2011/08/29

NYのハリケーンにおける対応から学ぶべきこと

アメリカ東海岸を襲った大型ハリケーン「アイリーン(IRENE)」が、8月27日から28日にかけて接近し、甚大な被害を及ぼしてきました。
ニューヨーク史上初の大規模な天災に対して、行政などの迅速な対応から学ぶべきものがあるとかなり感じました。

・NY市長の迅速な対応
ブルームバーグ市長公式サイト:Mike Bloomberg: MikeBloomberg.com – Home


NY市のブルームバーグ市長は、8月26日13時にNY市民に対して避難勧告を示す演説を行いました。


演説によると、27日お昼すぎには地下鉄、バスなどの公共機関すべてを停止。合わせて、避難指示と各エリアに応じ危険度合いに応じたマップを示すなどの指示をしました。

その後定期的に市長は演説を行い、住民に対して洪水などの被害の様子や避難のための指示、現在のハリケーンの様子などの公式発表を行っています。
市長のサイトには特設のページを用意し、随時情報を更新しています。
もちろん、各サイトにはFacebookやTwitterのシェアボタンもついており、情報の拡散などのソーシャル連携も全て行っており、演説の様子も公式Youtubeにすべてあがっている。
Video: Update on City Preparations for #Irene and Steps NYers Should Take Now to Prepare

・NYCのCDOによるソーシャルメディアの活用
合わせて、市長と連携してNYCにはCDO(Chief Digital Officer)のRachel Sterneが適宜Twitterで情報発信を行っている。
CDOとは、各デジタルのツールを使いNY市の行政改善のための活動や情報発受信のための役職であり、住民とのインタラクティブな関係によって行政をよりよくしていくための施策を講じる役職としてできた役職である。

就任したのは20代後半のRachel Sterneであり、市として今後の新しい時代に対する活動に適応していくために力をいれていくところに今回のハリケーンが起き、その重要性を改めて認識した。

就任時のニュース;New York’s Chief Digital Officer Seeks to Connect the City and the Public – NYTimes.com

CDOは、市長の避難指示の後に避難が必要な住民に対しての危険レベルを示した避難指示地図をTwitterで配布した。ゾーンA,B,Cに別れ、それぞれ危険度合いに応じており、資料はPDF化され誰でもダウンロード可能なものになっている。




CDO(Chief Digital Officer)による26日のTwitterの投稿。
Twitterのリンクには、避難地域住民を示した地図のPDFへのリンクが示されており、行政の公式の資料としてとてもわかりやすい地図を配布している。


避難指示マップのPDF(縮小)
www.nyc.gov/html/oem/downloads/pdf/hurricane_map_english.pdf
また、26日から27日中にかけて、NYCMeyersOffice(NY市の公式Twitterアカウント)やNYPD(NY警察のTwitterアカウント)などの連携し、避難のサポートや街の巡回、強風などによって倒れた大木などの除去などの作業にあたるなどの連携を行っている。

また、けが人や避難に遅れた人などを見つけた際には、911コール(日本で言う110が119に相当する)に電話してください、などの呼びかけを行っている。今も、随時情報を更新しており、行政や警察、消防などがすべて連携してハリケーンに対処している様子が伺える。

・メディアも即応的対応
各種大手メディアも、大規模なハリケーンに対して避難のためのサポートを行っている。

CNNはハリケーンのための情報をテレビで放送。ハリケーンのための特別番組として各地の様子などを中継している。NYTimesでは、NY市が発表した公式避難地図をもとにデータをマッシュアップ。26日夕方にアップしたサイトには、危険ゾーンの表示だけでなく、住所を入力すると自分がどのゾーンにいるかが検索できる機能を追加。

合わせて、地図上に避難センターも表示し、避難の誘導を促した。
New York City Hurricane Evacuation Zones – Interactive Map – NYTimes.com

