手のアーティストたちが集う場所に、現在ではなりつつあるようで、金沢のみならず東京や地方の人たちも、イベント毎には駆けつけ、集まる場所になっているそうです。

また、こうした場所を市や行政も支援する動きが、金沢でも少しづつ起きつつあるようです。アートやデザインといったクリエイティブな活動は、東京などの都心といった場所ではなく、こうした地方都市から発信されることで、まだまだ発掘されていない優秀な才能をもったクリエーターを見つけることができます。こうしたアーティスト活動やクリエイティブ活動が、最近色々な地域で活発化してきているように感じます。こうした地方の場所を、うまく東京や都心にいる人たちも足を運び、そこから新しい企画やプロジェクトを立ち上げるきっかけになればと思います。

今の時代は、ネットワークがどんなに発達していても、やはり最終的には自分の足で、自分の五感を通じて人と話をしたり、そこの土地がもつエネルギーを感じることでしか、新しい発想や創造力を養うことはできないと思います。まだまだ見つけられていない面白い活動を、もっともっと見つけていくためには、東京以外の地域に足を運ぶことが大事だと思います。





2013/06/07

京都の魅力発信と、地域を盛り上がるため取組み。「京都移住計画」を通じて京都への移住を後押しする


地方出身者のみならず、東京から離れてどこか違う土地に住むというのは、大きな決断がいることだと思う。いわゆるUターンやIターンという現象は、都心一極集中ではなく日本の各地に分散することで、より住みやすさや自分にとっての暮らしやすさを追求する方法の1つと言える。

その中で、京都に移住する人を増やそうと取り組んでいる活動がある。「京都移住計画」という活動は、京都に縁があるメンバー数人が集まって活動をしています。


「地方を盛り上げる」という目標を掲げる活動はたしかに全国たくさんあります。だが、その盛り上げ方の多くが、観光誘致の手法に偏っていることがあったりします。しかし、観光という表面的なものではなく、その土地に愛着をもち、その地域に長く住んでもらうことこそ、地域が地域として盛り上がる1つの方法だと思います。そうした意味で、「京都移住計画」の取組みは、京都の魅力の発信ではなく、どのようにして京都に移住し、長く住んでもらうかを考えると同時に、実際に京都に移住した方々にヒアリングをしたり、定期的にイベントを開催し居住者同士のコミュニティを作り、そこから京都に移住したくなる企画を考えています。

私自身も縁あって京都に行く機会も多く、京都移住計画に活動している方々とも日ごろよく話をしたりしています。活動されているメンバーも、ちょうど同じ84年生まれ世代ということも親近感を持っていて、また自分も福岡出身という東京ではない地方出身ながら、地元を愛し地方の魅力を発信している人たちに対しては、何かしら応援したいな、と思っているところです。

以前参加した時も、30人以上の人が参加し、さらに、地元の野菜などを使った料理をふるまうなど、かなり豪華なイベントで、みんなでわいわいしながら楽しく交流するイベントでした。


そんな京都移住計画の活動もこれまで京都を中心に活動していたのですが、やはりこういった活動や京都以外でやることで意味がでてくると思い、東京でやったら?と言っていました。そんなアドバイスが通じたのか、6月22日(土)に、ついに東京でイベントを開催することになったみたいです。

【イベント】
ぼくらの移住計画 https://www.facebook.com/events/200471123436013/

「京都移住計画」以外にも、こうした移住を促進している団体もいくつかあるみたいで、そうした団体が集まり、それぞれの魅力について語り合ったり、どうやって居住者を増やすかについて話す場になるみたいです。

移住に興味がある人も、やはり移住をするにもその移住先に安心出来る友人などのつながりがあったほうがいいと思います。また、移住するほどではなくても、その地域の友人ができるだけで、旅行やちょっとした時に話ができる人のつながりができるだけでも楽しいかと思います。

東京のみならず、こうやって地方が盛り上がることで、全国各地が有機的につながり、そこから新しいプロジェクトや取り組みが生まれてくることで、より面白くなるんじゃないかと思います。

京都移住計画 https://www.facebook.com/kyoto.iju.keikaku


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