2014/11/19

お金ってなんだろう、を気づかせてくれるクラウドファンディングというサービス

the audience is shaking (CC)



スタートアップやテックなど起業に関する情報を発信しているTHE BRIDE。編集として携わっており、企画としてクラウドファンディングに関する情報をまとめていました。そのひとつに、クラウドファンディング法案(ネット経由で小口投資を募ることができるようにする金融法改正)について取材などをしていました。

それにあわせて、クラウドファンディングに関して体系的にまとめたり、クラウドファンディング法案成立後にどういった動きが起きるのかなどについて、クラウドバンクの大前さんに取材を行いながら、大前さんとやりとりをしながら寄稿していただき、編集していく、ということを行ってきました。

クラウドファンディングの歴史と日本のポテンシャルについて【ゲスト寄稿】 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
「2014年はクラウドファンディング元年」:多様化するクラウドファンディングと市場の動き【ゲスト寄稿】 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
株式型クラウドファンディングを通じて、企業とユーザの関係が再構築される【ゲスト寄稿】 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
クラウドファンディングが仕掛ける「金融の民主化」:個人を力づける新しい資金調達と資金活用のカタチ【ゲスト寄稿】 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

全4回、すべて足すと3万字くらいの内容をもとに、クラウドファンディングについての基本的な内容や融資型の海外事例、株式型クラウドファンディングや法案成立後の未来についてまとめていただきました。こうした一連の企画がきっかけで、大前さんが先日書籍『クラウドファンディングではじめる1万円投資』を出版したというご連絡をいただき、書籍をご恵投いただくこととなりました。

あとがきでは、嬉しいことに書籍のきっかけについてご紹介いただきました。

「本書では、私がこれまで行った講演や寄稿などが土台となっています。特にブログメディア『The Bridge』の平野武士さんと江口晋太郎さんには、今回クラウドファンディングについて包括的にまとめる機会をいただいたことが本書執筆の土台となっていることを考えると、生みの親みたいなものです。」(P188)

THE BRIDGEとしてご提案させていただいたことで、こうして書籍化につながったということで、企画提案をさせていただいた身としても大変嬉しく思っています。もちろん、今後もクラウドファンディングに関する情報や、法案についてなども追いかけていければと思います。

同時に、私もクラウドファンディングについて包括的にまとめることで仕組みとしてのクラウドファンディングと、大前さんとも話をしてまさにでてきた「金融の民主化」というところに改めて気付きを得ることができました。普段、何気なく使っているお金も、その値段が付いている商品の後ろには、流通や製造にさまざまな人が関わり、そして製品ができているということに、なかなか知る機会がありません。しかし、お金というのも交換のひとつの手段。それをどう活用するか、もっとお金について能動的に考えるべきだと実感します。

自分が共感した商品や応援したいと思うプロジェクトの製品を買ったり、自分が支払ったお金が何にどう使われているのか、というお金のトレーサビリティといった考えも近年ではでてきています。マイクロファンディングのKivaなどもまさにそういった活動といえます。クラウドファンディングも、まさにそうした個人のお金が何にどう使われているのかを知るひとつの機会として捉えることもできます。もちろん、プロジェクトを掲載する人にとってみれば、資金を調達する手段としてクラウドファンディングを捉えることができますが、お金を支払う側の意識も同時にあることにも気付かされます。

資金を調達し、プロジェクトを推進しようと思うプロジェクトオーナーも、ただクラウドファンディングのサイトに掲載すればお金が集まるわけではなく、そのプロジェクトにかける思いをきちんと整理し、それを映像や言語に落としこむことが必要です。さらに、随時情報を更新してプロジェクトに関しての情報を発信して透明性を高めることも必要です。そうした小さな取り組みや丁寧なコミュニケーションを通じて、自身のファンやサポーターを増やすことができるのです。それって、かなりの手間がかかるし、正直いえばコミュニケーションコストはかなりのものです。さらに、リターンも魅力的でなければなりません。もちろん、マーケティング的視点で、製品づくりのプロジェクトを掲載するということもあるし、ほかにもプロジェクトに関しての何かしたらの記念や限定イベントなどなど、ファンを増やすための施策も必要です。

そうした意味で、クラウドファンディングは単純にお金を集めるだけのことを考えると割にあわないかもしれません。しかし、そうした賛同が可視化され、みんなの応援が見えることで、より責任がましたり、プロジェクトをまわしながら自分自身を奮い立たせるような機能も兼ね備えてています。そのコミュニケーションのひとつのきっかけに、お金という交換ツールがあると考えると、お金の使い方もまた新しい視点が生まれてくるかもしれません。

お金は、ただそこにあるだけでは意味がありません。それをどう使うか、◯◯円という数字的なものではなく、その実数としての数字の裏にある、目に見えない価値をどう作り出すか、それは、お金には変えられないものでもあります。改めて、お金ってなんだろう、ということを問いなおすひとつのきっかけとして、クラウドファンディングを見つめるのもいいかもしれません。



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