2012/12/25

ハードとソフトを融合させたこれからのものづくりを考える−『ものアプリハッカソン』が大阪で1月26日開催



オープンソースハードウェアや3Dプリンタなどが次第に普及してきたことで、スモールチームでのハードウェア生産などができるようになってきました。これによって、自由な発想やアイディアをもとに新しいビジネスに挑戦していく人たちも増えてくると、色々な面白いことができる時代になったと感じます。

もともと町工場が盛んなことでも有名な大阪。ロケットの部品なんかも作っている世界に誇る技術をもっている町。そうした、これまでの町工場とITの技術とを掛けあわせた新しいハードウェアづくりの人たちを一同に集め、インターネットやスマホと連動した「生活を変えるオリジナル電子機器」を短期間でつくるハッカソンを、大阪市が主催になってイベントを開催するそうです。

個人や企業単位ではなく、市などの行政がこうしたこれからのものづくりに対して意識をもち、支援していく動きは、今後益々大きくなっていくと同時に、日本がもつこれまでの技術を水平展開させるなどして、新しい活用法を見出したり、新しい技術と古い技術とを掛けあわせて新しい発想で生み出される技術ができてくる可能性があると思います。

そうした、「ハードウェア×ソフトウェア×ハッカソン」と題した『ものアプリハッカソン』が1月26日、27日の両日で開催されるそうです。詳細などはこちらからぜひ。

東京だけでなく、大阪などもこうした動きが盛んになっていくことを期待すると同時に、日本各地にあるこうした技術のアーカイブを、これからの新しい時代にどう対応していくか、それぞれにとっても課題だと思います。

興味のある人はぜひ。

【ワークショップ】ものアプリハッカソン!!|大阪市グローバルイノベーション創出支援事業
■開催日時
2013年1月26日(土)9:00~20:00
2013年1月27日(日)9:00~19:00
■申込締切日時
平成25年1月13日(日)24:00
■開催場所
アーバンイノベーションホール(新阪急ビル9F)
■対象・定員
ものづくり系技術者 15名
Web系プログラマー 15名
その他(マーケター、プロダクトデザイナー等) 10名
※応募多数の場合には書類選考により参加者を決定。
■参加資格・条件
◯ものづくり系技術者
Arduinoを使用した電子機器を製作した経験のある方。Arduino言語によるスケッチ作製の経験のある方。
◯Web系プログラマー
Webアプリケーションの開発経験のある方。java等の言語でのAndroidアプリの開発経験のある方。
◯その他(マーケター、プロダクトデザイナー等)
デザイン思考などのデザイン手法について学習をした方又は興味のある方。ものづくりで生活を変える新しい提案をしたい方。
■参加費
3,000円(税込み)
■主催
大阪市
■共催
公益財団法人 都市活力研究所

詳細、申し込みはこちらから

2012/12/21

社会に対し新しい文化を作り出すGranma本村さんの挑戦−途上国の女性にナプキンを届けるソーシャルビジネス支援【Ready for?】


Granmaの本村さんが、クラウドファンディングのReady for?にて、プロジェクトを掲載しています。「小型生理用ナプキン製造機によってフィリピン農村部の女性にナプキンを届けます」ということをミッションに、BoPビジネスの支援をおこなうプロジェクトです。

そもそも、インドなどの国々では、ナプキンを使用するという文化がまだまだ根付いていません。10%程度というニュースもあるように、なかなか女性の生理用品に対して価値を見出し、製品を作り出すという意識が向いていない状況なのです。

そうした中、ムルガナンサン氏というインドの方が、男性でありながら女性のための安価なナプキン製造機を作り出そうと、何年もかけて試行錯誤しながら機械を製造することに挑戦しているのです。(製造などのストーリーはReady for?に記載。

そもそも、女性に対してナプキンが困っているのでしたらナプキンを直接提供すればいい、という発想もあるかもしれません。しかし、それでは、製品を買ってお終いであり、その後のスケールがまったくしません。そうではなく、ナプキン製造機を作り出し、安く丈夫な製品を作り出し市場に提供すると同時に、製造機を作り出しそこに雇用を生み出し、それに携わる女性がナプキンに対して意識を向け、そして自分たちも使うことでさらに利用者が広がっていき、そこから文化が形成される、という動きなのです。

これはまさに、資本主義による市場原理をうまく利用して、問題解決を図るソーシャルビジネスであり、途上国の人ちちのアイディアと行動力、そして製造機を発明し作り出そうという発明と行動力こそまさにBoPビジネスでもあり、そこから新しい社会的な文化が形成されることこそ、グラスルーツイノベーションなのだと言えます。

こうした、社会的な問題を、ビジネスとアイディアによって行動し、そして発展させていき、イノベーションを生み出すというアクションこそ、いまの社会にとって必要とされているものなのです。こうした一つ一つのアクションから、世界は変わっていき、そしてこれらに対して僕らが意識を向け、少しでもいいから僕らが物を買ったり使ったりといった経済的な行為をおこなうときにこそ、意義のある価値交換をおこなう人たちに経済がまわる仕組みをつくっていかなければいけないのです。

社会的なインパクトやイノベーションを生み出すには、いまの資本主義的な社会においてはお金は必要不可欠です。なにもお金を重要視するというわけではないが、お金という価値交換がおこなえる媒介を使い、意味のある価値交換をおこなうためには、製品のバックボーンや歴史、物語を知る必要があります。同じ500円でも、どんなものにその500円を使ったかで、500円という価値では計れない違った価値が生み出される可能性があるのです。自分が価値交換をしたその500円がどのように経済の市場として流れ、そしてまた自分や社会に還元されるか。そうした市場と僕たちとの間に流れるものをどこまで想像できるか、ということこそ大事なのだと思います。

いま現在、このプロジェクトは12月27日23時までクラウドファンディングで資金を調達しています。こうした活動に対して価値交換をおこなうことが、自分と社会とを結びつけ、そしてまわりまわって自分にも返ってくる、ということを感じる一つのきっかけになれるのかもしれません。



本村さんとは、本村さんが運営しているGranmaが開催している「世界を変えるデザイン展」などを通じて時折お話をさせていただいています。9月におこなった「VISINARY PITCH」でも、このムルガナンサン氏のナプキン製造機のことについてお話してもらいました。企業やおこすイノベーションは、新しいベンチャーを通じて起こることがしばしあります。こうした社会と自分たちとの接点を生み出し、社会全体の価値交換の中において意義のある活動をしている人たちに対し、なにかアクションを促進できる支援ができればと日々考えています。

僕らの一つ一つの日々の行動をどうしていくか。こうしたプロジェクトからも、考えることができると思います。ぜひみなさん、応援してください。




2012/12/20

Yes We DO−小さな一歩を踏み出すことから未来は変わっていく。だからこそ、行動しよう

16日に衆議院選挙、東京では都知事選挙がおこなわれました。結果に対して、それぞれに色んな意見があると思います。思ったような結果がでなかったと思う人もいるかもしれません。もちろん、「たられば」論をしたりすることもできます。けれども、それなりの仕組みをもちいてある程度の賛同をもとに選挙をおこなうことが、民主主義の一つの形であることは免れません。

では、僕らはこれからどうすればいいか。

その形は、今回の選挙などで、小さな一歩かもしれないけど、様々な動きがおきたことは間違いありません。前回の2009年と違い、改めてネット選挙の重要性を感じたと思います。One Voice Campaignが5月から動きだしたのも、その大きな気づきに対して、社会に対して発信できたと思います。もちろん、次の通常国会においては、早急にネット選挙運動の解禁、そして、政治の世界においてインターネットの活用がおこなわれるための動きをしていかないといけないと考えています。

同時に、今回の選挙ではOne Voice Campaign以外にも様々な人達が政治参加、選挙への意思表示をする活動が活発になりました。せんきょCAMP,勝手に!せんきょいいんかいI WILL VOTEなど、選挙への意識喚起、投票率をあげようと活動した方々の動きは、短い時間でも様々な動きがおこなえる一つの形だったと思います。合わせて、Teens Opinionなどのように、10代の人たちの意思表示をおこなうなど、選挙権をもっていない人たちの意見を吸い上げてる形は、これからの社会を担う20代、そして10代の人たちにへの大きなリーチができたのだと感じます。

もちろん、今回の結果に対して、僕らは受け止めなければいけません。しかし、自分の1票が無駄になったと思ってはいけません。自分がいれた1票、自分がいれた政治家に対しては、自分がしっかりと応援したという気持ちを伝えてください。自分がその人に、その党にいれたということを忘れてはいけません。投票は終わりではなく、そこからがスタートなのです。衆議員となった議員を見つめ、間違いがあれば指摘をし、そして正しいことや自分が賛同できることに対してはきちんと応援の姿勢を示さなければいけません。政治家を見つめることは、僕ら市民の役割なのですから。

だからこそ、今回の選挙の活動や、これまでの日本の政治の状況を考え実感するのは、政治に対して瞬間的なものではなくもっと恒常的に、日常の中にいかに政治や選挙への意識を持ち続けるデザインをしていくのかということです。様々な活動をしていると、まわりが投票や選挙への関心があたかも高いと感じてしまう恐れがあります。しかし、社会全体で見ればまだまだ大きな変化は起きてない。当たり前だが、社会なんてそんなすぐには変わらない。そんなすぐに変わっては社会としての維持機能が果たせなくなってしまう。だからこそ、実は目の前の生活を見直し、そこから小さなシフトを起こしていくことから、社会に対するアクションは行えると考えます。

自分の身の回りにあることに対して疑問をもつこと。そのことをまわりと共有し対話をおこなうこと。そこから自分と社会との接点を見出すこと。そのために、自分の半径5mにいる人達の幸せを考え、そして、その気持ちをペイ・フォワードしながら、違った誰かに伝えていく文化を醸成していくこと。そうした小さなことからでしか、社会は変わっていかないのです。もちろんそれは時間はかかるかもしれない。でも、それが確実で地道なものだと僕は信じています。


また、今回のように10代の人たちが政治に対して少しでもアクションをしていこうと思う意識が生まれたのは、僕たち大人は考えないといけません。若者が悪い、若者はダメだと言うその言説は、そうした若者を作った大人たちの仕組みによってできたものだと言えます。が、それに対して文句を言っても仕方ない。今を生きる僕たちは、今生きているこの環境の中から未来を見つめ今後を考えないといけないのです。だからこそ、10代でこうして盛り上がりをみせたことは大人はその思いを汲み取り、僕らもそうだけど次の世代に対して恥じることのない行動をしていかないといけない。

未来の歴史家からしたら、今回の選挙は2011年3月11日に起きた地震以降の大きな国政選挙の位置づけ。それでいて、民主党から自民党へと政権交代がおこなわれた節目な選挙だったと語られます。その語りは、おそらくいまを生きる僕たちが思っている以上のものかもしれません。未来の人たちから見て、いまの僕たちはどう映っているのか。未来の子どもたちに対して、何かよいものを一つでの残せたのだろうか。そうした思いを持ちながら、いまを生きていかないといけない。