また、リアルタイムでハリケーンの現在地と進路経路を示したトラッキングサイトも公開し、現在の状況を発信している。

Hurricane Irene Tracking Map – NYTimes.com

・4sqを使ったユーザーのマッシュアップ
また、NY市民も独自の方法でハリケーンの情報などを更新している。位置情報サービス「foursquare」には、”Hurricanepocalypse2011(Hurricane+apocalypseの造語?)”を作り、ハリケーンの様子などを写真やTipsで更新し、まさにマッシュアップによって住民同士が情報を共有しているものである。
ちなみにNYの最近のトレンドとして、リアルの建物や土地などへのチェックインではなく、こうした事象や物事などにチェックインするのが流行っているようであり、4sqの新しい活用法としても注目できるところです。
28日17時現在では、チェックインは3万を越え、500枚以上の写真やTipsが集まっている。
fouraquare-Hurricanepocalypse2011

もちろん、Twitterのハッシュタグ #NYC #IRENE などでも情報は更新されており、各自が情報を共有し合ってハリケーンの様子を発信している。

・ハリケーンの対応から見えてくるもの
今回のハリケーンでは、特に大きなものとしてNY市が初の26日時点で避難指示を行い、オバマ大統領自身も「これまでに最大規模の天災かもしれない」と表明し、避難の指示を大統領としても表明。
実際にNYに直撃するのは27日の夜中から28日の朝にかけてと予想されていたのだが、避難指示や公共機関の全面ストップ指示も26日昼時点、実際に公共機関が全停止するのは27日12時と、かなり時間的にも猶予をみた上で最大限の避難命令を行っている。

おそらく、どのくらいの被害が及ぶか予想もできないための過剰なくらいの前倒しでの対応策を講じていたと思われるが、実際にこれが想定内とし、避難指示もそこそこに時間的猶予もぎりぎりだったら、と考えると、実際に被害が起きたときにまったく意味がない。

行政は、市民の命を保護する立場として、最善の策と、常に最悪の状況を想定した上で行動しなければいけない。それらの思想に沿った考えがベースにあるからこそ、市民が行政を信頼することができる。

行政が少しでも手を抜けば、それらは政治家本人に対して向かう。なぜなら、政治家は「市民が選んだ」人であり、市民の代わりに政治を行う代理人である、という意識があるから。そういった意識のもとに、行政と市民とか良好な関係によって保たれているからこそ、被害を最小限に食い止めることができるのだと感じ、改めて行政としてのあり方を実感した。

また、合わせて避難のための資料の見やすさ、そしてそれらをPDF化してダウンロードしやすい状況にしていること、そして、それらすべてお情報を Webサイトやソーシャルメディアを通じて行うところ、また、市としてCDOを就任させているところなど、現在の東京や日本という国と比べても対応の違いに驚かされるし、学ばなければいけないところだと実感。

各自治体、市長、警察、消防、地下鉄などは、そのほとんどがFacebook、Twitter、Flickr、4sqなどをアカウントを所持し、それぞれがDigital運用のための責任者を就任させ、リアルタイムでの情報発信やアーカイブとしての活動を行っており、現場と運用指揮系統などとの連携がきちんととられている。

対応の迅速さと準備の周到さ、そしてそれらの内包する環境の整備などによってNY市内においては浸水などの被害はでたものの、そこまで大きな被害はでていないと思われます。もちろん、まだ余談も許されない状況ではあり、雨は弱まってはいるものの、強風に煽られたり、木が飛んでくるなどの危険もあるため注意が必要である。

もちろん、ニュージャージーやノースカリフォルニアなどNYに比べてもっと被害の大きなところがあり一概に喜ばれるものではないが、できうるだけの対策を行ったであろう、という点では評価できるものだと思われる。地下鉄やバスなどが通常復旧するのには時間がかかると思われ、被害の大きなところでは死亡者や停電などでており、まだまだ時間のかかる作業が多い。被害のあった地域は大変だと思うが、少しでも早い復旧を祈りたい。

また、NY市内のハリケーン直前の様子などを撮影しました。写真はCC(クリエイティブ・コモンズ)なので、自由に使用することが可能ですのでよかったら使ってください。
https://www.flickr.com/photos/eguchishintaro/sets/72157627532989920/



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