2013/07/18

【レポート】6/21 OpenCUイベント−−身の回りの問題に気づき、小さなアクションを起こすことが大きな一歩となる



少し前の話題ですが、6月21日にロフトワークが主宰するOpenCUというワークショップイベント「身の周りの気づきをアクションに変える 〜ソーシャルムーブメントの実践者と学ぶパブリックシフト」を行ないました。

これは、6月27日に出版させていただいた(イベント時は出版前)拙著『パブリックシフト』の中身に沿いつつ、身近な社会問題を解決するために一般の人たちが周りの問題に意識を向け、そこから解決策を見出すためのワークショップを行いたいという思いから開催へと至りました。

ゲストには、ハフィントン・ポスト日本版編集長の松浦茂樹さん、オンライン署名サービスのChange.org日本代表のハリス鈴木絵美さんをお呼びしました。

「身近な問題に意識を向け、小さなものでもアクションを起こす」
「アクションを起こすためのデザイン思考フレームワークで体感する」

という軸のもと、社会の問題を「自分ごと」化し、小さなアクションへと目を向けるためのイベントにしたい、というのがイベントのゴールでした。

そのため、ゲストのお二人をお呼びしているものの、ゲストが話をしトークセッションを行うというよくあるようなイベントの内容は冒頭の40分程度で終わり、その後のワークショップに1時間以上もの時間を割く時間構成しました。

One Voice Campaign、そしてパブリックシフト

とは言うものの、まずは今回のワークの呼び水となるために、私と絵美さん松浦さんでそれぞれ話をしました。

photo by OpenCU CC BY 2.0

まずは、私の話ですが、ネット選挙解禁に向けた活動に取り組んでいたOne Voice Campaignに至った個人の経緯や、One Voice Campaignを通じて、One Voice Campaignの活動では主にSNSで共感を集め、多くの人たちの賛同などを通じて大きな活動へと広がった経緯を話しました。その後、ネット選挙の先にある、オープンデータやオープンガバメントなどの話をし、社会の担い手は政治行政側からの一方的なものではなく、私たち市民が担っていく社会になっていく時代がくる、そのために今回のようなイベントを企画し、市民の側から社会問題に対して意識を向け、小さなアクションから始めることで社会は変わっていくのだ、というお話をさせていただきました。このあたりの話は、『パブリックシフト』にて色々と触れておりますので、ご一読いただければと思います。

「変えたい」を形にするために必要な3つの要素

次に、Change.org日本代表のハリス鈴木絵美さんより、Change.orgの説明や実際に成功したキャンペーンの話、そしてキャンペーンを考える時に必要なポイントについて話をしていただきました。

photo by OpenCU CC BY 2.0

Change.orgは、すでに世界3500万人以上のユーザが集まり、日々数百件以上ものキャンペーンが世界で立ち上がっています。日本でも、W杯における男女サッカーにおける処遇の違いの是正キャンペーンが立ち上がりニュースとなったり、ドイツの関税に押収されたバイオリニストのバイオリンの返却のためのキャンペーンなど、すでにいくつもの成功事例が出てきています。

キャンペーンを立ち上げる際に気をつけるヒントとして、絵美さんは3つのポイントを説明しました。
①Crisitunity 
ピンチの時こそ、注目が浴びているから変化を起こせる大きな機会であること
②目標の具体性 
大臣や法律を変えるという大きな目標ではなく、すぐにできる小さなアクションから始めること
③Theory of Change 
変化を起こすためのロジックを作ること。例えば、変えたい事例と同様の事例を探し、その事例をもとに変化を促すなどを指す。

こうしたヒントをもとに、日々Change.orgではいくつものキャンペーンが起きている。「変えたい」思いを形にするという、Change.orgの哲学を感じさせる話でした。

読み手と書き手で作り上げる言論空間

最後に、ハフィントン・ポスト日本版編集長の松浦茂樹さんより、ハフィントン・ポストの成り立ちやメディアとしてのあり方について話をしてもらった。

photo by OpenCU CC BY 2.0

ハフィントン・ポストは、アリアナ・ハフィントン氏が2005年に創設したメディアだ。事実報道は、各種メディアサイトからのアグリゲートをもとに記事にし、編集部が独自に取材をする独自記事や、寄稿していただくブロガーなどの記事によってなりたっています。(私も、ハフィントン・ポストで記事を書いています。次書かなきゃ…

また、ハフィントン・ポストの特徴的なものとして、コメント機能の充実だ。誹謗中傷などのものなどを除き、基本的には誰でもコメントを書くことができ、そのコメントで議論されたことがきっかけでさらに次の記事が投稿されるという、ボトムアップ型のメディアと言えます。