今回の選挙の結果が振るわなかったからと言って諦めてはいけない。諦めては意味がない。でも、確実に一歩は歩んでいる。だって、今回で僕たちはさらに色々と学んだから。僕たちでも、声をあげれば少しでも波が起こせてこと。そして、10代の人たちが未来に対して希望をもっているということ。だからこそ、僕たちはこれからも行動していかないといけない。2008年のオバマ大統領が当選したときのキーワードは「Yes We Can」だった。だとすると、今の日本には、「Yes We Do」なのかもしれない。僕はやればできる。僕らが行動すれば未来は変わる。だからこそ、行動しよう。身近なところから一歩を踏み出そう。そこから何かが変わるから。

「Yes We Do」
僕らが行動すれば未来は変わる。未来が変われば僕らも変わる。だからこそ、行動をやめてはいけない。小さな一歩でのその先に未来があると信じて。





2012/12/13

「投票」というアクションをもっと楽しく


週末が衆議院選挙、東京都に住んでいる人は都知事選があります。

ネット選挙の解禁ができていない中、各党色々な方法で情報を発信したりOne Voice Campaignなどの動きが一つのきっかけとなって「せんきょCAMP」や「Teens opinion」、「勝手にせんきょいいんかい」「I WILL VOTE」「デモクラシー2.0」など、様々な動きがおき、多くの人たちが自分たちで社会に対して働きかけをし、これからの未来について考えようと呼びかけなどをしています。

そんな中、個人でもちょっとしたことで選挙への意思表示ができる手段があったりします。ちょっと前に、韓国でもおこなわれたものなのですが、投票所の前で自撮り写真を撮ってそれをSNS上にアップしよう、という活動がありました。若い人が投票に行かない、とよく言われますが、そうじゃないよ、という発信をする一つとして、投票に行ったということの証明を、写真を使ってアップし、まわりに発信するという活動です。いまの日本でおそらくあとひとつ足りないであろうことは、「投票に行く」ということをデザインしなおすことなのだろうと思います。「なんとなくダサい」「面倒くさい」というようなマインドから、「ちょっと楽しい」という意識を向けるためのコミュニケーション・デザインができると、投票や選挙への意識が向けられるのではないかなと思います。

もちろん、自撮りは苦手でという人は、「投票証明書」を投票したときにもらい、その様子を写真にあげる、ということもいいかもしれません。上にある写真のような用紙を、投票が終わったあとに座ってる立会人の人たちに聞くと、用紙をいただけます。ちなみに、過去の選挙のときにも、こんな感じでTweetしたりしてました。





自分の行動ログ的な要素もあるのですが、投票に行った、ということをきちんとまわりに発信し、社会に対して自分の意思を表現することも、個人ができる一つのアクションだったります。誰々に入れた、ということや、誰にあなたも入れてと呼びかけることは公職選挙法に触れるため、誰に入れたということは書けませんが、投票に行ったよということは問題ありません。自分の意思で投票に行き、きちんと責任を果たすことは大事だと思います。誰にいれても、その責任を自分がもち、自分なりの根拠と納得をもって投票してもらえたらと思います。誰に投票するか、投票行為というものに正解はありません。そのかわり、きちんと自分なりに情報などを集め、納得して投票をおこなってもらえたらと思います。

ちなみに、投票証明書自体は各自治体によってバラバラなので、デザインなども違ったりするので、逆に言えば、ちょっとおしゃれなものやデザインが凝った投票証明書があると、投票に行ったことのプレミア感がでるかもしれませんね。また、実はあまり知られていないことかもしれませんが投票証明書を持参すると割引がおこなえるお店や商店が全国にあります。高級ホテル半額、CD割引… 「投票すると割引」セール続々登場 : J-CASTニュースというニュースでもあるように、自治体独自で試行錯誤したりしています。こうした動きがもっと活発化し、「投票に行ってビールを飲もう」とか「投票行った人だけの割引サービス」とか色んなインセンティブがあってもいいかもしれません。

他にも、いまの時代だとFacebookでイベントをたてて、同じ選挙区の人たちみんなで同じ時間に投票所に行こう、というような突発的なイベントにしてもいいかもしれません。住民票が地元に残している人なんかは、選挙のときに地元に変える口実や、地元の友達と会う良いきっかけかもしれません。そうした、投票行為を促進するようなアイディアをみんなでブレストしても楽しいかもしれません。

選挙というのはある意味でお祭りに近いものがあります。自分たちの街や国の代表を決めると同時に、自分が社会に対して意思表示ができる一つの方法です。選挙の肴に、日頃考えている社会の問題について友達や家族と話す機会にしてもらえればと思います。そうして、投票や選挙を少しでも楽しくするための仕掛けや企画、それらを含めた行動デザインを作り上げることから、政治についての興味関心が高まる社会になると思います。

2012/12/11

10代も投票しようーTeens Opinionで投票体験を、そして自分たちで社会をつくる意識をもとう #teensopinion




「10代だって投票に参加しよう」。

日本の法律においては、20歳を超えた成人のみが、選挙権が与えられます。1月の成人式で「君たちには投票権が与えられます」という訓示を受けても、おそらくいまの日本の若い人たちにしてみれば急に投票権をもらっても、という思いを抱くような社会になっているように思われます。

しかし、20歳になった瞬間から政治や選挙に興味をもて、というのはなかなか難しい話。そうではなく、投票するという体験や、政治や選挙になにかした興味をもつ仕掛けや、行動を促すデザインアイデアが、これからもっと大切になってくると思います。One Voice Campaignでも取り組んでいる「ネット選挙運動の解禁」は、まさに、こうした日頃の意識を向けるために、政治の世界とインターネットなどのツールを使い、時代に応じた新しい形の政治参加の仕組みをデザインし直す一つのきっかけとしての活動だと考えています。

そうした中、今回の衆議院選挙の投票がまっただ中ないま、友人であり高校生にして会社を起業した吉田拓巳くんが、10代のための模擬投票サイト「Teens Opinion」をリリースしました。模擬投票といえば、これまでに、高校などの学校教育の現場で政治について学び、実際に投票をしてみるというワークショップをおこなう未成年”模擬”選挙や、前回の衆議院選挙においてTwitterのアカウントを使って模擬選挙をおこなったGood Net Votingなどの試みがなされてきました。




今回のTeens Opinionは、Facebookのアカウントを使ってログインし、ログインすると意見などの書き込みができるページ、そして投票機能がおこなえるサイトです。特徴的なのは、Facebookというほぼ実名で運用されているようなサイトであることの、実際の選挙に類似していること、また、生年月日などから照合し、20歳以下でないと投票できない(なので、投票したい人は、ぜひ現実の投票所に足を運びましょう)という、ウェブならではの現実との相補関係をつくり、10代の人たちに投票体験をするきっかけを提供しています。もちろん、20代の人たちは書き込みなどをして、参加している人たちとインタラクティブに交流することができます。また、サイトオープンにさきだし、様々な分野の著名人から一言コメントをいただいており、僕もコメントをさせていただきました。




こうして、ネットでの選挙活動ができないいまでも、投票を呼びかけようと試行錯誤を試みるサイトや、USTなどを通じ、多くの人たちと対話を通じ選挙の投票率を上げ、自分たちでこれからの民主主義をつくろうと活動する「せんきょCAMP」など、様々なサイトが立ち上がってきました。One Voice Campaignを作ったきっかけも、こうした、ネット選挙運動の解禁のみならず、政治のネットの利用による新しい社会の参画のあり方を示す一つのきっかけをつくり、まさに、No VoiceからOne Voiceへと、僕らが自分たち自身で社会や自分たちの生活について考え、そして行動し、声をあげ、思いを共有した様々な人たちと一緒につくりあげていくような世の中になっていけたらと考えています。そのために、自分になにができるか、面白いアイディアがあれば仲間と共有し、そこから小さくてもいいからなにかアクションをとっていくことで、社会は変わっていくと思います。

ネット選挙が解禁したところで、すべてが変わるとは僕も思っていません。しかし、何かがかわるきっかけにはなると思います。いまの政治の世界にとって、あまりに現状の仕組みは私たちが日頃考えているような仕組みと乖離しています。そうではなく、政治のあり方をアップデートし、いまの時代に政治や社会がどうあるべきか、今一度みんなで考えるための一つに、インターネットがあるのです。そこをきっかけに、僕らがどういった社会をしていきたいか。改めて考えないといけないのです。


誰かが社会をつくるのではなく、僕たちで社会をつくっていく、という思いをもち、多様な考えの人たちと対話を重ねながら社会をつくっていく、これから新しいあり方を担っていければと思います。

2012/12/09

MAKEのこれからの流れ、そして、企業や個人が考えなければいけない“ものづくり”とはーEdge Tokyo Drinksイベントまとめ


12月6日に、二子玉川にあるカタリストBAで、ライブトークイベントEDGE TOKYO DRINKS 02(エッジトーキョードリンクス)が開催。第二回の今回は、テーマが「MAKERS」でした。

3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタルファブリケーションが、近年安価で誰でも使える状況が出てきています。さらに、インターネットの普及などによってオンデマンドでの注文など、様々なインフラ環境も整ってきたこともあり、ファブリケーションが誰でも(パーソナル)なものになりつつある流れになっています。まさに、コンピュータがパーソナルコンピュータとなってきたような、新しい産業革命が起きつつあるのでは?と、元WIRED編集長のクリス・アンダーソンが著者『MAKERS』で言及しているような流れが、本当に起きているのか、そして、そうした時代になってくる中が、僕らが考えなければいけないことはなにか。

世界を変える、産業革命という言葉ではなく、実際に現実に起きている現象をしっかりと見極め、分析することが求められており、今回のエッジトーキョードリンクスは、かなりの盛況さを見せていた。そこで、イベントの様子など、覚えている限りでまとめようと思う。今回は、カタリストBAでの開催ということで、Co-labまわりの人達がゲストとして登壇。ゲストの話したことなどは、多少要約してるので、すべてを網羅していませんがなにかの参考になればと思います。

●イベント概要
【ゲスト】
【モデレーター】
・松島倫明(書籍編集者/NHK出版)『フリー』『シェア』『パブリック』『Think Simple』などの翻訳編集者。『MAKERS』の編集者でもある。
【プレゼンター】
・田村英男(編集者/オライリー・ジャパン「Make日本語版」編集)
雑誌「Make」日本語版や技術書などを出版しているオライリージャパンの編集者。

・飯野健一(ファブリケーションプロデューサー/Ag Ltd./co-lab渋谷メンバー)
エージーリミテッドという、iPhoneアプリなどを開発しているものづくり会社を運営。

・伊藤聡一(CMFデザイナー/rolo. Concept/co-lab二子玉川メンバー)
モノとコトをつなぐCMFデザイナーとして活動。色と素材によるデザインをしている。http://www.roloconcept.com/

