2013/11/11

WIRED CONFERENCEの開催と、WIREDにてオープンガバメント特集記事を執筆しました


10月31日に、WIRED CONFERENCE2013が開催されました。こちらのイベントを、先日設立したCode for Japanが運営やゲスト選定などに協力して開催しました。当日は、300名以上の人たちにお越しいただき、盛況なイベントとなりました。イベントの概要やまとめは、Code for Japanのブログにて掲載されています。



また、カンファレンスに合わせて、WIREDのウェブサイトにて、「オープンガバメント」についての特集記事を書かせていただきました。読者に、オープンガバメントとは何かを考えてもらうために、オープンガバメントに関わる取り組みをされている3名の政治家を取材しました。

未来の政治家のあり方とは? 港区議、横尾俊成が描く市民をエンパワーメントする力 « WIRED.jp http://wired.jp/2013/10/16/toshinari-yokoo/

これからの政治に必要な対話の場とは? 横浜市議、伊藤大貴が実践する未来のまちづくり « WIRED.jp http://wired.jp/2013/10/18/hirotaka-itoh/

オープン化の先にある社会とは? 熊谷俊人千葉市長が見据える未来の都市とガヴァメント « WIRED.jp http://wired.jp/2013/10/28/kumagai-toshihito/

3名それぞれ、港区議、横浜市議、そして千葉市長と、レイヤーの違うそれぞれの立場において、おのおのが実践している取り組みを紹介しながら、オープンガバメントが持つ「透明性」「参加性」「協働性」という3つの軸を中心とした活動を浮き彫りにしたようなものとなっています。

そもそも、オープンガバメントというものが明確に定義されていない状況の中で、オープンガバメントはこれだ!と言いたいのではなく、政治家や議員とひとくくりにされている人たちであっても、それぞれの立場やポジションによって、考えていることや行動すること、実行することは違うことを知り、そして、どういったレイヤーの人たちがどのような判断を行っているのかを感じることが大切です。そして、それらを踏まえて上で、私たち市民もどのように行動すればいいのか、自分が住んでいる地域やコミュニティについて、どう自分が関わっていくのかを考えることが大切なのです。

港区の横尾さんは、自身の区内の有権者の一人ひとりと顔を合わせながら、距離の近いやりとりを通じて声を拾いながら地域と密着した活動をしています。横浜市議の伊藤さんは、横浜市というある程度広いエリアで活動している中、自身が地域に開いた存在として、地域の人たちの声をできるだけ集めるプラットフォームのような立ち振舞をしながら、地域全体をどのようにしていくかを考えています。千葉市長の熊谷さんは、市長という市全体の判断を預かる身として、市の長期的なビジョンを持ちながら、市役所という大きな組織をどのように改革していき、市の20年後30年後を見据えていくかを考えながら行動しています。そうした、それぞれの見ているスコープの違いなどを、記事でもうまく書き分けられたと思っています。なので、ぜひ3つの記事を連続して読むことで、よりその違いが明確に読み解くことができます。

政治家それぞれにはそれぞれの役割があり、その中でできること、やらなければいけないこと、そして未来をどのように考えて行動するかを意識しながら日々を過ごしています。「オープンガバメント」という言葉そのものよりも、それぞれの政治家が、どのようにしてこれからの社会を良くしていこうと考えているか、そして、そこに市民との対話を通じて、試行錯誤しながら取り組んでいる姿がそこにあります。立場が違っていても、誰が偉いということはありません。多様な動き方の中で、それぞれがやらなければならないことを考え、判断し、行動しているのです。

オープンガバメント、「開かれた政府」と呼ばれているものの、その内実は上から何か与えられるものではなく、私たち市民がどのように暮らし、どのように未来の社会を考えて行動し、そして政治をどのように使っていくかを考えることです。そこに、公共財となる公共データやガバメントデータなどを活用し、より豊かな暮らしとなるようなツールやサービスを、私たち自身の手で作って行かなければなりません。データがオープン化されることは手段であり、その前提としてはオープンガバメントの考えである行政と市民や民間との協働、そのための私たち自身のマインドシフトを起こすことが大事なのです。このあたりは、拙著『パブリックシフト』で書いていることとリンクしてきます。

同時に、政治家は市民との対話を通じ、ファシリテーター的な役割を通じて議論やアイデアを吸い上げ、実践していく存在にならなければなりません。政治家や行政府は、そのインフラや基盤作りといった、私たちがすべきことを代理で行っているという機能を忘れてはいけません。自分たちの暮らし、自分たちの生活をどのようにしていくか。一人ひとりが考え、行動する社会にこれからなっていく一つのヒントとして、今回のオープンガバメント特集記事や、こうした一連の活動が参考になればと思います。

カンファレンスも終了し、日本で次第に盛り上がっているオープンガバメントという考えに対して、もっと情報や世界で起きているオープンガバメントの潮流を調べてみたいなと思っています。ちょうど、江原さんがクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」で出しているプロジェクト「シリコンバレーに次ぐNYで今最もホットなスタートアップへの1ヶ月単独突撃取材」のように、NYやサンフランシスコ、ロンドンやエストニアなどのヨーロッパ全体で、どういったオープンガバメント政策が取られているのかを1ヶ月や2ヶ月くらいかけて取材するのはありかなと考えています。特に、オープンデータの活用などはヨーロッパがけっこう先進的な取り組みもやっていますし、きちんと取材して、書籍でまとめるというのもありなんじゃないかと思っています。企画、作ってみようかな。誰か協力してくれる人いれば、ぜひやりましょう!

また、Code for Japanの活動に興味のある方、また、Open Knowledge Foundation Japanでも、月一での勉強会なども開催しています。それ以外でも、オープンデータの活用だけでなく、どのようにオープンガバメントを取り組んでいくか、行政と市民とのコミュニケーションをデザインすべきか、といったことについても、ぜひ一緒に考えていければと思いますので、気軽に僕に連絡ください。


【関連書籍】







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