2013/07/23

ネット選挙運動をきっかけに見直す、公職選挙法とコミュニケーションのあり方 −−普段の生活に政治文化を醸成していこう

*この記事は、「ネット選挙運動をきっかけに見直す、公職選挙法とコミュニケーションのあり方 (ハフィントン・ポスト)」の記事を加筆修正したものです。


7月21日に投開票が行なわれた参議院選挙。今回の選挙から、インターネットを活用した選挙運動が実施され、各政党・候補者がそれぞれに試行錯誤の中、取り組みを始めた。

NHKニュース(ネット選挙 候補者の9割が活用)でもあるように、候補者の9割がアカウントを作成して情報発信として活用した。TwitterやFacebookなどを使った発信があった中、今回大きく注目されたのがLINEだ。ユーザーローカルの調査(各政党のソーシャルメディア活用度調査を発表。ネット選挙解禁で政党のLINE利用が活発化)でも、各政党ともにLINEアカウントのフレンド数は多い。LINEはプッシュメディアとして手元にメッセージが送られるため、必然的に見る機会が増す。なんとなく政党の情報が欲しいと考えている有権者からしても、LINEで政党のフレンドになっておこうと考えた結果だろう。

TwitterやFacebookでは友達の投稿数も多く、政党や議員の投稿を確実に見てもらえる仕組みはなく、またLike数やフォロワー数が得票に結びつく保証もない。 TwitterやFacebookをコミュニケーションツールの1つとして認識し、 真摯に有権者と対話し政策をブラッシュアップするためにそれぞれのメディアに応じた運用ルールを作っていかなければいけない。

有権者にも問われる政治意識

ネット選挙が解禁しても、どうやって政治の情報を入手すればいいのかを有権者は改めて考えたのではないだろうか。

産経ニュース(【参院選】ネット選挙、有権者冷ややか 「参考にした」わずか1割)によると、ネットの情報を参考にした人は1割程度しかおらず、ネットに流通している情報も有権者の投票行動に結びつくほどにはなっていない。

もちろん有権者側の課題も多い。たとえ情報が"得られる"環境にあっても、情報を"得よう"という意識になっていなければ意味は無い。選挙が始まっても、政策や立候補者の情報、現職であれば過去の実績、新人であれば現職との違いなどを比較しなければいけないが、これまでがそうした環境では無かった。ネット選挙になったからと言っても、すぐに能動的に政治の情報を得ようと意識が変わるとは言えない。

SNSやウェブサイトは「プルメディア」とも呼ばれ、Googleなどで検索しサイトにたどり着いたり、SNS内の投稿をクリックするなど、ある程度能動的な意識を持った人が情報にたどり着く仕組みだ。どんなにネットが発達しようにも、Googleの検索バーに入れる単語を思いつかなければ意味はないし、自身の興味のあるアカウントしかフォローしなければ、必然的に興味のある情報が集中する。そうしたネットの特性を考えた上で、情報設計を行なわなければいけない。

各種メディアが情報を分かりやすく届けようとしたり、政策と政党のマッチングサービスもいくつも出てきた。次は、そうしたメディアやサービスに触れる機会をどのように作り出すか。そのためには、政党や候補者側の努力ではなく家庭や教育の現場などで私たち自身で政治について話す場を日々設けることだ。これは、選挙権を持っていない未成年にも有効だ。20歳になった瞬間から政治について勉強するのではなく、20歳になる前から社会について議論していく場を大人は設けていく責任がある。

政治の世界におけるコミュニケーションデザインの再構築が必要

「選挙」と「政治」は違う。「選挙」でいかに当選しようと「政治」の現場で成果をしっかりと出せなければ意味がない。逆に、「政治」の現場でしっかりと活動をしていても、それが評価されるものであったり、きちんと成果を伝える努力をしていかなければ「選挙」では勝てないのだ。

そのため、選挙期間のみならず普段の政治活動にもネットを活用することで信頼を築きあげなければいけない。政治家が有権者の声を聞き、受け答えをしてくれるという実感と信用を得ること。同時に、有権者側もきちんと政策立案などで活動をしている議員を評価し、応援し可視化する責任を持つこと。選挙の投票だけが政治参加ではなく、普段の政治の時にこそ、何かしらの形で参加していかなければいけない。 政党や候補者と有権者が、ネットとリアルで相補関係を作るコミュニケーションデザインの再構築が今後の大きな課題だ。まだまだネット選挙運動は始まったばかりだ。これでネット選挙に対して評価を下すのは時期尚早と言える。これからの数年をかけてともに作り上げていくものだと認識してもらいたい。

今回の選挙の評価できる点として、有権者側から積極的に選挙運動に参加する動きがでてきたことだ。様々な個人が、誰を応援するという声明をSNSやブログに書くなどの動きが起きた。有権者側から政治に参加する意識を高め、選挙を促す行為が起きてくることで、政策議論や対話の場が出てくるのではないだろうか。そのためには、選挙の時のみならず、普段の時から、政治に参加するための場作りや意見を交わし合う文化を醸成していかなければいけない。

もちろん、ネガティブキャンペーンの問題もあるだろう。統計的にネガティブキャンペーンをすれば全体としての投票率も下がると言われている。足の引っ張り合いは、短期的な視点では仮に良くても、長期的な視点ではマイナスの効果を生み出す。ネガティブキャンペーンを行うということは、それはブーメランのように自身や応援している候補者に返ってくるということを忘れてはいけない。

普段の生活に政治文化を

改めて、今回のネット選挙運動をきっかけに公職選挙法の抜本的な改革の必要性を痛感しただろう。「選挙期間」と「政治期間」という区分け自体が、もはや通用しなくなっている。選挙期間と政治期間を撤廃し一体化することで、新人候補にも大きなチャンスがでてくる。期日前投票に対する認識も高まってきたため、選挙期間ではなく投票期間、そして最終日を投開票日とし、政治と選挙の壁を無くしていくことを筆者は考える。本来であれば一体化しておくべきな「政治期間」と「選挙期間」が別れている仕組みを見直し、普段の政治の状況を評価する場として選挙が機能するものになってもらいたい。他にも細かな箇所での修正はいくつも挙げられる。ぜひ、みなさんと公職選挙法そもそもを見直す場を継続的に設けていきたい。

次の世代に対する政治教育含めた情報環境を作ることは必須条件だ。今回の選挙は、政治家のみならず私たち有権者自身も成長し、行動することでしか社会は変えられないと実感した選挙かもしれない。こうした反省と学びをもとに、次の選挙や日々の政治への見方を見直し、社会のために何ができるのかを考えていきたい。普段の中にどう政治文化を作っていくか。ネット選挙だけではなく、ネット政治を作る取り組みはまだまだ始まったばかりかもしれない。



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