・小杉博俊(System Creates Chief Officer/システムクリエイツ/co-lab渋谷メンバー)
40数年間「紙の仕事人」として仕事に従事。新しくものづくりをはじめようとco-lab渋谷に入居した。http://www.systemcreates.co.jp/

・久保田晃弘(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
・梅澤陽明(ファブリケーター/Fablab Shibuya/co-lab渋谷メンバー)
世界的な市民工房のネットワークfablab のfablab Shibuyaメンバーhttp://www.fablabshibuya.org/


まず最初にモデレーターの松島さんから今回のトークの趣旨などを説明。クリスはそれまでWIRED編集長を務め、『ロングテール』『フリー』『シェア』などを書籍を書き、社会の現象についてまとめてきた。今回の書籍はそこから視点を変え、「いままでの10年はデジタル革命の時代であり、これからの10年はリアルなアトムな世界、物の世界に同じような革命が起きるのがこれからの10年とクリスの考えを述べた。

そうした中、今日のテーマでもある「MAKERムーブメント」は、サブタイトルとして21世紀の産業革命、新産業革命とクリスが語るが、その中でも4つポイントがあるとする。

①デジタルファブリケーション 
デジタル工作、工作機器がデスクトップサイズになってきた中で、コンピュータががPCになってきたように、ファブリケーションもパーソナルになってきている
②オープンオーガナイゼーション
ネットの世界でもクラウドソーシングやネットでのオンデマンド発注などがおこなわれている。MAKEの現場でも、世界の工場とインターネットでつながり、受発注をおこなうことができる。それによって、いままでと違うものづくりのサイクルになってきている。
③ファンドレイジング
これまで、製造業は資材や工場など、多くの資金が必要としていた。しかし、Kickstarterなど、ネットで資金を調達する方法が多くなり、試作の段階でも資金の調達をおこなうことができる。ファンドレイジングができる環境が、一つの革命のきっかけにもなっている。
④オープンソース
ものづくりそのものもデジタルなってきたことで、フリーやシェアの中で、オープンソースファブリケーション、Co-Creationなどの現象がみられるようになった。一人ではなく、みんなでやっていくことでイノベーションが起きてくるのでは。

という4つのポイントについてまとめた。それらを踏まえつつ、今回のゲストの方々が日頃取り組んでいることや、それらを踏まて、今後どうなっていくか、トークセッションがおこなわれた。

オライリーの取り組みとMaker Faire

田村英男さんは、オライリージャパンの編集長 をつとめ、雑誌『Make;』日本語版やMAKEカンファレンスなどのイベントを手がけている。

我々は、テクノロジーを消費するだけの存在ではなく、テクノロジーを創造する人間、「Maker」にもなれる。
デール・ダハティ(Make日本語版 Vol.1より
2005年に創刊したMake;創刊号を持参し、2006年に創刊したMake;日本語版について話をおこない、Make;創業者のデール・ダハティの言葉を引用し、誰しもが「Maker」になれる時代がくると語った。今の時代は、iPodやゲーム機などハッキングできるデバイスの登場によって、ソフトウェアだけでなくハードウエアにもハッキングな発想がもちこまれるようになったとし、電子部品が安く手に入る環境によって、企業だけではなく個人でも安く作れる時代がきたと語る。

そうした中、オライリーメディアは、他にも、オープンソース系の技術のメディアを出版している。オープンソースのカルチャの中において、技術情報などをオープンにしていく思想が、その根底にはある。当初は、Arduinoなどの技術書は メディア・アートなどの分野から、教科書としても購入されるケースが多かった。他にも、日本語版独特の編集部『Made by Hand』『こどもが体験すべき50の危険なこと』『Cooking for geeks』など、考えさせる書籍も出版している。
ものをつくると、かならず失敗する。そこから学ぶことがある。もっと失敗しよう、ということを示すために、こうした書籍は出版している。
先日科学未来館で開催されたMaker Faireでは、例年以上の盛り上がりをみせ、多くの来場者がメディアが取材をおこなった。イベントの来場者や参加者が伸びた理由として、①Makeは様々なコミュニティが参加しやすい環境であり、様々な分野の人が参加したこと②初期から参加者にOSS(オープンソースソフトウェア)コミュニティ関係者が多く、情報共有に積極であったこと③ウェブなどのエンジニアがモノをつくりやすい環境が整い、プログラミングの腕で作れるものやウェブと連動した作品などが多く登場したこと、④ブログやTwitter,ニコ動、Youtubeなどを通じた情報共有の普及とシンクロしたこと⑤来場者ー出展者ー出展者同士のコラボという流れなど、参加だけでなく、そこから一歩踏み込んだ巻き込みの仕方などがみられた、と語った。



AGが取り組むプロダクトの現場について

飯野健一さんは、AGという会社を運営している。その会社のコンセプトは“its more fun to iphone”。今回は、ファブリケーションプロダクトである光るイヤホンアクセサリー「pina」を紹介した。スライドをあげさげして、キャラの光量を調整するプロダクトで、光のコントロールなどを楽しむことができる。

また、ただの製品ではなく、パーツを組み合わせ、自分で作る体験も特徴の一つ。「ぴかぴかPina Kit」として、組み立てるところから楽しめるデザイン。また、ユーザだけでなく飯野さんら開発者らも自分たちで一つ一つハンダ付けなどをして作っていく。colabでレーザーカッターでカッティングしたりと、まさにすべてがDIYなプロダクト。「いままでのものづくりと違う作る側もDIY買う側もDIY」と飯野さんが語るその理由は、企画し、製造し人々の手に届けるまで その全てをワンストップでおこない、開発者の思いや熱を純度高く保ち、全部自分たちでやっていくことが、一番プロダクトにとっていいのでは、という考えからだ。

プロダクト開発のアイディアも、単なる飾りではなく、アプリと連動し、何かの動きを表現できるようなものがあればというところからだ。iPhoneやiPadなどのマルチタッチインターフェイスは、たしかにタッチなどがおこなえるが、身体性に欠けるのでは、ということから自分で作り上げることの楽しさを知ってもらいたいという考えだ。しかし、もともとアプリ開発をおこなってきたがハードには携わっていなかった。そのため、ハード開発のためのチームビルディングをスタート。ハードウェア製造ができる人をTwitterで募集し2011年2月からスタート。

そして、テクノ手芸部吉田さん監修や、IAMASの学生などを巻き込み、ものづくりを開始。ソーシャルメディアの活用などで一年半で形になったと語る。そして、今年のYahoo! JAPANスマートデバイスAppで賞をとるなど、評価を得てきた。また、セールス自体も外部のサイトを使うのではなく、自社のECサイトを運営。今後はクリスマス用のデバイスの開発をおこなうなど、季節やオーダーにあわせた開発もおこなっていく、とのことだ。



CMFという視点からものづくりに取り組む

伊藤聡一さんは、CMF creatve kitchen rolo. Conceptを運営している。CMFとはカラー・マテリアル・フィニッシュの略で、プロダクトや建築、インテリアなど様々な商品の色や素材、質感などをデザインする存在。欧州では20年以上前から研究されてきているが、日本ではその存在がまだまだ浸透しきれていない。

伊藤さんは、ものの内側を知りたくて、プロダクト・デザインを専攻した。その後、色などのデザインを追求するうちにCMFという概念と出会い、実感や体験を重視し、人々の不便や不都合の価値を提供する存在として、独立。

もともと日産のデザインをおこなっていた伊藤さん、メーカー視点とマーケット視点の両方からプロダクトについてデザインし、色彩(見る)、素材(触る)、そして仕立て(使う)という3つの観点から商品開発をおこなう。「モノとコトをつなぐ仕事」と語るように、商品に対してあらゆる視点から商品を分析していく。

伊藤さんは、クリス・アンダーソンが語るBit(情報)とアトム(物質)に、さらにPhoton(光)を付け加えたいと言う。ものの光の要素によって、情報や物の質が測れるのではと語り、デザインの重要性などが、これからのものづくりでも考えなければいけないと話した。

来年以降は、co-lab西麻布にて、Quration-United.Libというプロジェクトをスタート予定。素材メーカーやクリエイターの人たちと一緒に活動していくとのこと。



企業から個人へー50年のものづくりの人が取り組む新しい挑戦

小杉博俊さんは50年間「紙の仕事人」として働いており、紙素材を中心としてものづくりをやっていた。1942年生まれで65年にぺんてるに入社。その後、様々な紙製品のイノベーションをおこしてきた。幻の商品として紹介したのは、電子レンジ発紙。電子レンジでも耐えうる紙製品を作るも、お蔵入りになった製品だ。他にも、バッグナチュラルやCDを包むためのソフトビーズ加工紙、出雲大社神紙などを作成。MAKERという言葉が出来る前から、MAKERとして企画提案から製造請け負いまで実施していた人。

ぺんてる時代には幼稚園の教材、車のボデイカラーを立体的にみせる製品などを制作。オムロンなどのデジタル温度計は、それまで水銀体温計だった体温計は、病気の時以外に使用する機会がなかったものを、常日頃のデータとして記録するもの、という視点から制作。また、体温計にけんおんくんというネーミングをつけるなど、製品開発における新しい視点をもたらした。

「世の中にでていないものを、日本初を作りたかった」と語るよ小杉さんは、いまやアプリを制作するなど、様々な分野での開発をおこなっている。70歳になる前に、とある方との話から気づきを経て、70歳すぎてから新しいことに挑戦したいと考え、先日からco-labに入居。これから、新しいものづくりの実験をしていきたいと語る。紙を3Dスキャンした3D紙見本帳を開発したりしたい、と語った。

前述の伊藤さんと一緒にQuration-United.Libに参画し、素材を活かした新しいものづくりに挑戦していきたいと語った。



世界の市民工房Fablabから生まれるコミュニケーション

久保田さんと梅澤さんは、Fablab渋谷で日頃働いている。梅澤さんは、もともともともとエンジニアとして活動していたが、町工場がこれからどうなっていくかということを研究するところから、Fablab JAPANの田中浩也さんのところに行き、そしてFablab渋谷をスタートした。

Fablabは世界的な市民工房のネットワークで、3次元プリンタやカッティングマシーンを備え、あらゆるものをつくる市民工房として世界135箇所にあり、すべてのFablabとやりとりをおこなえる。世界中の人達、ものづくりに携わる人たちとコミュニケーションをおこなうことで、それまで知ることのなかったテクノロジーや気づきを得ることができると語った。「人の出会いの場としてFablabがある」と梅澤さんが語るように、人との出会うを通じ、新しいものづくりの体験を生み出す場だ。

Fablab渋谷は、Co-factoryとして機材がある工房スペースを持っており、Colabの入居者スペースが利用できるようになっている。レーザーカッター、3Dプリンタ、ソーイングマシーン、ペーパカッターなど、機材をこれからもっと用意していくとのこと。そうした、市民工房からものづくりをはじめ、そこから本格的な製品を行いたい人たちに向けて、企業と連携し、より精度の高い製品づくりができる人たちを紹介し、そこから新しい造形がうまれていく可能性を示唆した。

