2013/07/04

ネット選挙の先にあるWebと政治の新たなる関係性を築くために−−パーソナルデモクラシーフォーラム報告会とCode For Japan

先日、エンジニアtypeにて特集記事を書きました。ネット選挙がきっかけとなり、Webと政治との関係性がどう変化していくかという内容で、これからのエンジニアが関わるべきことについて、Change.orgOpen Knowledge Foundation Japan(OKFJ)を取材し、記事としました。


・ネット選挙解禁がもたらす、Webと政治の新しい可能性-Change.orgハリス・鈴木絵美さんに聞く - エンジニアtype http://engineer.typemag.jp/article/net-election

・政府も注目するオープンデータは、エンジニアにとって新たなビジネスチャンスの宝庫になる – OKFJに聞いた - エンジニアtype http://engineer.typemag.jp/article/opendata_okfj

ネット選挙に対する言説で、未だネット選挙の是非論やネット選挙で投票率が上がるかというものや、誹謗中傷、なりすましといった政党本位、議員本位な情報ばかりがでてきたものに対して、違った角度から記事を書けたら、という思いがありました。

拙著『パブリックシフト』で書かせていただいた内容も、ネット選挙の詳細よりも、ネット選挙が実現したことによる未来について考えて、そして少しでも行動に移していこうというメッセージを軸に執筆しました。その著書の中でも、Cnahge.orgやOKFJについてご紹介しており、今回の特集記事では、著書の中で書ききれなかったものを補足する形になったかもしれません。

記事の中でも言及していますが、インターネットの登場により社会を変えようと取り組む人たちの行動が可視化されるようになりました。また、自分の意見を発信し、それに共感した人たちと一緒に行動に移すだけの環境が整ってきました。環境面においての変化が起きている今、次は私たちの意識やマインドというソフトの部分を変えていくフェーズにきていると言えるのかもしれません。

Webと政治行政の分野の距離が近くなり、政治行政の足りない部分を民間が積極的に補う動きは、今後ますます加速してくるでしょう。同時に、オープンデータの取材や著書の中でも書きましたが、情報をただ公開するのではなく、積極的に利活用していくことが大事になってきます。

TEDの動画で、ベス・ノヴェック氏のプレゼンの「もっとオープンソースの政府を 」というものも、まさにオープンデータを用いての市民による積極的な政治参加が起こす未来について語っています。



ホワイトハウスの前副CTOで、オープンガバメントを推進してきたベス・ノヴェック氏のプレゼンは、行政の中だけが頑張っても社会は変わらず、いかにして市民の小さな参加の積み重ねで社会が変わっていくのか、ということを考えさせられる動画です。

こうしたこれからの未来を作る取り組みの1つとして、エンジニアを役所の現場に派遣し、行政のサービスの改善を図っていく活動として「Code For America」があります。公共サービスを優秀なITエンジニアが改善し、自治体が抱えている課題を解決するサービスをアプリを開発したりします。普段の、民間企業として持っている技術を、うまく社会に還元する場を提供する仕組みとして、注目を浴びています。



ジェニファー・パルカ氏の「コーディングでより良い政府を作る」のTED動画で、その思いや考えを知ることができます。情報爆発の時代の今、情報をきちんと情報として届けるためには、行政サービスであってもUXの概念を組み入れてサービスを作らなければなりません。そうした意味で、民間企業や技術者が持つ知恵や知識やスキルを用いることは、社会全体の公益につながるものです。

こうした取り組みを、日本でも実施していこうとする動きが起きつつあります。先日行われた「Code For Japan準備室」ミートアップでは、Code For Japan立ち上げをしようとしているメンバーが声を上げ、さらにイベントでは、6月6日と7日に開催された「パーソナル・デモクラシー・フォーラム」の様子も交えながら話がなされました。


パーソナルデモクラシーフォーラムでは、Code For Americaのみならず、Change.orgやOpen Knowledge Foundationなど、市民参加型の社会を作るために必要な様々な分野の人たちが集まるフォーラムです。市民参加を促すサービスやテクノロジーのことを、「Civic Technology」とも呼ばれ、Gov2.0やオープンデータ、オープンガバメントなどを包括した、新しい分野を築こうとしている世界の最先端の人たちが集まって議論をしています。

イベントの中では、ニューヨーク市が財務状況を可視化する「Check book NYC」をオープンソースするという話や、ホワイトハウスがソフトウェア開発のための共有サービスであるGithubにアカウントを作成し、ホワイトハウスのサービスをオープンソース化している、というような講演がなされました。他にも上がったフォーラムのトピック例として、以下のようなものがありました。

・キャンペーンをするものの心得
・テック業界が抱える男女格差問題
・大統領選挙におけるビックデータ活用
・オンライン署名がもたらす次世代型『人』中心のムーブメントについて
・プログラミング教育の重要性
・フォー・プロフィット・シビック・テック・スタートアップ企業がいかに矛盾しないか
・政治の世界が知っておくべきテック業界
・アフリカ、ウクライナ、ドイツなどを含むグローバルなシビック・テック・トレンド
・プライバシーとサイバーセキュリティ
・ウェブでバイラルを起こすための秘訣とは
・医療分野でのテクノロジー・ビックデータ活用

などが語られたそうです。こうしたトピックに対して、日本も次第に取り組まなくていかなければ問題として、次第に重要性が増してくるものです。

フォーラムの中でも、オミディアネットワークから1500万ドル(約15億円)の資金を調達したChange.org に対して、Civic Technology業界としても大きな注目を浴びており、フォーラムの中でもひときわ熱気の高かったプレゼンテーションだったそうです。

こうした中、Civic Technology業界全体を推進する基盤として、スタートアップ企業や団体に対して支援を行う投資会社や中間支援組織が重要となってきます。事実、Change.orgに出資をしたオミディアネットワークしかり、Knight Foundation(ナイト財団)やSunlight Foundation(サンライト財団)などがこうしたCivic Technologyの分野の団体に対して積極的に支援をしています。ここ数年、日本で盛り上がりを見せるスタートアップとVCとの関係と同様に、Civic Technology分野のスタートアップに対して出資をおこなう団体の存在が日本でも盛り上がりを見せることは1つの鍵となると考えます。

こうした動きを、日本でも加速させていく1つのきっかけとしてネット選挙の解禁を位置づけられると同時に、東日本大震災などにおいて、ソーシャルメディアによる市民の自発的な情報発信や情報編集、エンジニアの人たちとボランティアたちが一緒になって震災の安否確認のサービスを作り上げる動きなど、すでにCivic Technologyにも近い動きを私たちは経験してきています。こうした意識を、より日常的にしていくことこそ、これからの未来を作る上で重要なものとなってきます。


先行きの見えない時代だからこそ、自分たちで社会を作っていくという意識を持っていくことが求められてきます。Code For Americaの活動を踏まえ、日本でもCode For Japanの設立がにわかに起きつつあります。日本におけるCivic Technologyの分野をしっかりと築き、Webと政治、Technologyの社会とを結びつける働きかけを、今後も行えればと思っています。

パーソナルデモクラシーの詳細は、ソーシャルカンパニーの市川さんのこちらの記事(「「パーソナル・デモクラシー・フォーラム」レポート〜市民と政治・行政をつなぐシビックテクノロジー業界の可能性」に書かれています。)

参考記事をいくつかピックアップ
【Tech】効率的に社会を良くしているCODE for AMERICAはCool! | Shinya Hayashi Now |
『Code for America』の試みがやっぱり素晴らしい | IDEA*IDEA
ニュース - コーディングでより良い政府を作る「Code for Japan」、設立準備ミーティング開催:ITpro





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