これまでの事実報道中心の情報発信ではなく、コメントやブロガーによる寄稿などを通じ読み手と書き手が双方向に対話をし、そこから新しい議論を生み出すというソーシャルメディア時代のメディアのあり方を模索している媒体だと話しました。そのため、編集部からの記事などは読者からのコメントなどを誘発するような書き方となっている。その特徴的な例として小平市の住民投票が不成立 「35%の人々の声はどうなるのか」の意見も などのようなものが挙げられます。小平市の話は、それまでニッチな話題だとみなされていたものが、書き手が呼び水となりそこから議論が深まった事例と言えます。こうした、読み手と書き手が、ともに社会問題について議論する言論プラットフォームとしての存在だと話してくれました。

photo by OpenCU CC BY 2.0

Change.orgもハフィントン・ポストも、ともにプラットフォーム型としての形を示しており、市民の側からの問題提起や意見によって社会問題を可視化し、そこから解決策や議論を深めていく、まさにボトムアップ型の社会に必要なサービスやメディアと言えるかもしれません。『パブリックシフト』の中においても、こうしたボトムアップ型の社会の到来に向けて、私たち市民が政治や社会を担っていく、そのための意識をどう向けていくかが課題だと書かせてもらったこととリンクしてきます。


普段、意識をしない問題の解決策を考える

トーク終了後は、参加者によるワークショップを行ないました。ワークショップの手順として、今回はまずは自身が日頃感じている身近な問題を2から3つほど紙に書いていただきました。その後、参加者が書いた紙を一覧し、参加者全員がどういった問題を持っているのかを可視化しました。



問題意識を共有した後、一覧された問題の中から、関心のある問題(共感するもの)と、関心があまりない問題(問題かもしれないが、自分にとってはまだあまり身近に感じられないもの)の2つを直感で選んでいただく作業をしてもらいました。

そして、ここが今回のワークショップのポイントなのですが、今回は「関心のあまりない問題」をみなさんで議論する、という流れに設計しました。

よくあるワークショップだと、往々にして自身が興味や意識のある問題に対するグループを作りがちですが、既知の問題は収束地点をグループの参加者の多くが把握しており、予想外な解決策などが出にくくなっている、という問題もはらんでいます。また、そうした状態は日頃の生活の意識を変えるような体験になることはとても少なく、期待や予想を超えるような体験になりにくい傾向があります。そのため、今回のワークショップでは普段自分がなかなか意識しない、もしくは普段関心を抱かないような問題に対して、常識などの枠を外した状態で解決策を考えてもらい、それによって普段の生活の視点の幅を広げてもらおう、という試みでした。

photo by OpenCUCC BY 2.0

5グループに分かれていただき、基本的にどのグループも自分があまり問題意識を持っていない議題に分かれていただき、今までにない新しい解決策を見つけてください、ということでワークがスタートしました。参加者も、今回のワークの中身をこの場の直前で知り、始めは自分に興味のあるものを話すつもりでいたのか戸惑う人もいましたが、始めると意外と参加者も今まで考えたことがなかった問題に対して真剣に考えるようになってきました。もちろん、私やゲストも時折グループに参加して議論などに対するヒントやアイデアを促し、より効果的に解決策を見出す手助けをする役割をしていました。

おかげで、各グループとも思ってもみないような面白いアイデアで議論が次第に盛り上がってきました。もちろん、 今回のワークの内容が本当の意味での解決策になるかどうかはわかりませんが、普段意識しない問題を考える30分によって、日頃の生活の意識ががらっと変わってもらうことが大事だと考えています。



ワークの時間が終わり、各グループともにチームで出したアイデアをもとにした解決策について、ショートプレゼンを行なっていただきました。
・チーム名
・解決方法の名前
・キーワード
・ターゲット
・解決に必要な要素
・アクション
・達成イメージ
などの項目を埋めていただき、話し合った課題と、それに対する解決策を話していただきました。

最初はなかなかアイデアがでなかったチームも、最後の最後でアイデアを見出し、予想外の解決方法でプレゼンの時には参加者から笑いや拍手をもらうなどしていました。全グループごとに、僕やゲストの絵美さんや松浦さんも、それぞれのチームに対してアイデアの良さや解決策の切り口の面白さについてコメントをしていただきました。

多様な生き方の人たちが集まり、新しい何かを生む場を作っていく

今回のワークは、冒頭のイベントの目的でも述べたように、ボトムアップ型の社会のための1つの場のあり方だったのではと考えます。

これまでのゲストや偉い人がしゃべり、「解決方法はこうです!」と答えを決めて言うのではなく、みんなと一緒になって問題解決を考え、時には思考のフレームを外し、新しい発想でアイデアを生み出し、そこから新しいソリューションを提示しイノベーションが創発する可能性の場を導き出す。そうした場に、それぞれに活動をしている方々がファシリテーターとして議論を促し、参加者に対して思考の新しいタネを生み出すようにすること。それによって、自分が考える方法とは違った新しい解決策が出てきやすくなってきます。それをもとにさらにみんなで議論を重ねていくという、まさにこれからの時代におけるファシリテーターの役割に重要性も認識したワークショップでもありました。

多様な生き方をしている人たち同士が集い、そこから新しい”何か”を生み出す場を作っていくこと。そうした場を今後も実践していきたいと考えると同時に、ぜひ多くの人たちも、こうした場を通じて様々なアイデアのタネを生む機会を作ってもらえたらと思います。

僕個人でもよければ、全国どこでもお話やワークショップのお手伝いをさせていただければと思います。ゲストとして参加していただいたChange.orgの絵美さん、ハフィントン・ポストの松浦さんも、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。




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