梅澤さんは、今の時代だからこそ、「なぜつくるのか、どうしてつくるのか、ということを考えてもらいたい」と、ものづくりの原点の発想をもってもらいたい、と語る。人は、ほしいものと必要なものという2つの欲求があり、必要なものは、その人にとって課題を解決するものである、とする。かつて途上国である東ティモールでも活動していたときに、途上国の人たちと一緒に活動していく中で、本当に必要なものを必要とする人に届けていくことの大切さを感じたと言う。MAKERSは、これを改善するものとしてあってほしいとし、課題のシェアをしていき、じっくりと課題に向き合うことで社会にとってインパクトが与えられるのでは、話した。



また、イベント中には、3Dプリンタの実践もおこなった。開発しているアプリで、オリジナルのアクセサリーがつくれる、というものだ。その日の惑星の位置を算出し、その形のイヤリングがつくれる、ということで、会場から一名の希望のプロダクトをライブで制作するなどした。



トークセッションー個人、企業がこれから考えなければいけないこと


ゲストのプレゼンが終わり、パネルトークへと移った。日本のものづくりについて、いまや様々なところで声があがっている。そうした中、ビジネスの視点からは3Dプリンタだけで革命はおきないと話もある。また、ものづくりをこれまでやってきた人たちからしても、自分たちのDIYで進めていくことが主であるからスタートアップな発想ではないという意見があるなど、MAKERSムーブメントと一言で言っても幅があるのではという疑問からスタートした。

fablab久保田さん
「3Dプリンタ自体は20年前から存在しており、なんら新しい技術ではない。当時、ポスト大量生産の製造に関する研究をおこなっており、その頃からプリンタを使用していた。当時は一台2000万円程度はかかり、大量生産以降のモノづくりについて、あらゆるところであらゆる人が研究していた。そこから、200万円台にまでスキャナも進化し、またその頃からウェブで共有する文化が登場し、ウェブの進化とテクノロジーの進化がクロスし、コストダウンが図れたことによって、こうした時代になったのでは。まさに、パーソナルコンピュータが広がったのと同じ現象で、3Dプリンタにもおこるのでは。だからこそ、僕らがどうしていくかをしっかりと考える必要があり、まだまだいまの状態は一過性なものにすぎない。

松島さん
「技術が新しいのではなく、誰でも活用できることで生まれる変化が大きいのだと思います。社会がどう変わっていくか。プロトタイプのやりやすさについて飯野さんはどう思いますか」。

飯野さん
「pinaのデザインなど、いままでは紙の上でやっていたものが、レーザーカッターで切り出しできるようになった。そうすることで、デジタルじゃなくものとして提示できることはすごく大きい。プロトタイプを繰り返しつくっていくことで、より精度をあげられられる。また基盤やキットなどは香港に発注をかけており、まさにクラウドファクトリー。ネット経由で注文し、基板用の入稿データを送ったら、あとは来るのを待つだけ」。

松島さん
「バズっている3Dプリンタも、まだまだ進化している途中であり、問題もあることにも気づかないといけないと感じる。そうした意味で、MAKERムーブメントの一端でしかないのでは。ネットワークやネットで発注、一緒にコミュニティで開発などおこなうことで、個人やユニットでも世界の工場を動かせるようになった。小杉さんは、もともと大企業にいた人がなぜ個人で?企業としてのやりにくさ、個人のやりやすさはありますか」。

小杉さん
「もともと、紙は自分で何回も作り直しができ加工しやすいということから魅力にはまった。他の成形品だと試作が難しい。世の中に無いものがコンセプトでやってきたが、いままでそれができなかった。メーカーに提案しても1000に一つくらいで提案が通るようなもの。いろんな物がでてきた中で、いまはできなくても、できる時代がくるのではと思っていた。そうしたときに、家庭用インクジェットをつなぎあわせて製本する機材をつくった人がいて、それによって何千万かかっていたものが何百万になった。知恵を使うと、安い機材でも生産できるようになることを垣間見た。そこで、独立し頑張っていこうと思った」。





技術とニーズのマッチングのこれから

松島さん
「2010年代から、アメリカではKickstaterでのクラウドファンディングが盛んで、そこではプロダクト系が多く、賛同して、ファンドレイジングして作られる。Kickstarerが顕在化させてのは、欲しがっているという欲求。そうした欲求に対してすぐにお金が集まった。みんな、欲しいと思ったものに対して、欲しいと言える環境ができた。逆に、なぜいままでそれらができなかったのか。特許をもっている人や企業はなぜ、つくらなかったのか。そうした意味で、技術とニーズのある意味でのミスマッチが顕在化したのではとも思います」。

伊藤さん
「独立する前は大企業にいた。会社のなかで求められる表現や形あるが、そこで語られる中身は事業の内容に限定された範囲になってしまう。それはもちろん仕方ないことでもある。自動車だったら自動車の言語。しかし、外にでると幅は無限にでてくるようになった。MAKERSムーブメントにおいても、様々な幅があり、玉石あると思うが、3Dプリンタみたいなものがでてくるもので、頭の中にあるものが具現化できるようになったのはいい動きだと思う」。

久保田さん
「3Dプリンタの多くはABS樹脂。しかし機材によっては金属や、材料をハイブリッドさせたものもでてきている。まだまだ技術革新の途中。また、ベルギーにあるプリンタなら人体サイズの大きさも作れる。逆にナノテクノロジー的に小さいものを作るバイオプリンタなど、プリンタができる幅も、次第に進化してきている」。

伊藤さん
「コモディティ化ではなく、どこか特化したものをつくりたいですね。荒削りなものでもいいので、自然的なものを求めるようなものに携わりたい。いま、山梨県の宝飾品をつくられている人たちのお手伝いしているが、直接石を削るとお金かかり時間もかかるが、そこにプリンタが利用されたりしている。まさに、伝統産業が使って検討している現場もある。効率化と、オンリーワンなものが交差している時代の印象を感じます」。



ものづくりとビジネスの関係について

松島さん
「ネットを最後に出口にすることで個人で販売できる時代になった。お店でなくても、自分たちで作って自分たちで販売していく。Etsyなどの登場も大きい」。

飯野さん
「pinaはAmazonでも売っている。確かに販路はEtsyなど色々出てきています。そうした意味で、販売の障壁は低くなってきてる。Pinaは最初はメーカーにもっていったが企画決まらなかった。メーカーの予算や社内事情、販売ロットの関係など、考えることが多かった。そうした意味で、意思決定のスピードにおいて、自分たちでつくったほうが早いのでは、ということだった」。

松島さん
「Maker Faireがすごく盛況だった。出店の人にこれ、売ってる?って聞くと、売っていないことも多かったが、商売っけがある人とない人で、ない人が多い印象だったけど、出店する人の意識やビジネスとしての距離感などをどう感じているのでしょうか」。

田村さん
「できるだけ売って欲しいとは思っている。今回、それまで出店料無料だったがレギュレーションを変えた。企業やメーカーは、専用に場を設けていたが、個人と事業主の違いがあいまいになってきたので、売るか売らないか、ということで分けた。ひと通り見ていたが、ほとんど高い金額で売る人はいなかった。それでも、販売は、増えてきている。企業はもちろんだが、趣味で作っている人が、販売している人もいて、徐々には変わってきている」。

松島さん
「Kickstarterを見ると、お金を集めるだけでなく達成するかどうか、人気があるかという事前のマーケにも使われていて、ニーズの顕在化が測れる。また面白いプロジェクトは拡散され、お祭りなものになっていく、そうしたダイナミズムを感じるが、日本ではどうでしょう」。

田村さん
それらを促進する動きが起きてもらいたいです。しかし、あまり無理がないよう、自然に売りやすい環境を作っていければ。イベントとしてはしっかりとつくっていくことで、それらは自然にまわっていくのではと感じます」。

松島さん
「Fablabには、ビジネスを見越した人も来ますか?」

梅澤さん
「来るときあるが、やはり多くは本業ある人が空いている時間で、というのがほとんど。開発については、ニーズのマッチングをはかり、マーケットインになってファンがついて、いずれ本業になっていくということは起こると思う。そうした卵な人はいる。1000個ではなく50個などでつくったりして徐々に作っている。企業も、外注せずに自分たちで作ったり切ったりして、新しい素材の活かし方などを模索するなど、企業としても、自分たちで考えようとしている動きが起きている」。

松島さん
「そうした意味で、インキュベーションの部分も今後大事になってくると感じる。co-labなどでつくるように、同じ場にいることでビジネスができるダイナミズムもおこる?]

小杉さん
「まだco-lab渋谷に来て2週間程度だが、その中で見ていても商売っけがいない、だろうなという人多い。そのかわり、自分がつくりたいものをつくりたい、と言う人が多い。そうした意味では、デジタルファブリケーションをうまく使うのは、街の発明家が盛り上げていくのではと思う。たまに、アイディアマンや試作をもってくる人がいるが、まだまだ荒削りな人がほとんど。でも、ものの作り方を教えることで、商品化の形の持っていける可能性は大いにあると感じる。だからこそ、アドバイスだけでなく、一緒につくっていくようにしていきたいと思う。発明家は、商売っけが多い人たちが多い。だから、ネットで新しいことを配信して、世の中にでてくるのでは。もしかしたら、クリエイターが負ける時代にるかもしれない」。




渋谷という街から、新しいものづくりを見つめ直す

飯野さん
「渋谷でやっている意味を考えていることがある。渋谷という意味。すでに、デジタルファブリケーションの建物いくつかあるし、コワーキングスペースなど、渋谷に多い。それはなぜか。僕はらのような世代は、1980年代んp渋谷のサブカルを経験している世代。だからこそ。渋谷という年の文化の発信力を経験している人たちで、それが原体験になっている。2000年代になってファストファッションが多くなったりしてつまらない街になってきたのではと感じるからこそ、今の時代においてものづくりの軸で渋谷の発信力を高められるのではと思っている。ちょうど先日タワレコがリニューアルし渋谷の場所からなにを発信していくか、タワレコ考えている。放送局のDIYのスタジオをつくり、渋谷から世界に発信し、パッケージとしてCDを買ってもらう経済性をつくり、循環をつくろうという実験をDOMMUNEと一緒につくっている。一方、MAKERSも、Co-fablicationの文化の中で、どういうムーブメントをつくっていけるのか。まさに課題」。

梅澤さん
アイディアからアイディエーション。そしてオブザベーション、ファブリケーションへとつながっている。ますます、自分たちの描いているものを形にできる時代。渋谷にいろんなものが集まっているからこそ、頭のものを具現化し、形にできる様々なポテンシャルにがある。だから渋谷にあるのではと思う。Fablabも、来年から街(渋谷)のプロトタイピングの実験プロジェクトをおこなっていく。みなさんが思う渋谷をプロトタイピングしよう、というイベント。そうした意味で、ますます街が面白くなっていく時代にも重なる」。

松島さん
「MAKERブームの中で、日本中の固有の場からカルチャーでてきている。渋谷から、メーカーブームとあわさって新しいものがくる予感がする」。




企業と個人のものづくりの新しい可能性

ここで、会場からの質問。質問は、メーカーに勤めている人からの意見があり、大企業が、こうしたMAKERの動きとどうコラボしていくか、ということが論点になった。

Q)消費者だと思っていた人たちが作り手になってきた。そうなってきたときに、ユーザは企業になにを求めてくるのか?

田村さん
「オライリーとしては、企業に対しては製品の情報を公開し、改良しやすいものを作って欲しいと思っている。もっとMAKERフレンドリーな製品をつくってほしい」。

久保田さん
「当たり前だが個人のMAKERがつくれないものもある。例えば冷蔵庫などはまさに。だから。企業は製品の情報を公開し、あらゆるユーザが中が見れて、自分で直したり改良したりする動きが起きて欲しい。争うのではなくお互いが仲良く、つながっていけるようなもの。まだまだ製造業は技術をもっているため、そこに個人のアイディアなどと融合することでの可能性はあるのでは」。

Q2)企業のデザインで働いているが、デザイナーはどういった仕事になっていくか?デザインは必要か?

伊藤さん
ものをつくれる形だけだと、誰でもできるが、そこから先がデザイナーの仕事。つまり、コンテキスト。なぜその製品を作ったか。ストーリーをつくらないとただのモノになってしまう。自分のものづくりは、それらを提供していく。それを考えないとデザイナーは一般化してくる」。

松島さん
「大量生産はストーリーがない。そこにコンテキストがあったり、作り手の顔が見えたり。そこにデザイナーの余地はある。なぜつくるのか、ということを考えないといけない」。



大手企業も、まさに変わろうとしている動きも起こっている。もちろん、すべての情報を公開することは難しくても、出しても問題情報、出してはいけない情報を精査しつつ、できるだけオープンであることによって、新しい可能性が開かれるのでだろう。今回のトークでも、個人のものづくり、そして、企業としてのものづくりのあり方を考えさせられるセッションで、大いに盛り上がった。

今後、ますます盛り上がるだろうMAKEの動きを、しっかりじっくり分析していきたいと思う。

【関連書籍】


また、当日の様子は、USTREAMで動画で録画されている。こちらも御覧ください。



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2012/12/07

Googleがネット検閲反対を訴える特別サイト「Take Action」を公開ーインターネットについて今一度考える





Googleが、政府によるインターネットの検閲反対を訴える「Take Action」プロジェクトを公開した。

このプロジェクトは、12月に開かれる国連の機構である国際電気通信連合(ITU)において、インターネットを規制する動きを進めようとしている動きに対して、「自由で開かれたインターネット環境への支持を表明しましょう。」と、支持を訴えるものです。

自由で開かれた世界は、自由で開かれたインターネット環境によって実現します。インターネットの将来は政府だけで決めてよいものではありません。インターネットを利用する世界中の何十億もの人々の「声」を反映させる必要があります。

インターネットが、誰もがアクセスし、自由な表現がおこなえる空間であるとし、政府などに対して規制が入ることなく、インターネットを利用する世界中の何十億もの人々や、インターネットを構築、保守している専門家たちの意見を反映させる必要がある、と主張しています。

ITU で発言権を持つのは政府だけです。その中には、自由で開かれたインターネット環境を好ましく思っていない政府も存在します。 技術者、企業、そしてウェブを作りウェブを利用する人々には投票権はないのです。ITU は秘密主義でもあります。条約の協議や法案は機密扱いで非公開となっています。

とあるように、インターネットの規制が、非公開の場で秘密裏に決定されることに対して、NOを突きつけています。

また、特設ページ「 #freeandopen 」において賛同やコメントを呼びかけ、世界各地で賛同者が集まっており、その様子をサイトに公開しています。すでに、世界で300万人以上の賛同が集まっています。

このITUの動きが、ITU会議、インターネットの監視を強化する勧告を採択 - CNET Japan にあるように中国が提案した非公開の勧告を採択した、とあります。これによって、政府の介入やインターネット検閲が加速するのでは、という懸念がされています。

こうした動きは、電話やFAXの登場によっても、おこなわれた動きに似ています。もちろん、インターネットという存在や、その概念自体は誰しもが共有し、オープンでパブリックなものであるべきであり、個人の自由や人権、プライバシーの侵害をそこなってはいけない存在だと思います。

そうした意味において、インターネットという誰もがアクセスでき、誰もが情報を発信できる環境に対し規制を書けることに対しては、僕自身も賛成です。また、あらゆる人たちがアクセスし、小さな一歩から社会を変えていく力を特にここ数年の「アラブの春」や「Occupy」などを見るように、個々人や集団の主張や弱者に対する武器として機能しているという面もあります。

と同時に、「オープンで自由」という側面は、責任や義務を負うことにもなります。個人情報やデマや成りすましなど、犯罪の温床や間違った情報に対して、規制をかけれず、気がついたら取り返しのつかない問題に発展する可能性も秘めています。



インターネットというネットワークは、よく例えにもあげられるように、包丁と同じく、使いようによって課題を解決するためのツールと同時に、何かしたらに危害や損害を与えるものにもなりかねません。そのツールを使う僕らが、どう使いか、で使われ方が変わってくるのです。

もはや、インターネットは一般の人達にまで普及し、社会にとっても大きなインフラとして機能しています。そうした意味において、「表現の自由」「言論の自由」といった自由を所持したと同時に、それに相反する個々人の意識において自分が関わっている情報ややりとりにおける責任や義務が伴ってくる、ということも考えないといけません。検閲といった、個人の自由がそこなわれる規制に対しては反対だが、個人の意識やマインドにおいて、相互によい環境をつくっていこう、という文化が醸成されなければ、規制や検閲に対してのなにかしたらの対処の必要性はありうるのかもしれない。

だからこそ、規制かそうでないか、という二元論ではなく“僕らがインターネットとどう付き合って行きたいか”ということを考え、議論し、まわりの人たちと対話をしながら、考えていかなければいけないと思います。

また、同時に、Google やYahoo!日本では楽天やGREEやDeNAなど、インターネットのサービスに関わるすべての人たちや企業、また、インフラの構築しているようなサービスをおこなってる企業は、自分たちが社会に及ぼす影響や意義を考え、今後のあり方などについても、しっかりと考え、安直な判断をしないよう、お願いしたい。

誰しもが平和で豊かな社会を過ごせるよう、企業も僕ら自身も考えていかなければいけない。

2012/12/05

精巧に作られた惑星ショコラを見ながら、宇宙に思いを馳せる


先日、仕事で大阪に行く機会があり、そのときに、以前友人が「惑星ショコラ」の話をしていたのを思い出した。

惑星ショコラは、大阪のリーガロイヤルホテルで販売されている太陽系8惑星をモチーフにしたショコラで、ものすごく綺麗で精巧に作られており、職人の技術と本物そっくりな太陽系な姿に、ギフトにぴったりなものだということで、実際に直接見に行ってみたいと思い時間を作って行ってきました。




大阪リーガロイヤルホテルは、中之島駅直結のところで、大阪駅から少し西に行ったところ。ホテルの中は、地下にプティックがあったり一階にAudiの車の展示などがしてあり、なかなか豪華な場所。で、そのホテルのロビー奥の右側にいくと、惑星ショコラを販売しているショコラブティックレクラがある。



着いた瞬間にすぐ分かる、精巧な技術で作られたショコラが、すぐ目の前に広がります。外をホワイトチョコレートでくるみ、中に紅茶、コーヒー、ナッツ、スパイスなど、味の変化とバリエーションに富んださまざまなジャンルが、その太陽系に模したデザインで展示されていました。


近くでみても、その精巧さはびっくりします。2007年以来、ずっと変わらない人気を誇っているとか。


で、単品でも買えるけど、やはり買うなら太陽系が並んでいるパッケージをおすすめします。水星、金星、地球、火星…と、昔、水金地火木土天冥海と覚えたまさにその順番で並んでいます。
パッケージものは、太陽があるものとないものとあるみたいです。


あと、惑星以外にも「隕石」を模したショコラがありました。これは、中にジャムが入っているみたいです。


なかなか、隕石のほうも見てるとぐっときます。


もちろん、ショコラなので、食べなきゃ意味ないのですが、食べるとこれまた美味しかったです。味は、食べてから感じてください。

見るだけでも、十分満足してしまう惑星ショコラ。店頭では、ここ大阪リーガロイヤルホテルでしか買えないみたいですが、オンラインショップで、一部買えるそうです。パッケージで買えるので、ギフトとかにいいのではないでしょうか。

こういう、ちょっとした贈り物に、宇宙な話や、遠い未来や星について考えながら、誰かと食べる、というのもありなのかなと思いますね。

とかく、都会に住んでると日頃星や空を見なくなる機会があったりします。しかし、人間って空や宇宙という遠い尺度のものを見て、感じながら、色々な妄想に耽ることで、頭を切り替えたり、すっきりさせたりすることは大事だと思う。宇宙という広い広大なものの中では、自分の考えのちっぽけさや、目の前で繰り広げられている出来事の小ささから脱却し、広く大きな視点で物事を見ることの大切さを覚えます。

宇宙を見る機会、そして、惑星や空を感じる一つのきっかけとして、惑星ショコラの精巧さを見ながら、考えに耽ってみようと思う。






2012/12/04

投票率をあげるためにコミュニケーションは何ができるかーせんきょCAMPが作るオープンコミュニケーションの動き #senkyocamp


greenz発行人の鈴木菜央さんや、暮らしかた冒険家 hey,meotoの伊藤菜衣子さんらが、選挙にあわせて活動をはじめた「せんきょCAMP」。

「選挙の投票率の低さは、コミュニケーションの領域の問題」として、コミュニケーションの力で、選挙や政治について、みんなでなにができるか、オープンな場で熟議をおこなうイベントを、毎日おこない、その様子をUSTREAMで配信し、TwitterやFacebookでも発信しながら議論していく、というムーブメントです。

投票は、僕らが政治にアクションをおこなう一つの方法です。同時に、選挙以外の日頃の行動の中で僕らがどういった意識をもち、そしてまわりの人たちとコミュニケーションをとり、社会について考えていくか。その答えは誰もわからないし、唯一な答えは無いと思います。あるのは、対話やコミュニケーションを通じて僕らの意識をシフトしていくことなのだと思います。


One Voice Campaignをきっかけに、様々なところで声を上げる動きがでてきています。こうした、自分たちができる範囲の中から少しづつでもいいので、まわりの人たちを巻き込みながら動きがおきていることは、こうした過程を通じて、自分たちで社会に参画していくまさに途中なのだと思います。

こうした動きが、今後様々なところで起きてくることを期待し、同時に、自分がなにができるか考えていければと思います。

また、初日の様子などUSTREAMにアーカイブやTogetterまとめ『オープニングトーク「せんきょキャンプがやりたいこと」』がされています。こうして、放送するだけでなく、動画のアーカイブやTweetのまとめをすることで、しっかりと記録に残していくことも、ネットの時代にとって大切なことだと思います。

しっかりと、ログを残すことの重要性は、イベントやムーブメントにとっても、すごく大切な要素だと思います。見逃した人も、ぜひご覧を。



Video streaming by Ustream

せんきょCAMP渋谷


選挙を機会に、僕らも変わらないといけない

12月4日で、衆議院議員選挙の公示日ということで、選挙がはじまりました。

「僕らの声を政治に届けよう」という思いからスタートしたOne Voice Campaignも、もともとも目的でもあった2012年度の国会会期中に公職選挙法の改正ができなかったのは、残念でしたが、One Voice Campaignがもたらした動きや、自分たちで声をあげ活動しようという思いは、少しでも多くの人たちの意識に投げかけができたかと思います。11月29日におこなったシンポジウムでは、ネット選挙運動含めた、インターネットと政治の新しい形を、議員や有識者たちと模索する話ができました。もちろん、議員の人たちもそうですが、話にあったのは僕や一般の人達も、政治含めた社会に対し意識をもたなければいけない、ということも印象的でした。






日付かわり、12月4日からは選挙期間。12月16日の都知事選、衆議院選挙の投開票まで、立候補している人たち、そして、有権者も、選挙活動とみなされるインターネットの活動に制限がかかります。そうした、いまの時代にそぐわない状況を、体験することになるかもしれません。

ぼくはよく思うんです。iPhoneなどがOSをアップデートするように、様々な分野もOSをアップデートしなければいけないのでは、と。OSをアップデートする、ということは、仕組みを今一度見直し、そして、いまの生活や時代に適応した形に変わって行かなければいかけない、と。

「変わらないために変わっていかなければいけない」と、誰かが行っていたように、変わること、変化をすることで、もともと持っていたものの本質を次の時代に残し継承していけるものだと思います。

ものづくりの現場や伝統工芸品や伝統芸能などの分野でもおこなわれています。政治の世界だけが、変わらなくていい、というものはありません。

その、仕組みをどう変化させ、そして、社会をつくっていくか。そのために僕ら自身も考え、そして対話や議論を通じて一緒に考えていかないといけません。誰も答えをもっているわけじゃない。もちろん、僕も答えをもっているわけじゃありません。でも、「僕はこう思う」「もっとこうしたほうがいいのでは」と思い、そして、それをまわりと共有しないと、なにもはじまりません。

だからこそ声をあげ、行動し、そして自分たちの手でつくっていくという意識をもって歩いていかないければいけません。答えはないけど、あるかないと道すらできない。だから、歩きながらでもいいから考え、行動しよう。そのために、いまできることをやっていきけたらと思います。

選挙のそのひとつ。投票行くコト、そして、投票に行ったということを当たり前にようにまわりと話すこと。そして、自分たちの社会をどうしていきたいか。そうしたことが、もっと当たり前に話せるようになるために、自分で考え行動できたらと思います。


One Voice Campaignでも、署名プラットフォームのChange.orgで、先日からキャンペーンを立ち上げました。
キャンペーン | 全政党党首へ:2013年度における通常国会において公職選挙法を改正し、インターネットを利用した選挙運動の実現を! #one_voice | Change.org

署名も一つのアクションです。と同時に、署名して終わりじゃなく、署名したことをきっかけに、そこから自分自身で考え、どうしたら目的が達成できるかを議論し、考え、仲間とアクションを起こしてもらえればと思います。そのアクションに、僕も応援するし、一緒に考えていきましょう。


2012/11/29

いつでもどこでも綺麗な画像を持ち歩こうー500pxにiPhoneアプリが追加


世界中の様々な風景や人物を撮影するPhotographer。その、Photographerの鮮明な写真が多く投稿されている写真共有サイトに、「500 px」があります。

500px を眺めるだけで、ココロが癒されます。例えばこんな風にです。

世界のトップクラスのPhotographerの技術やその美しい写真を見ながら、世界のあらゆる様子を感じ、そして、想像力やクリエティブは思考を高めるのに最適です。

そんな500 pxに、ついにiPhoneアプリが登場したという連絡がきたので、テンションがかなり上りました。


ぜひ、iTunesからダウンロードすることをおすすめします。ちなみに、無料でダウンロードできます。こちらからどうぞ。

2012/11/26

12月14日「あしたのコミュニティーラボ」にて、働き方に関するテーマのイベントに出演します


これからの「働き方」ということについて、色々なところで議論されるようになってきました。それはなにも、個人とかフリーランスの問題だけでなく、企業においても、企業内における社会のイノベーションや、社内におけるリソースの見直しや、新規事業立ち上げにおける社外のプレイヤーとの交流やコミュニケーション、プロジェクトにおける運用やマネジメントなど、分野やジャンルや業界を横断するような動きが起きてきました。

その中で、それぞれのプレイヤーに応じて、環境やツールや考え方、日々の過ごし方などが、これまでとは違ったあり方が時に問われるようになってきました。それに応じて、インターネットの一般的な普及や、TwitterやFacebookなどのSNS,ChatworkやサイボウズLiveなどのコラボレーションワークツールなど、様々なタスクツールなどを用いて、いつでもどこでも仕事ができたり、世界の情報を一瞬で調べることができる環境になってきました。

そうした中で、これからの社会がどうあるか、そして、その社会で生きる自分たちがどのようにして生活し、日々を過ごし、働いていくか、ということを、これまで以上に考えなければいけないのではと思います。

そうしたことを考え、日々連載や記事や企画などを仕事にしている中で、今回、12月14日におこなわれる「明日のコミュニティーラボ」のイベントにゲストとして登壇させていただくことになりました。働き方研究家の西村佳哲さんや、コクヨのWORKSIGHT編集長をされている斎藤敦子さんなど、日頃から企業や個人として「働くとは」ということをお考えになっているお二人と登壇するということで、20代としてのいまの生き方や、僕なりにこれまで過ごしてきた中で感じるこれからの「働き方」などについて、参加者とインタラクティブにやりとりができればと思います。

ぜひ、興味のある方はご参加ください。
ーーー以下、概要です。ーーー

あなたにとっての理想の働き方とは?
12月14日(金)、「あしたのコミュニティーラボ」では、働き方研究家の西村佳哲さんをモデレーターに、コクヨ株式会社でワークプレイスの研究を続けてきた齋藤敦子さん、協働・共創を生むコワーキングも含めたこれからの働き方・生き方を追い続けながら、自ら日々実践も行っている編集者の江口晋太朗さんをお招きし、「働く」をテーマとするワークショップを開催いたします。タイトルは、「理想の働き方のために。コミュニケーションから〈シゴト〉を考える」。ご自身の働き方を問い直したい方、組織やチームのあり方を見つめたい方必見の内容です。ゲストの方々のお話から、ぜひみなさんそれぞれの理想の働き方を一緒に考えてみましょう。

会場は、東京都渋谷区の道玄坂上に位置する「OpenCU(http://www.opencu.com)」。参加費は無料です。
下記リンクよりご応募いただけますので、たくさんのご参加をお待ちしております。

【タイトル】
理想の働き方のために。
コミュニケーションから「シゴト」を考える。
【出演者】
西村佳哲(働き方研究家/モデレーター)
齋藤敦子(コクヨRDIセンター主幹研究員、WORKSIGHT LAB所長)
江口晋太朗(編集者、TOKYO beta projectメンバー)

【日時】
12月14日(金)
19:00~22:00(開場18:30)
※終了後、出演者の方々と直接お話ができる懇親会(無料)も予定しています。
【開催場所】
OpenCU(東京都渋谷区道玄坂1-22-7 道玄坂ピア)
(http://www.opencu.com)
(アクセス:http://www.loftwork.jp/profile/access.aspx
【受付場所】
上記ビル10F(株式会社ロフトワーク内)
※応募時のお名前を受付担当にお伝えください。
【定員】
50名
【参加費】
無料
【応募締切】
定員をもって終了
【運営事務局】
あしたのコミュニティーラボ
【お問い合わせ先】
イベント応募ページよりお問い合わせください。
http://everevo.com/event/2917
【事務局運営時間】
平日11:00~18:00
※土日祝日にいただいたお問い合わせは、翌営業日に回答いたします。
【注意事項】
・内容は予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
・個人情報の取り扱いについては、「everevo(イベレボ)」のプライバシーポリシーをご参照ください。
http://everevo.com/static/privacy

【関連書籍】

この冊子に、記事を寄稿させていただきました。コワーキング含めた、企業や個人を含むこれからの働き方について書かせていただきました。

2012/11/23

12月16日は衆議院選と都知事選のダブル選挙−こういうときだからこそ、若い人の投票が大きな動きになる




12月16日。この日は、先日解散がおこなわれた衆議院選挙の投票日。と、同時に、都知事選の投票日でもある。つまり、都民にとってはダブル選挙なんです。

がしかし、新聞やテレビなどは、政策ではなく政局の動向を中心とした報道や記事が多く、実際の政策の議論にまでなかなかいけていない。衆議院選も党が乱立し、また、かつての“郵政解散”や“政権交代”などのようなキャッチーなものもなく、逆に言えば、政策の争点も原発や増税、社会保障などなどバラバラになっている。

もちろん、争点がバラバラということは各政党もどこがキャスティングボードを握るかも分からない。仮に第一党の議席をもっている党であっても、それが過半数出ない限り、第三党や下手すると第五党の数人規模の政党が議席の鍵を握ることがあるかもしれない。なにがおこるかわからない衆議院選になるかもしれない。もちろん、それらも含めて、One Voice Campaginでは、インターネット選挙運動の解禁も含めた、『インターネットと「これからの新しい政治」の実現に向けて』ということで、11月29日にイベントをおこないます。地道な活動ながら、こっちは、日本の政治を次の時代に対するアップデートをおこない、一人ひとりの社会参加を促すために活動していければと思います。

こうした、インターネットのさらなる利用における新しい政治の形の模索は、なにも国政だけでなく、地方の議会運営にも関わってくる。そうした上で、今回の都知事選は、ある意味で衆議院選よりも別な意味で大きな意味をもつかもしれないと、思います。

4代13年間東京都知事を務めていた石原慎太郎氏が突然の辞任により、日本維新の会として衆議院選に出馬を決意。それにより、都知事選は石原氏不在によって大きく注目を浴びるようになった!…という矢先に衆議院選の解散。それのせいで、本来だと日本の地方における、しかも日本の首都である東京の都知事選があまり報道されなくなった。

しかし本来だと、首都の東京の代表ということは、世界的な視野でみても大きな存在であるということを改めて考えないといけない。僕らが、NY州のブルームバーグ市長などの名前をよく目にするように、一地方知事ではなく日本の首都の代表はつまり、世界における日本という国の首都の代表である、という認識なのだ。それくらい都知事というのは、注目を浴びる存在なのだ。

また、東京は国から地方交付税交付金も補助金ももらっていない存在であり、対等に国の政策や方針とは違った政策が打ち出せることもできる。そうして意味で、外からの視点だけでなく、内からも、政策に対する自由度が他の地方の都市よりもある。

東京都に住んでいる人にとっては、“国政”という大きな枠だとなかなか日頃の生活に対する実感がわきずらいかもしれない。しかし、都知事や市議などは、実際に自分の住んでいる街や県や都の問題に対し、ダイレクトに直結している問題解決を図ることができる。もっといえば、国政というのは、国としての大きな方向性を示す存在であり、個別の事象などは、結局のところは地方の議員や議会に委ねられるということだ。道路や建設物、施策や税金問題、企業誘致や地元の企業に対する補助や支援などは、その住んでいる地域の議会や知事が大きく関わっているのだ。



そうした意味で、今回の東京都知事選は東京都に住んでいる人にとって注目すべきものだと思う。また、衆議院選もそうだけど、争点や大きな対立構造が見えにくい選挙においては、人口比率が少ない若者の行動によって様々な影響をもつことができる。投票に行かないと考えられている若い人たちが一人でも多く投票に行き、またSNSやブログ、HPなどで、「こうした問題に対し関心がある」ということや、投票に行ったということを発信することでその問題に対し議員や注目をせざるをえない状況ができることが大いにあるのだ。なぜなら、誰がキャスティングボードをとるかわからない状況だから。

だからこそ、こうしたどういう結果になるかわかりづらい状況こそ、自分たちの意見が通るチャンスなのだと考え、ぜひ、投票や選挙に対し少しでも意識を向けてもらいたい。投票に行く事、選挙に立候補している候補者のことを調べてみること、候補者に自分が疑問に思っていることを電話やメールで問い合わせてみること、嫌や友人と選挙についてちょっと話してみるなど、どんなこともアクションにつながる。ぜひなにか少しでもいい。

そこで、11月28日には今回の都知事選における「公開討論会」(参加申し込みはこちら)がおこなわれる。選挙期間以外で、都知事選候補者が全員揃い、政策について議論し、東京都の今後について話す場だ。こうした場に、若い人がたくさんいる、という状況を見ることができれば、候補者や周りの人達も若い人たちの動きに意識をさらに向けることになる。ぜひ、こうしたイベントなどに足を運んでもらいたい。実際に自分の目や耳で議員と話してみたり、選挙の雰囲気を味わうことで、少しでも政治や身近に感じることができるかもしれない。

また、この都知事選の公開討論会には、ivoteやOne Voice Campaignでも一緒に活動をしている友人の原田謙介が立ち上げたYouth Createが運営にも関わっている。政治と市民をもっと身近に、という意識でずっと活動をしている友人である。ぜひこうした活動を応援していきたいと思っている。

以下、公開討論会の概要を書いておきます。興味のある方はぜひ、参加してみてはいかがでしょうか。

【公開討論会概要】
<東京都知事選挙、主要立候補予定者を招き、都政について徹底討論!!>
約12兆円という国家予算に匹敵する東京都の予算。
人口1321万人(内20代は157万人)、都の職員数は17万人という大都市東京。
この東京都の新しいリーダーが12月16日に誕生します。

そのリーダーを選ぶのは私たちの一票です。
各立候補予定者の政策・考え・一挙手一投足を直接確かめてみませんか?
政治に無関心なままでは何も変わりません。多くの皆様のご来場をお待ちしております!

■目的
政治が抱える問題点や課題の鮮明化
有権者がその政策や根本方針を見極める機会の提供
各政党が政策や理念を有権者に訴え共感を得る機会の提供

■主催
NPO YouthCreate(ユースクリエイト)
日本政治報道株式会社

■実施日時
2012年11月28日(水) 19:00〜21:00(予定)

■開催場所
日本青年館 中ホール
東京都新宿区霞ヶ丘7番1号 アクセス
JR総武線 千駄ヶ谷駅、信濃町駅より徒歩9分
東京メトロ銀座線 外苑前駅(3番出口)より徒歩7分
都営地下鉄大江戸線(A2出口)より徒歩7分

立候補予定者(50音順)
猪瀬 直樹
宇都宮 健児
松沢 成文

観覧参加申し込みはこちら

参考書籍





2012/11/11

銀河ライター河尻亨一さんのキュレーターLABからみる、これからの編集者に必要なもの

よく、今という時代は、「情報過多な時代」と言われることがあります。

そうした中、情報を選別し、独自の切り口や意味をもたせるキュレーターやキュレーションという言葉が、ここ最近話題になっています。もちろん、キュレーターやキュレーションの元々の意味でもあるアート・芸術の世界としての意味と、2012年という時代に話題になっている「キュレーター・キュレーション」は、違うかもしれないし同じかもしれない。色んなところに行くたびに、そうした議論が起きます。かくいう自分も、色々なところで、その言葉の定義や意味について、考える機会も多くありました。

もちろん、言葉の定義や意味などは、時代や背景、そのときの情勢などによって変化していくことも多いと思います。なまじっか一つの言葉の定義として定め、かたくなに固辞するべきものでもないと思います。しかし、それでも、先人が築きあげていきた歴史や経緯、言葉がもつ重さなどを踏まえつつ、考えていかないといけないものだと考えます。が、まだ、僕自身も明確なものが言えるとは思っていないので、日々考えていきたいと思います。

そんなときに、元「広告批評」編集長であった河尻亨一さんと出会い、河尻さんが主催する『銀河ライター発「働くキュレーターLAB」―企画して、取材して、書いて、広めて解決する―』という講座が、博報堂ケトルの嶋浩一郎さんと、ブックディレクターの内沼晋太郎さんが中心となって立ち上げた書店B&Bで、9月からおこなわれていました。その講座も、先日の第10回目の講座で一旦終了でした。

そして、その講座の第三回ゲストとして、不肖ながら、私と、同世代でメディアプロデューサー集団KAI-YOUを運営している武田俊さんと一緒に、登壇させていただくことがありました。実際に登壇したのは9月16日と少し前のことだったのですが、講座に参加させてからいままで見させていただき、ただの講座ではなく、実践を踏まえながら体験していく中身であることに、個人的にも関心と感動をおぼえ、自分なりに考察しつつ、河尻さんとそれからも何度かお話させていただく中で感じたことも、少し綴ってみたいと思います。


今の時代に必要な編集的視点と発想

そもそも、「働くキュレーターLAB」の目的とはについて、僕なりの解釈で書いてみたいと思います。

これまで、編集という行為自体は、なにがしかのテーマに沿ったメッセージや記事やコンテンツを設定し、様々な材料を“集め”、テーマに沿うように“編む”ことを、編集と呼んでいました。その多くは大手放送局や出版社、映画など、さまざまな分野、しかも、一般の人達に対して、一定の水準とクオリティーを様々な人たちと協働でつくりあげ、発信・出版・放送するような分野や業種に多く存在していたと考えられます。

そして、いまの2012年という時代。インターネットも普及し、ブログやホームページが、そこそこに簡単なものであれば誰でもつくることが可能な環境になってきました。そして、mixiやTwitter,FacebookなどのSNSの発展は、これまで情報を受信ばかりしていたものが、あらゆる情報を自分たちが発信できる時代(そして、発信しているという自覚なしに発信しているという時代)になっていると、考えられています。

そうした中で、これからの情報の価値やコンテンツの価値、そして、なにかを企画し、コンセプトをつくり、発信し、活動していくということが簡単になっているからこそ、しっかりと学び、考え、経験し、実践していかないといけないものだと感じることも多くなりました。なにかを発信すれば誰がが反応してくれたりと、自己承認という欲求と、即時的な反応による満足は、ときに人やモノやコンテンツとしての質すらも変化する可能性ももっています。「誰でも時代」ということは、「総アマチュア」な時代にもなりかねない。それは結局のところ、全体としてのクオリティーが低下し、結果として将来や未来にとって価値のないものばかりが流布してしまうことになります。

そうではなく、プロである編集者であるために、いまの時代を読み、いまの時代の少し先を行きつつ、考えを練り、そして社会にとって意義のある行動をしていかないといけない。そのために、いまの時代がどうあるか、そして、これからの時代をどう読みとり、そして考えていくか。編集者としてどう生きているか、ということについて議論し、考える場が必要なのだと感じます。そうした考えのもとに、実際に現場で活動されている人などの話を聞きつつ、話を踏まえた上で、課題や企画を考え、実践していための“場”として、キュレーターLABはあるのだと思います。

ラボで話をしたこと


そんな中、僕と武田くんはその第三回のラボのゲストとして呼んでいただきました。元々河尻さんとは、2011年におこなわれた同志社の裏EVEというイベントでご一緒し、そこで初対面だったにも関わらず、河尻さん、そして津田大介さん、関西ウォーカー編集長の玉置さんらと僕という並びの中、20代の編集者として切り込んで話をさせてもらったことがきっかけでした。その出会い以降、いろんな所でちょくちょくお会いしお話させていただく中で、僕らの登壇時のテーマである「ネタは“ソーシャル”に落ちてる―SNS×街場連動企画とは?―」ということで、話をしてもらえないかというご提案をいただきました。

打ち合わせでは、河尻さんが僕らに考えていることを踏まえつつ、僕と武田くんそれぞれが見ている世界、見ている未来についてざっくばらんに話をしました。色んな話が飛んではいたのですが、そもそもとして、僕と武田くんは、見ている世界が似つつも、互いに違った手法論で取り組んでいるような感覚で、武田くんの表現曰く「背中合わせで似てる風景を見ている」という感じでした。(そのあたりの、僕と武田くんの話は、また別途書こうかなとも思います)ちなみに、浴衣で参加しているのは意味があるのですが、それは講義参加者か僕に直接聞いてください。

で、事前の打ち合わせ後の本番でも、それぞれの立ち位置や今に至るまでの考え、そして、どういった編集的な手法と発想をおこなっているかについて話をさせていただきました。河尻さん含めた3人ともが、しゃべりだしたら止まらないような性格のようで、ラボの90分間ひたすらしゃべりっぱなりだった気がします。僕らが考えていること、見ていること、そして、これからどういう風に進めていくか、ということについて、なにか感じてもらえたらと思っています。

ちなみに、ラボの様子は、受講生の一人である清水さんのイラストブログにまとまっています。感謝です!

いろんなお話をさせていただいたのですが、僕として言いたかったのは、“いま”を見るんじゃなく“未来”を見て行動してほしい、ということかなと思います。とかくいまを見がちで、目の前の小さな変化や差異にばかり気を取られてしまいそうですが、そうではなく、3歩先な未来を見据え、そして、その中で0.5歩先、1歩先なものとして実現可能なもの、もしくは、チャレンジしがいのあるもの、もしくはこういう流れ、こういうことがあるともっといいのではないか、ということを考えながら、日々アンテナを張りつつ行動し、そして、ちょっと考えてみて、それらをまわりと共有したり、自分なりにアウトプットをしてみたりすることが大事なんじゃないかな、と思っています。

何かを追うよりも何かを作る感覚をもつということは、まだ見ぬ未来だけれども確実にある未来であると信じ、それに向かって自分がいまなにをしていけばいいかを考えることなのかなと思います。ラボの中でも話をしたと思いますが、自分自身を客観的に俯瞰して見、“自分”という存在がこれからどう歩み、どういう行動をとると社会やまわりにとって意味のあるアクションなのか、ということを考えることだと思います。決して自分自身の満足や考えではなく、まわりの存在としても、意味があるか、そして、自分でしかできないことはなにかということを日々考えていくことだと思います。人は一人では生きていけないからこそ、他者といかに協働し、社会が生きやすいものにすることが、結果として自分に返ってくるものだと想像できるか。そこが大事だと思います。

というようなことを、ラボでは話をさせていただきました。編集とかキュレーターということもそうですが、それらすらなにかを達成するための手段であり、その先にある大きな目的をどう据えるかということが大事だと思い、そんな話をしたと思います。手法やテクニックよりも、自分自身がもつ夢や野望や将来像や、これからの世の中をどう見ているか、そしてどう見ていくかということがあれば、いまやっている行為はそこまで問題でないと思います。逆に、いま自分がやっている行為が未来にとってどうつながっているかを想像できれば、どんな仕事も楽しく思えると思います。だからこそ、ラボでは手法的な話よりも、考えや意識をどうもつか、ということを話させてもらいました。


(ラボの様子の写真)


コンテンツではなく、コンテキストをどう作るか

このラボ自体も、おそらく手法やテクニックを教える場にはしてはないと、河尻さんも話をしていました。そうではなく、活動している人たちがなにを考え、どう行動し、どうアウトプットし、どう自分の身にしているのかということを感じさせることを大切にしていると思います。そして、毎度毎度受講生には課題と称し、様々なテーマが課されていました。おそらく、受講生の人たちは毎回大変だったと思います。でもそうした課題も、考えや思考を訓練させる素晴らしい取り組みだあると同時に、数十名いる受講生それぞれが多様な考えや経験、思考をもちいままで生きているんだ、ということを感じさせられます。人によって得意不得意のあるもの、特異なジャンルや苦手なジャンル、デザインが出来る人、発想が斬新な人、文章が上手な人、様々ないます。そしてそれらすべてが、誰が素晴らしいとか、どれがいいということでもなく、自分自身の頭で考え、自分なりのアウトプットをしっかりとし、ラボのメンバーと議論したり語り合ったりすることが大事なんだと、ゲストが呼んでいただいたあともラボに関わった身として感じます。そして、その中にある、河尻さんの受講生らに対する愛情と思いは、何事にも代えがたいものです。

毎回講座が終わるたびに、懇親会などの交流があり、元々の講座以外にも、補講として様々なゲストを呼んで話をしてもらったり、休日にはメンバー同士で読書会や芋煮会などを企画したり、そこから、色々なものが派生したりラボを中心としてコミュニティができているのは、なにものにも代えがたいものだと思います。そして、そこをきっかけに新しい出会いやつながりが生まれたり、自分たちで実践したり、なにかを企画したりという“見えないアウトプット”こそが、ラボの目的でもあるのだと思います。

とかく編集などの仕事に携わっている人は、もちろん自分でコンセプトをつくったり企画をしたり文章を綴ったりという仕事をしていますが、どんな仕事も絶対に一人では成し得ないものばかりです。編集という仕事に携わる以上、他者と協働し、そこから新しい価値や新しいコンテンツ、新しい発想などを生み出し、それらを形にし、しっかりとしたアウトプットをつくっていく。それこそが、編集の仕事であると思います。そして、自分なりの未来を見据え、いまの時代に必要なもの、未来にとって必要なものを考え、どう動き、つながりをつくっていくか。そして、コンテンツを作るだけではなく、コンテンツ同士がつくる“コンテキスト”をどこまで見据えるか。そのコンテキストをどれだけ伝えられるかが、キュレーターとして必要な発想なのだと思います。そうした意味で、どうコンテキストを伝えるか、その材料としてコンテンツがあるのであり、そうした意味では「コンテンツそのものには意味があって意味がない」ということも考えられると思います。コンテンツだけではなく、コンテンツを踏まえたメッセージをどれだけもたせられるか。目の前にあるモノにとどまらず、その先をどれだけ考えられるか。僕自身も含めて、しっかりと考えていかなければいけません。


編集者は、コンテキストをどう作り出すか。これに必要な発想や思考のために、日々行動し、人と出会い、仕事をし、コミュニケーションしながら生きているのだと思うと同時に、河尻さんなりに、このラボを通じて受講生たちに伝えたかったコンテキストがどう伝わったか。これからの受講生や、ラボに関わった人たちが考えていかないといけないものだと思います。もちろん、僕なりにも、河尻さんのコンテキストを受け止めた一人だと思っています。今回のキュレーターLABに関わるすべての人たちにとって、この講義全体を通じて河尻さんが伝えたかったものをどう感じるか。おそらく一人ひとり違った考えや発想があると思いますが、ラボを通じて生まれた“何か”を、ぜひ大切にしてもらいたいなと思います。

2012/11/09

未来につながるアクションをしている、という意識をもとう

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先日の日本時間の11月7日、4年に一回のある種のお祭りでもある、アメリカ大統領選の投票結果が発表された。その結果、僅差ながら、オバマ大統領の再選が決まりました。

アメリカは、大統領選にかける時間は、かなりのものになっており、1年以上も議論し、それぞれの党も、あらゆる戦略を使い、新しい国の代表を決めるための活動をしています。このあたりの動きとか、4年前とどう変わってきたか、ということは、また別の機会でまとめようと思います。

「国の代表を決める」ということに対して、これだけ多くの人たちを巻き込み、大きな注目と、大きな期待感や、自分たちで代表を決めるんだ、という意識、自分たちで国を作っていく、という流れが起きていることに、4年前もそうですし、今回の動きをずっとみていても感じるところです。



ところで、先日の11月7日の朝刊の東京新聞の一面に、One Voice Campaignの活動を掲載いただきました。
「変えたい 選挙制度」ということで、いまの変わらない選挙制度に関して、One Voice Campaignが取り組んでいること、僕らが考えていることなどが記載されています。




5月にはじめたOne Voice Campaign。
日本でおきている様々な課題。どんなすべての出来事も、日本という国でおこなう以上、法律や条例に沿って行動しなくてはいけません。法治国家である以上、僕たちのあらゆる生活は、政治と直結していると言っても、過言ではありません。

だからこそ、一人ひとりが、政治と向き合い、ちょっとでも考え、そして、少しでも多くの人が、社会について声をあげたり行動する世の中になってほしい。そのためにも、僕らの声がきちんと届く仕組みにしたい。そんな思いでOne Voice Campaignを立ち上げました。

その中の一つが、「インターネット選挙運動の解禁」ということなんです。いまの日本の公職選挙法では、選挙時には、一切の選挙活動をネットを通じて発信することができない状況なんです。しかし、いまや僕たちの生活において、インターネットはあらゆるところで使われています。そうした、いまという時代のテクノロジーや技術に応じて、法律や仕組みもアップデートしていかないといけません。日頃の政治活動には、ブログやウェブサイトの更新はしているのに、選挙になった途端にTwitterもFacebookも更新できない、という、あまりにおかしい状況では、せっかくの僕たちの声、そして、なにより、立候補や政治活動をしている議員や政党自体の活動が発信できていない状況なんです。

そうした状況をなんとか変えたい。新しい政治参加の形をつくりたい。そこから、次の未来、次の時代をつくる”何か”があると思い、活動しています。自分たちの声が、自分たちの行動が、社会をちょっとでも変える、と信じれること。ちょっとでも、社会と関わりをもっている、ということを実感できること。

起業することでも、会社に入社することでも、NPOで働くことでも、どんなことも社会とはつながっています。そして、政治の意識をもつことも、まさに社会とつながっているんです。僕ら、これからの時代をつくっていくであろう、20代30代こそが、そうした未来に向かっての道を考え、行動することこそ、大事なことだと考えています。

振り返ってみれば、歴史というのは、現在から見れば、過去は一直線の線でいまに通じていると考えがちです。しかし、その時代その時代には、あらゆる選択肢とあらゆる可能性の中の、ほんの何万分の一の道で、いま僕らがいる”今”が形成されているのです。ということは、まだ見ぬ未来は、僕らのあらゆる選択肢によって、いくらでも変えることができるのです。僕らの行動一つ一つが、未来をつくっていくのです。そして未来のどこかの”現代”からみて、僕らが生きている現代を”過去”として振り返ったときに、つまり、自分たちの子孫や未来に生きる人たちにとって、意義のある行動をしたと思ってもらえることが大事ではないだろうか。

そして、未来の歴史家からみて、僕らが生きている2010年台を、ポジティブに語るのかネガティブに語るのか。それは、僕たちが考え、行動し、決断していった先にわかるものだと思います。


そうした、未来につながるアクションを、ぼくはこれからもしていきたいと考えています。


最後に、今回の大統領選で再選を果たしたオバマ大統領の勝利演説の動画を掲載しておきます。

オバマ大統領は、演説で、あらゆる人種、あらゆる人たちが生きる多様性のある社会を作りたい、とも述べています。黒人であろうと白人であろうと、黄色であろうと、ゲイであろうと、レズであろうとストレートだろうと、どんな人も生きれる社会を、僕も作っていけたらと思っています。

2012/10/24

人生の一瞬一瞬を大切にすることの美しさ−Nikon brand story "Tears"

Nikon_brand_story

一眼カメラをもって1年以上たち、カメラをもって撮影したり仕事でも使う機会が増えてきた。そのたびに思うのは、「きれいに撮影すること」だけじゃなく、いかに相手の気持ちや思いや感情、そのときの雰囲気が、カメラというツールを使い、”メディア”として、表現できるのか、ということを、色々なプロな方などの話を聞くたびに、考えてしまう。

 

カメラを使いこなすのではなく、自分がどれだけ相手と同化したり、そのときの思いを表現できるか。

それまで、なにげなく過ごしてきた日々の生活や町並みも、そうした意識をもつだけで、また違ったものに見えてくる。

 

その中で、Nikonの「Nikon brand story "Tears"」は、ただの被写体としてだけでなく、カメラを通じた楽しさや表現、思いを伝えたり、感情を形にするような動画や、素晴らしい写真を撮影している人たちのフォトギャラリーをみることができる。

とくに、このYoutubeの動画は、見ていて、自分たちが生まれてきてからそれまでに感じた、淡い感情や辛かったこと、悔しさや喜び、楽しさ、夢など、人が人生を追って経験するあらゆるものを表現している動画です。

 

これをみると、いかに自分たちの人生は豊かなもので、それでいて、なんて多彩で多様なものなのかと考えてします。と同時に、もっと気持ちを素直に表現すること、感情を表現することの素晴らしさや美しさを思える動画だと思います。

 

カメラや動画というものだけでなく、人の人生をどう考え、そして、その一瞬一瞬の素晴らしい刹那な美しさを表現するか。

そういったものを考えさせられるサイトだと思います。

Zenback